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No.1083苦手な「比較表現」の指導 投稿者:きいじい(掲示板管理人) ...2017/09/09(Sat) 22:17

 Jcoss(ジェイコス・日本語理解検査)という検査の中に「比較表現」という文法項目があります。
 例えば「犬は ねこより 小さい」「えんぴつは ものさしより ながい」といった同様なパターンの問題文が4つあり、その4つとも正解のとき、「比較問題」は「通過」という評価をします。子どもが「通過」する割合(通過率)を聴児と聴覚障害児で比べると、聴児の場合は低学年(1・2年生)で70%の子が通過しますが、聴覚障害児では10%程度に過ぎません。
 このような何かと何かを比べる、何かと何かの関係を考えるといった思考は、聴覚障害児が最も苦手とするところで、「受動文」(する、される)とか「授受文」(あげる・もらう・くれる)なども苦手なもののひとつです。
 
 子どもの回答パターンで非常に多いのは、例えば「犬は 猫より 小さい」であれば、「小さい」に近いほうの単語すなわち「猫」が「小さい」と結びつけて理解するパターンです。
 このような子どもは、まだ助詞がわからない子たちなので、「犬 猫 小さい」と単語だけで頭の中にイメージを描き、「猫 小さい」と理解してしまうのです。
 では、この比較表現をどう指導すればよいでしょうか?

 「より」は、国文法では格助詞に分類され、一つは「正門より入る」といった起点「〜から」と同じ意味があります。もう一つは、比較するときに使います。
 添付ファイルにある例文「犬は猫より大きい」は、述部が形容詞で終わる「形容詞文」です。『日本語チャレンジ!』(51頁)にも書いたように、文の最後が形容詞で終わる「形容詞文」には、基本の文型は2つあり、「Bが大きい」「太郎が正しい」「水が冷たい」などのいわゆる「主語+述部(形容詞)」の第1文型と、もう一つは「太郎はパソコンに詳しい」「次郎はゲームに熱心だ」「花子は地理に疎い」など「〜に」を必要とする「主語+〜に+述部」の第3文型の二つです(「太郎は詳しい」だけでは何に詳しいのかがわからないので「詳しい」という形容詞には、「〜に」にあたる情報がもう一つ必要です)。

 さて例文「犬は 猫より 小さい」の基本文型は、「犬は 小さい」でほかに情報を必要とせずこれだけで意味的に成り立つので第1文型(主語+形容詞)です(「犬は 〜に 小さい」とはなりません)。つまり、この例文で最も言いたいことは「犬は小さい」ということであり、「猫」は、あくまで「犬は小さい」ということを言いたいがために、その比較の対象として持ち出された文を詳しくする「情報」と考えればよいわけです。

 そこで、この比較表現を扱う前に、まずこの形容詞文をしっかりと練習することです。

「お湯は 熱い」「水は 冷たい」「りんごは 赤い」「馬は 速い」「熊は 強い」等々。

 そのうえで、「犬は 小さい」に「〜より」という情報を加えます。(添付ファイル)
この基本がわかれば難しい構文ではありません。

 因みに江副文法では、「より」を『時数詞構成語』とよんでいます。時数詞とは、期間や範囲をあらわす名詞で、「明日」「来年」「3時」「春」「夕方」などがあり、これらは「明日、行きます」「夕方、雨が降った」のように助詞を省略した使い方が可能です。

 『時数詞構成語』とは、時数詞と同様な性質をもったことばで「〜より」(3時より開始)、「〜だけ」(一つだけちょうだい)、「〜から」「〜まで」(朝から晩まで)、「〜くらい」(3分くらいしたら開けて)、「〜ずつ」(一つずつ配る)、「〜ながら」(食べながら飲む)、「〜ばかり」(5分ばかり行くと)、「〜きり」(一つきりしかない)などがあり(ほかにもあるが省略)、これらの「時数詞構成語」は、「時数詞」と同様に期間・期限・数量・範囲などをあらわします。

 また、「時数詞構成語」のカードの空欄に入る語は、名詞だけでなく、動詞も可能です。例えば「食べるより 飲む方が いい」など。またついでですが、例文「およぐの」は、『名詞構成語』で、動詞に「の」がつくと一つの名詞として扱うことができます。

教科書の中の「比較表現」の指導 - きいじい(掲示板管理人)   2017/09/09(Sat) 22:21 No.1084
 比較表現は教科書の中でもしばしば出てきます。最も多いのはもちろん算数です(3より2大きいかずは?」など)が、国語でも出てきます。
 例えば「スイミー」(小2学校図書・光村図書など)の中には「〜より」が使われています。このような時に指導するのも一つの方法です。

