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No.766文字への興味を引き出すには?(3) 投稿者:きいじい(掲示板管理者) ...2016/10/07(Fri) 22:55

前回までは、まだ、文字を知らないあるいはまだ文字を読めない子に、どうやって文字に興味を持たせていくか、生活の中でのさまざまな工夫・配慮、方法について述べました。今回は、少しずつ文字に興味をもってきた子に対して、家庭でさらにどんな活動・あそびをすればよいか書いてみます。
 
 ファイル1でまずぜひやってほしいのは、50音指文字・文字表(全国早期支援研究協協議会発行A4版パウチ版)をお風呂場の壁に貼って、お湯から上がる前に「あ、い、う、え、お・・・」と読んでほしいことです。文字を知らない子は文字を、指文字を知らない子は指文字を、そして日本語の音韻(清音)を規則的に表した50音表を頭に入れて記憶してほしいことです(もちろん毎日少しずつやればよいです)。50音表が頭に入っていると将来、辞書を引くときに役立ちますし、動詞の活用を学習するときにも50音表は必要です。
 毎日続けて縦に全部言えるように、そして縦に言えるようになったら次は横に「あ、か、さ、た、な・・・」と言えるようにしましょう。これは発音練習も兼ねて(きれいに発音することではなく、自分がどの音を言っているのか構音のイメージをつくるためです)やるとよいでしょう。

 その50音表を使ったクイズは年長さんレベルですが、「右から2列目の上から4番目」の音韻(文字)をさがすクイズで、「マトリックス」というグラフや表作成の基礎となる方法をこうしたゲームの中で身につけることができます。

 また、「いくつ叩いた?」という音あそびは、音韻が認識できない子や聴力の厳しい子、数量概念が3〜4くらいの子にとっては、音だけで当てるのは意外と難しいものです。

文字への興味を引き出すには?(3) - きいじい(掲示板管理者)   2016/10/07(Fri) 23:02 No.767
ファイル2の「○のつくことばあつめ」はよくやる遊びのひとつ。語頭だけでなく、「さいごが○になることば」(語尾)や「真ん中が○になることば」などは、たくさん並んだ絵カードの中から探し出すといった工夫をすれば年少さんや年中さんでも取り組めるでしょう。

また、「しりとり」「さかさことば」や階段などでじゃんけんしながらやった「グリコ」(グーならグリコ、チョキならチョコレート)は音韻意識を高める遊びとして昔からよくやる遊びです。また、「2音のことばさがし」などは絵を手がかりにしながらやれば年少さんでもやれるでしょう。

「なぞなぞ」はピンからキリまでありますが、ここでは簡単な問題からやります。「黄色くて細長いたべものなーに?」「あさのあいさつ、なーに?」など、子どもが知っていることばでやります。
こうした遊び方は『どうすればことばが育つか?』(全国早期支援研究協議会)の中にたくさん紹介されています。

文字への興味を引き出すには?(3) - きいじい(掲示板管理者)   2016/10/07(Fri) 23:17 No.768
また、日本語習得に関して子どもの課題がどこにあるのかを明確にしておくことも大事です。
ファイル3は、まだまだことばの数が少ない子どもが、今、学習段階のどこにあるのかを明確にするための段階表ですが、「語の音韻」のレベルで躓いているとその先になかなか進めません。そうした子はワーキングメモリーにも課題をもっている子どもが多いので、段階を追って少しずつ着実にことばを身につけ、いっぺんにたくさんのことを要求して自信を失わせないような配慮が大切です。
 
日本語の語彙数を増やすことは、読み書きの力を身につけ、学力を身につけるために、その土台となるとても大事なことです。これまでに紹介した幼児期におけるさまざまな言語活動を、家庭でもぜひしっかりと楽しく取り組んでほしいです。

No.761ろう学校を見学して 投稿者:きいじい(掲示板管理人) ...2016/10/02(Sun) 09:54

 将来、教員になりたいという大学生と一緒に、ある公立の聾学校を見学しました。今日は、その時の学生の感想文を紹介してみます。書いてくれた二人の学生は聾学校の見学は初めて。とても新鮮な印象をもったようです。また、二人とも特別支援教育専攻でありませんが、聾教育には関心があり、見る視点もしっかりしています。ぜひ、将来、聴覚障害教育の世界に来てほしいなと思いました。

        ろう学校を見学して

「まず驚いたのは、私が思っていたよりも口話でのやり取りが多かったことである。これは集団補聴器システムが各教室に設置されていることも大きいといえるが、多くの子どもが手話を用いながらも自分の言葉で表現していた。どの授業でも自分の考えを表現することが重視されていたと思う。国語の授業では教師の問いかけに対して、一人ひとりが声に出して答えていた。普通学校であれば「どれだと思うか?」と挙手で意思表示させるような場面でも、ろう学校ではたとえ前の人と同じ考えであっても、再度自分自身で説明をしていた。「私は〜だと思います。なぜなら・・・だからです。」と発言の仕方も教師が指示していたため、互いの考えが伝わりやすいと思った。
 
 そして、聞く側への指導も徹底されていた。話す側は全員に対して話し、聞く側は話してる人の方を向く、という姿勢が大事にされており、ろう学校ではこうして授業での共通理解を図っているのだと学んだ。聴覚に障害を持つといっても、やはり子どもは多様である。滑らかに話せる子どももいれば手話で考えを伝えようとしている子どももおり、少人数学級とはいっても個別の対応が大切であると感じた。
 音楽の授業では、教師が指文字を用いたり次に音を出す人の方に大きい動作で示したりして各個人に指示を出している様子が見られた。教育では個別指導も集団指導もやはり重要である。

