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No.345子どもの日記は直すべきか? 投稿者:きいじい(掲示板管理人) ...2015/12/18(Fri) 20:52

日記の指導方法として、2つの考え方があります。
 一つは、日記の文や、語、漢字の間違いを直さないからいつまでも間違いが直らない。だからちゃんと直したほうがよい。
 もう一つは、直してばかりいると、子どもは苦手感だけが強くなり、だんだんと書くのがいやになる。だから、間違ってもいいからとにかく書かせる。
 どちらも一理あります。しかし、これは両立しないことではないと思います。直してばかりいる先生の中には、正しい文とはこういう文だ、とばかりに赤字で直し、身も蓋もないほどに書き改めてしまう人がいます。 確かに、これでは子どもは意欲をなくすでしょう。本当に書きたかったこととはまるで違う文になってしまっていますから。
 といって、思いつくままにだらだらと書いている子どもの文を全くと言って良いほどに直さない人もいます。直すのは漢字や語の間違い程度。これも困ります。作文の力はこれでは伸びません。
 
 では、どうすればよいのでしょうか? まず、子どもが書いてきたことに対して、褒めることが大事です。一文でも書いてきたら、そのことを褒めることが大事です。その上で、次にどうすればもっとよくなるかを伝えます。できれば直接、対面で伝えるのがよいですが、忙しい時にはそれがいつもできるとは限りません。そういうときにはノートに書いて伝えることになります。これは必ず毎日やります。書く時間がなければ、日記帳を2册つくり、交換でやれば済むことです。
 ここでは、実際の日記(聾学校小学部2年生原文のまま。固有名詞は変更)を例に、私ならこうする、ということを書いてみます。

 「今日は、昼休みにいろいろなことをしてあそびました。まず、はみがきをしました。つぎにAくんといろいろなことばあそびをしました。それから、トランプをしました。そして、ウノをしました。さい後に、かたづけをしました。ウノが楽しかったです。」

 さて、この文はどこがよくて、どこが課題なのでしょうか?
 この児童は、まず、文を書く基本の型ができています。文を書く基本とは、時間的順序にそって、やったことが書けていることです。そして、この児童の書いた短い文のなかには、ちゃんと起承転結があります。そのことを褒めるべきです。

「○○ちゃん、よく書けているね。やったことが順番に書けているし、だれとやったのかもわかる。そして、なにがいちばん楽しかったかもちゃんと書いてあるね。」

 しかし、そこで終わってはならないと思います。ここでのテーマは、「昼休みに遊んだこと」ですから、そのテーマにそって書くように促します。

「○○ちゃんは、ここで書きたかったことは、遊びのことだよね。そして、いちばん楽しかったのはウノなんだよね。遊びのことだけを書くともっと自分の書きたかったことがはっきりするよ。例えば、歯磨きしたことは遊びとは関係ないよね。だから要らないんじゃないかな。それから遊びを3つやっているよね。例えばことば遊びって書いてあるけど、どんな遊びかな? もうちょっと説明してほしいな。それからトランプはどんな遊びをしたのかな? ウノは、どんなところが楽しかったの?」等々。

 ただ、ここでなにをどこまで要求するかは、その子の日本語力の問題や、今、なにをその子に課題とするかは違います。例えば、起承転結の基本パターンをもうちょっと指導したければ、以下のような順序で書かせる方法もよいと思います。(  )のことばはこちらがあらかじめ提示してその続きを書かせると書きやすいでしょう。

「今日は、昼休みにいろいろなことをしてあそびました。(起)

 まず、Aくんといろいろなことばあそびをしました。(承)
(どんなことばあそびかというと・・・・)

 それから、トランプをしました。(転)
(どんなトランプあそびかというと・・・)

(そして、三つ目に)ウノをしました。(転)
(ウノでは・・・ここでは詳しく)

(今日やった遊びの中で)ウノがいちばん楽しかったです。(結)」

 こういう基本パターンで書けるようになったら、次は、一つのことを詳しく書くように指導します。

「今日やった遊びの中で楽しかったのはウノだよね。じゃあ、ウノのことだけを思い出して、詳しく書いてみて。誰がウノをやろうと言ったの?そしたらなんて言ったの?何回やったの?○○ちゃんが勝ったの?ウノのいちばん面白いところはどこ?」等々。