No.1070教科書の難解語彙の指導 投稿者:きいじい(掲示板管理人) ...2017/08/29(Tue) 23:11

きこえない子たちは、きこえる子と比べて知らないことばが沢山あります。そのため教科書を進めるときに、知らないことばをどう教えるか、という問題が常に起こってきます。

例えば、光村図書の小1国語(上)には「くちばし」という説明文があって、その中にはいくつかの「難しいことば」が出てきます。その中から「さきが するどく とがった 口ばしです」の文をとりあげ、どのような方法で「難しいことば」を指導するのか、いくつかの方法を示してみたいと思います。
 
1.まず、「さき」ということばが出てきますが、「さき」ということばと同じようなことばをさがしてみるという方法があります。例えば、「さきっちょ」「つまさき(爪先)」「みさき(岬)」「へさき(舳先)」など。一緒に思い出させながら探しますが、「さきっちょ」とか「つまさき」は知っている子もいるでしょうが、「みさき」とか「へさき」を知らない子どもは少なくないでしょう。このような子には、添付ファイル2の写真なども示して、「さき」ということばがどのような意味・イメージをもつことばかを探させます。

2.また、経験を思い出させ、例文を作るという方法もあります。例えば真冬の寒い朝、「指先が冷たかった」という経験はないでしょうか? 雪に触って「指先がいたくなった」という経験はないでしょうか? このような経験を思い出させて実際に例文を作ってみるということもできます。

 3.次に出てくる「するどく とがった」はどうでしょうか? 実際に動作化してみるという方法がとれるかもしれません。例えば目の前で鉛筆を削って見せ、「するどく 先がとがった」えんぴつのしんと、「ふとくて先がまるい」えんぴつのしんを示して、どちらがそのイメージをもつことばなのかを考えさせます。 

 4.最後の「くちばし」。知っている「口」と今覚えた「はし」ということばと、教科書に出ているくちばしの写真や図鑑の写真などから「くちばし」が鳥のどこのことか、あるいは犬や猫、馬や牛には「くちばし」があるのかを考えさせることもできます。

 5.添付ファイル2には、教師が作成した「ことばノート」の例が示してありますが、難しいことばをワークシート式のノートにするという方法もありますし、学習したことばを自分で「例文ノート」を作って書き溜めていくという方法もあります。そこに絵などを描いていくのもよいと思います」。このような「例文ノート」を作っていく方法は、自分で作った辞典でもあるので、子どもにとっても楽しいノートになります。
 
6.また、抽象的なことばなどはなかなか授業の中で教えることが難しい場合もあります。そのようなことばは、単元に入る前に学級通信などで事前に紹介しておき、日々の生活の中で、家庭で実際にそのことばを使う場面をみつけてもらい、使ってもらうとよい場合があります。

 7.ことばを指導する方法はほかにも考えられますが、一つ一つを全てのことばを取り上げていくわけにもいきませんから、どのような方法でそのことばを教えるのか取捨選択しながら効率的に進めていくことが必要になります。もちろんそれ以上に大事なことは、いちいちこうした方法をとらないでも済むように、幼児期から日本語の語彙をたくさん身につけておく、という当たり前のことになってしまいます。

難解語彙のノートづくり - きいじい(掲示板管理人)   2017/08/29(Tue) 23:17 No.1071
 学習したことばをノートにしていくことはとても有効です。自分で「例文ノート」とか「ことばじてん」を作るのもよいでしょう。

No.1065絵日記の中でのことばの教え方 投稿者:きいじい(掲示板管理人) ...2017/08/20(Sun) 00:41

絵日記を書くとき、お母さん方は、何を書くのか子どもと相談すると思います。そして子どもが「こんなことがあったよ」と話したことを聞き取り、それを文にしていくわけですが、その時に、ここではこのことば(言い回しとか表現方法)が使えるなとか、このことばを教えておきたいなと思うことがあると思います。
 このようなことばをあらかじめ準備しておくわけにはいかず、その日の絵日記の文章化をしている時にたまたま使うことのほうが多いと思いますが、その時に「そうだ、この表現を使おう!」と気づく言語感覚を日ごろから磨いておくことが大切です。

 では、どんなことばや表現方法があるのでしょうか? 前回(NO1059)は、受身表現を使った年長児の絵日記の例を取り上げましたが、今回は接続表現の例を取り上げてみます。
 以下の絵日記は、正月の初もうでで神社に行ったときのものです。(年中児・絵のみ添付ファイル)

「・・・いえから 〇〇じんじゃまで じてんしゃで いきました。(場所の出発点)
 
 てを あらってから ならびました。(行為の時間的順序)
 
 おさいせんを いれてから てをたたいて めを つぶりました。(行為の時間的順序)
 
 『おさいせんを あげるから かみさま おしごと  がんばって』と いいました」(理由→結果)」

 ここでは、「〜から」の言い方が 4回使われています。「から」は一般的には助詞とされていますが、もともとの意味は行為や時間経過の起点をあらわす意味があります。手話では、最初の3つの「から」は「〜から」の手話でよいでしょうが、最後の「から」は「〜ので」の手話になるでしょう。


 2つ目は、「〜ので」を使った絵日記です。(年長児・添付ファイル2)冬休みに温泉にスキーに行ったことが書かれています。

「きょうは とても たのしかったので また、スキー きょうしつに はいりました。
 
 ママは あしが いたくて すべれないので、わたし のスキーきょうしつを みていました。

 きょうは かえるひなので ごぜんちゅうだけ ス  キーを しました。」

 上の3つの「〜ので」は、いずれも「原因→結果」の意味で、手話「〜ので」(〜だから)を使います。
 また、「〜ので」の前には必ず活用する動詞・形容詞・形容動詞などが来ます。上の絵日記でも「たのしかったので」の「たのしかった」は形容詞過去形、「すべれないので」の「すべれない」は動詞否定形、「かえるひなので」は「かえるひ」+「な(る)」(=「である」)です。このような使い方を理屈ではなく、絵日記の中で自然に使い分けてその用法をさりげなく教えているのはさすがだと思います。

「〜ので」の使い方 - きいじい(掲示板管理人)   2017/08/20(Sun) 00:46 No.1066
 絵日記の絵のみ表示
上の二つ目の絵日記の文はスキーのことでした。
しかし、絵日記の絵は、スキーの絵ではありません。
実は絵日記はもう少し続いていて、そこには、教えたかった表現がもう一つありました。それは受身表現と授受表現で、以下の文です。下の絵の上はその場面です。

「やどやのおばさんと たくさんおはなしを していたら、いっぱい ほめられて、おかあさんが コーンスープのかんを かってくれました。」

No.1059幼児期に受身表現をどう教えるか? 投稿者:きいじい(掲示板管理人) ...2017/08/03(Thu) 05:46

前回、受動文の難しさとその指導方法について書いたら、「幼児期ではどのように指導すればよいのですか?」という質問をいただきました。そこで今回は幼児期における受動文の指導について書いてみたいと思います。

幼児期は、まだ、「小学生の授業」のような形態ではなく、あそび・生活の中での具体的な場面で、その都度受動文を意識させていくことになります。では、受動文はどのような場面で使うことが多いでしょう? 

学校や園で友だちと遊んでいるときけんかになった、あるいは家で上の兄姉とけんかになった。そして、「追いかけられた」「『バカっ!』て言われた」挙げ句の果てに「叩かれた」などということが起こることがあります。そんな時が受動文を教えるチャンスです。受動文は自分が迷惑を受けたという意味で使うことも多く、そのような迷惑的意味で使うのがいちばん子どもにもわかりやすいので、こうした場面があったら積極的に教えるとよいと思います。

例えば子どもが「○○くんが、叩いた〜」と訴えてきた時に、「そうなの、××ちゃんは、○○くんに 叩かれたんだね」と返してあげる。しかし、そんな興奮している時に、ことばの指導できるかどうかはなんとも言えません。そんなときは、あとで絵日記を書くときに扱います。
 
ある年長児の絵日記には、次のような場面で受動文が使ってありました。姉が熱を出し病院に行くことになり、自分もお母さんと姉について病院に行きます。しかし、自分も注射をされるのではないかと心配になり、何度も何度もお母さんに尋ねているところです。

「・・・病院に行きました。私が、『注射はしない?』ばかり言うので、お母さんに 『しつこいよ!』と言われました。・・・」(12月5日)

これは本人が書いたものではなく、病院に行った時のことを思い出しながらこの子が手話で話したことをお母さんがこのような文にしたものです。このとき、お母さんはこの子の視点に立って「言われました」という受動文を使ったわけです。この子の表現は音声のない手話です。手話ですからこの子は「お母さんが言った」と表現したことになりますが(手話には受動文はありませんから)、お母さんはそれを日本語に直すときに、子どもの視点に立った日本語表現「言われた」という受動文になおして日記に書いたわけです。
 