また、書いたあとに「題名(タイトル)」を書かせるのもよいと思います。書きたかったことがはっきりします。「ウノってたのしい!」「昼休みでいちばん楽しかった遊び」など。
 日記とは、単に日本語の指導だけではありません。子どもが自分のことや自分の生活に思いをめぐらせ、ものごとを見つめる力を深めていくために書くものです。そこに目を向けさせていくと、子どもは書くことがだんだんとおもしろくなっていきます。

No.343盲ろう児のための校内環境 投稿者:きいじい(掲示板管理人) ...2015/12/11(Fri) 22:29

 盲学校や聾学校には、盲・弱視とろう・難聴の重複した子が少数ですが通っています。そうした子たちの教育は、これまでに蓄積された実践的知識があまり一般化されていないために(もしかしたらどこかにあるのかもしれませんが)、たまたま担当した教師が、その学校、その教室の中で試行錯誤しているのが現状です。いまは、インターネットの普及している時代ですから、そうしたものを使って、もっと実践の交流などが行われるといいなと思っています。
 ここで紹介するのは、校内環境の設備です。徳島聴覚支援学校は、新しい校舎が盲学校と共有されており、掲示板や階段なども、盲児が見やすいように工夫されています。
 ファイル「教室の案内」は、地が黒、図が白になっており、点字でさわれるようになっています。

 
 

階段の工夫 - きいじい(掲示板管理人)   2015/12/11(Fri) 22:35 No.344
 校内の階段は、盲児がつまづかないように、最初の段に、赤い横線に沿ってLEDが点滅しています。

No.342NHKEテレ2015アンコール再放送決定! 投稿者:きいじい(掲示板管理人) ...2015/11/27(Fri) 21:33

今年の1月NHKEテレの「ろうを生きる難聴を生きる」で、「きこえない子のための日本語チャレンジ!」を使用した、香川聾学校での日本語文法指導の実践が紹介されました。その反響は大きく、2015年のアンコール再放送に選ばれました。関心のある方はぜひご覧下さい。

以下は、NHKホームページのURL
http://www.nhk.or.jp/heart-net/rounan/backnumber/2015/01/0111.html#contents
 
 「どう育む?日本語力 ―文の仕組みを知る―」
<アンコール放送> 2015年12月26日(土) [Eテレ] 午後8時45分〜9時
[再放送] 2015年1月1日(金) [Eテレ] 午後0時45分〜

 聞こえない子どもの多くが、日本語力に課題を抱えている。教育現場では様々な取り組みが行われているが、生徒のためにはどんな学習法が必要なのだろうか。そこで今回は 最近注目を集めている文法の学習法を取材する。カラフルな品詞カードや助詞手話記号を使って、日本語の仕組みをわかりやすく教えるというものだ。外国人向けに開発された手法を、聞こえない生徒むけに応用したもので、2013年夏にテキストが発行された。難しい文法がわかりやすく説明されていると人気で、授業に取り入れる動きが全国に広がっている。
 番組では、昨年度にこの指導法を導入した香川県立聾学校の授業を紹介。またこの指導法を開発し、テキストを発行したろう学校の教師にも話をうかがう。

No.340日本語に基本文型はあるか? 投稿者:きいじい(掲示板管理人) ...2015/11/27(Fri) 10:18

 私達が日々、目にしている文は、決まった文の形でできているのでしょうか? もしそうだとしたら、その文型はどのようなものでしょうか? 
 前回NO338で、日本語がきちんと作れないのは基本の文型がまだ身についていないからだと書きました。きこえる人は幼い頃からの自然な会話の中で、また、本などを読む中で、その基本の文型を自然に身につけていきますが、きこえないハンディをもっていると、なかなか自然に身につけるということが難しくなります。

 では、その文型はどのようなものでしょうか? それは、以下のほぼ5つになります(添付ファイル参照)。ここでは、最も使用頻度の多い、最後に動詞がくる文(文の最後にくる品詞は名詞、形容詞もあります)について説明します。
 日本語の基本の文型は以下の5つです。
 