さて、この子は今、ろう学校の小学部1年生です。高度難聴で日常会話は音声なしの手話。日本語力にはやや心配な面もありましたが、先日、このような日記を自分で書いているのを見つけました。(添付ファイル)

年長さんの時にお母さんが使った受動文表現「言われた」をちゃんと覚えていて、半年後に自分が使ったわけです。この子の記憶力もすごいなと思いますが、生活の中での出来事を日記にし、子どもの言いたいことをききとりながら、子どもに教えたい日本語表現をさりげなく的確に使っているそのお母さんの日本語センスもすごいなと思いました。その子の日記はまだまだ日本語の表現に誤りも多いですが、自分の気持ちやその時誰かが言ったこと(会話)などしっかりと書かれており、さすが手話で育った子だなと思いました。

No.1056受動文は意外と難しい 投稿者:きいじい(掲示板管理人) ...2017/07/30(Sun) 08:24

 日本語理解テスト(通称Jcossジェイコス)という文法力を測る検査があります。その中に受動文という項目があって4つの問題が配置されています。例えば次のような問題で、答を4つの絵から一つ選ぶようになっています。

「ぞうは男の人に押されています」

 絵の中には、1.ぞうが男の人に押されている絵、
2.男の人がぞうに押されている絵、
3.男の人がぞうに餌を与えている絵、
4.男の人が車を押している絵があります。

 正解は1ですが、ある聾学校の小学部1,2年生の結果では、1と2とがどちらもほぼ4割の子どもたち、3と4が1割ずつの子どもが選択。つまり、受動文を正しく理解した児童は4割、能動文として理解した子が4割になりました。能動文として理解した子たちは逆に理解しただけですから、簡単に直せるようにも思いますが、日本語の言い方の問題だけなく、誰について言いたいのかという視点の転換の問題があり、この視点の転換がきこえない子にとっては意外と難しいのです。

 受動文は小1の国語の教科書から出てきます。例えば教育出版の『だれがたべたのでしょう?』という単元では、文頭から以下のような受動文が出てきます。(添付ファイル参照)
 
「まつぼっくりがおちています。まわりだけがたべられたものもあります。」
 
 では、なぜ受動文を用いるのでしょうか? それはここでの主役はまつぼっくりであり、まつぼっくりについてまず注目してほしいからです。まつぼっくりの身になって考えてほしいのです。そして、その次に、これはいったい誰がやったのだ?と疑問を投げかけておき、 そこで頁をめくると、
「りすが まつぼっくりを たべたのです。」と、りすが主語(主役)になった能動文を使っています。
 もし、ここでまつぼっくりにそのまま注目してほしいのであれば、「まつぼっくりは、りすに たべられたのです」となるはずです。でも、ここではりすを主役にしたい。りすに注目してもらいたい。それでりすが主役となる言い方をもってきたわけです。「りすが・・・たべた」ということを強調したいわけです。
 
 このように、能動文と受動文はどちらに視点を向けた言い方をしたいかによって使い分けられます。この視点の変換と日本語の言い方が難しいわけです。
 そこで小学部においては、受動文を意図的にとりあげて指導する必要があるわけですが、受動文はいったいだれについて言いたいのか、だれが主役なのかということが大事なのでまず、「主役になって考えてみる」練習をします。
 
 添付ファイルのような教材(『絵でわかる動詞の活用』本会出版1,700円)を使います。
 このページは、「牛乳」の立場に立った言い方(受動形)でそれぞれの空欄を埋める練習です。このような活用練習をしてから、受動文と能動文の変換の仕方を学習します。
 教科書で言えば、以下の文がどちらでも自由に作れるように練習します。
  
「まつぼっくりが りすに たべられた」(受動文)
「りすが まつぼっくりを たべた」(能動文)

受動文の練習 - きいじい(掲示板管理人)   2017/07/30(Sun) 08:31 No.1057
このようなワークを使って練習します。

絵でわかる動詞の活用ワーク - きいじい(掲示板管理人)   2017/07/30(Sun) 08:49 No.1058
 このような受動文の練習問題がワークやCDに沢山入っています。(『絵でわかる動詞の活用』+『はじめての動詞の活用』CDセット2,200円、申込みはメールnanchosien@yahoo.co.jp またはFAX03-6421-9735木島)

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