1.「〜が+動詞・名詞・形容詞」例「雨が降る」  「空が 青い」「これがレモンです」
2.「〜が〜を+動詞」例「私が窓をあけました」
3.「〜が〜に+動詞」例「弟が幼稚園に行った」
4.「〜が〜と+動詞」例「兄が同級生と結婚した」

5.「〜が〜に〜を+動詞」
    例「父が母におみやげを渡した」
 
(各基本文型は、そのパーツなしには、文がうまく伝わるか伝わらないかということでわかります。例えば、文型2の例文「私が窓を開けました」で、もし「私が開けました」だけの文だとしたら、何を開けたのかが相手にわかりません。この文では、「〜を」にあたるパーツがどうしても欠かせないのです。これを文の必須成分といっています。)

 では、実際に使われている文はどのようになっているでしょうか? 以下は、国語教科書4年上(光村図書、学校図書)に出てくる「白いぼうし」(あまんきみこ作)の最初の部分です。修飾語句が沢山使われているので一見複雑ですが、基本的な骨組みは、上の5つから成っていることがわかります。(漢字使用、数字は私がうったもの)

1.「これは、レモンのにおいですか?」
2.堀ばたで乗せたお客の紳士が、話しかけました。
3.「いいえ、夏みかんですよ。」
4.信号が赤なので、ブレーキをかけてから、運転手の松井さんは、にこにこして答えました。
5.今日は、6月の始め。
6.夏がいきなり始まったような暑い日です。
7.松井さんもお客も、白いワイシャツのそでを、腕までたくし上げていました。・・・

1は、「これは、レモンのにおいですか?」= 文型1(文末は名詞+ですか?) 

2は (堀ばたで乗せた)お客の紳士が、話しかけました。=文型1

3は、「(いいえ)、夏みかんですよ。」=文型1(文末は名詞)

4は、(信号が赤なので)、(ブレーキをかけてから)、運転手の松井さんは、(にこにこして)答えました。=文型1(「松井さんは答えました」が、文の土台です)

5.今日は、6月の始め。=文型1(文末は名詞)

6.(夏がいきなり始まったような)暑い日です。=文型1(文末は名詞)

7.松井さんもお客も、(白い)ワイシャツのそでを、(腕まで)たくし上げていました。
 =文型2

 どうでしょうか? 全て上の5つの文型におさまっていますね。そして、この文型はちゃんと「主語」(だれ・なにが)、「目的語」(なにを)、「述語」(どうした・どうだ)、という文の主要なパーツから成り立っています。そして、これらのパーツに「修飾語句」が沢山掛かっていて、文が詳しく、そのぶん複雑になっています。しかし、私たちは文を読むときに、自然にそのパーツを頭のなかでほとんど無意識に読みとり、文の構造を読みとって解釈しています。

 しかし、きこえない子は、それは自然には難しい。ですから、基本の文型を意識的・意図的に指導する必要があるわけです。成人の人たちが文を読めない書けないというのは、そうした指導を聾学校時代に受けてこなかったからです。ですから、成人の人の文の書けなさは、明らかに聾学校で受けた教育の問題であり、聾学校にその責任があると思います。
 いまからでも学ぶことに遅いということはないと思います。文を書くことににいまひとつ自信がない子どもや大人の人たちは、ぜひ基本の文型を学びなおしてほしいと思います。

 下のファイルは、文型とその文型に使われる動詞の例です。どの文型になるかは、動詞によってほぼ決まっています。例えば「降る」という動詞は、「雨(雪)が降る」の文型1に使われる動詞で、「〜を」とか「〜に」にあたるパーツは要りません。これだけで通じる文だからです(「北海道に」という「〜に」が必要では?と思われるかもしれませんが、これは文に必須のパーツではありません。文を詳しくするためのパーツだからです。これを随意成分といいます)

教科書での実践例 - きいじい(掲示板管理人)   2015/11/27(Fri) 10:27 No.341
 これは小4国語教科書「ごんぎつね」の文を子どもにわかりやすくするために、基本文型に分解して、文の骨格だけを示したものです。
 香川聾学校などで実践されています。

No.338聾文のなおし方 投稿者:きいじい(掲示板管理人) ...2015/11/21(Sat) 12:12

 聾文というのは、聾児が書く特徴的な文章のことで、基本的な日本語の使い方が理解できていないために起こります。日記指導や文法指導をちゃんとやっている学校では、最近こうした文を書く子は少なくなりなりましたが(掲示板NO327、NO328)、以前はけっこういたものです。
 では、こうした聾文を書く子どもをどう指導すればよいでしょうか? 今日は、聾文のなおし方について考えてみたいと思います。以下の例文は、ある聾学校小学部2年生の日記です。誕生会で司会を担当し、その日に書いたものです。

 たん生かいをしました。 ゲーキをつくりました。
いちごとみかんをつくりました。
たん生かいはめじました。うたのました。
わたしははなしました。 何すき。
ケームはころがドッジとかくれぽであそびました。
どうぐがいきましたでもはやるむり見つけました。くやしかった。
ゲーキでたべました。おいしかったです。
プレゼントがもらいました。
おわりを話をました。たのしかったです。

 誕生会の様子を最初から終わりまで順番に書いています。言いたいこともだいたいわかります。問題はまず、文の基本的なかたちが理解できていないことです。
 文には、いくつかの基本的なかたちがあり、私たちが書く文は、ほぼ、どのような文もその基本のかたちにのっとって書いています。その基本のかたちの指導が、このような児童には必要なのです。
 その基本のかたちとは、ほぼ別紙ファイルのようなかたちです(ここでは、文末が動詞になる5つの基本文型のうち3つを表示)。
 日記指導にあたっては、この基本文型の指導をまずしっかり行うことです。この基本文型に必要な助詞(格助詞)は、「が、に、を、と」の4つです。つまりこの4つの助詞さえ使えれば、だれでも正しい日本語の文が書けるということです。

 では、例文の最初の文は下のどの文型に当てはまるでしょうか?
「たん生会をしました。」ですから、「〜が〜を する」つまり、基本文型2の形で、必ず「〜を」という目的語が必要になる動詞です。ですから、ただ「しました」だけを書いてもなにをしたのかがわかりません。
 この児童は、ちゃんと「たん生会を しました」と書いていますから正しい文です。詳しくは、「ぼくたちは」などの主語が必要ですが、わかっていることは省略するのが日本語ですから、主語は省略されています。これも問題はありません。
 
 つぎの「ケーキをつくりました。」も基本文型2で、間違いはありません。

 そのつぎの「いちごとみかんを つくりました。」は、これは残念ながら間違い。これは「〜が〜を〜する」という基本文型2が十分に理解できていないために起こる間違いですから、基本文型2の使い方を徹底することがまず大事です。ここは助詞「で」の使い方の間違いです。助詞「で」は基本文型とは関係のない助詞で、文の内容を詳しくするために使う助詞で、意外と子どもに間違いが多いです。
 つくったのは「ケーキ」で、「いちごとみかん」を作ったのではありません。「いちごとみかん」を使って「ケーキ」を作ったのですから、「〜を使って」という意味・用法である、手段・方法の「で」になります(格助詞「で」の用法は4つだけです)。ですから、ここで間違いを指摘してもすぐにはなおらないので、格助詞「で」の使い方の指導は、別にやる必要があります。その過程で使い方がわかってきます(NO336「助詞手話記号」参照)。

 以下、まだまだたくさんの基本的な間違いがありますが、基本の文型を身につけることと、助詞の使い方の指導を半年〜1年くらい続けることで、このような聾文はなおってきます。それが日本語文法指導で、この指導の方法については、下のファイルのテキスト(「きこえない子のための日本語チャレンジ」に書かれています。

日本語チャレンジ! - きいじい(掲示板管理人)   2015/11/21(Sat) 12:40 No.339
 このテキストを使います。基本の文型や助詞の指導の児童用テキストです(1600円)。別にCDもあり、たくさんの練習問題が載っています(1000円)。両方セットで2,200円です。

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