 教室内には授業で用いた語彙カードや写真がたくさん掲示されており、視覚的に言葉が入ってくるような環境が整えられていた。観察カードには「目で見て分かったこと」には目のマーク、「触って分かったこと」には手のマークが描かれていて書くべきことがわかるようになっていた。教室内で特に印象的だったのはカレンダーである。月表示のものは「今週」「来週」「今日は一か月の中でもどのあたりか」ということがわかるようになっており、日めくりのものでは「昨日が何日」「今日は何日」「明日は何日」ということを示しているというように、何種類ものカレンダーがそれぞれ意味を持っており、目には見えない時間の流れが視覚的に感じ取れるようになっていた。視覚教材はただ提示すればよいのではなく、工夫を加えて効果的に用いることが大切だと感じた。・・」(国立大学教育学部社会専攻2年)

「学校見学では、本当に多くの子供が障害の有無に関わらず活き活きと生活する様子が見られた。先生方に加え、保護者や地域の方々が子供に寄り添うことでのびのびと学べる環境が作られていると感じた。加えて乳幼児相談や、実際に聴覚障害のある方が行う保護者への講習会など児童だけでなくその家族全体を支援する取り組みも大きな特色だと感じた。このようにろう学校では子供を支える多くの工夫があった。

 また、特に学習面においてはより専門的な知識に基づいた指導が行われていると感じた。いくつかの教室や授業を見学しているうちに、このろう学校では、「日本語の獲得」「聴覚障害に対する自己理解」の二点に力を入れていると感じた。
 まず「日本語の獲得」のために、できるだけ多くの言葉に触れる機会が設けてあると感じた。どの教室にも作文や習った言葉のカードなどが、特に「助詞」に意識が向けられるように展示してあった。読書コーナーも設置され子供の興味を引きそうな本が多く置いてあった。手話で獲得した概念を文字に起こしさらにそれを何回も見ることでより確立した日本語を学習していくと感じた。加えて、中~高学年に上がるにつれて文法の概念もより詳しく取り入れていると感じた。より確実に読み書きの力を高めるために、文法を意図的に学習していると感じた。例えば6年生の国語の時間では固有名詞とは何か?活用とは?といった概念を健聴の子供たちに比べてより丁寧かつ実践的に学習していると感じた。
 また実際に発音指導の様子を見ることができ、とても良い機会になった。発音指導は大きな鏡の前で先生と一対一で行われていた。指文字や手話を使いながら子どものペースに合わせ、できたところにはシールを貼り目に見える評価を行うなどモチベーションが続くような取り組みが多く見られた。以上のように確実な日本語を獲得するための様々な工夫が施されていると感じた。
 
 次に、ろう学校では自分自身の聴覚障害について考える機会が多く設けられていると感じた。例えば展示物の中には聴覚に関するものが多く見られた。スピーチバナナや聴覚の仕組みなど自分の障害に関する正しい知識を身につけるきっかけを与えていると感じた。また6年生の教室で行われていた自立活動が非常に印象的だった。 その授業は「将来」をテーマとし映像を通して自分の未来について考えるというものだった。将来をイメージすることで、社会の中の自分を考え、自分の苦手なこと・できることをとらえなおすきっかけになると感じた。以上のように、ろう学校では学習面に加え児童の卒業後の人生を見通した教育がより重要になってくると感じた。・・」(国立大学教育学部英語専攻2年)

No.743文字への興味を引き出すには?(2) 投稿者:きいじい(掲示板管理者) ...2016/09/28(Wed) 05:49

前回は、文字への興味を引き出す方法として、「体験カード」「絵日記」「ことば絵じてん」「絵本の読み聞かせ」について述べました。
今回は、日常生活の中で文字に触れる機会をできるだけ多くするために、家庭でどんな工夫配慮をすればよいか書いてみます。

ファイル1は、家の中にあるいろいろなものに名前シールを貼るというもので、これも古くから行われてきた方法の一つです。ただ、ファイルの例のように「くっきー」「のり」と書いてあっても、子どもにはそれがどの部分をさすのかわからないこともあります。もしかしたら「くっきー」というのは楕円形のかんのことで、「のり」というのは円形のかんのことだと思っているかもしれません。ですから、必ず「かんの中のくっきーを1こちょうだい」とか「かんに入っているのりを出して」など、その中に入っているものが「くっきー」や「のり」だということが理解できるように、また、どのようにそれを生活の中で使っているのかという実際の場面の中での利用方法などと共に、そのことばを理解させていくことが大切です。

買い物メモ(ファイル2) - きいじい(掲示板管理者)   2016/09/28(Wed) 05:57 No.745
 ファイル2は、「買い物メモ」を子どもと一緒に作る方法です。「今日、スーパーで買うものは・・・カレーを作るから、じゃがいもでしょ・・」などと子どもと一緒に作り、それを持って行き、「どこにあるのかなあ・・」と子どもに探させます。その時にジャガイモだけでなく、にんじんやたまねぎも、「野菜」として同じ青果コーナーにあることなども教えるとよいでしょう。

 ファイルの「遊具箱の分類カード」は「上位概念」を使ったおもちゃの整理です。バス、電車、飛行機のおもちゃは「のりもの」の所に入れるなど概念カテゴリーの学習に役立ちます。

筆談メモ(ファイル3) - きいじい(掲示板管理者)   2016/09/28(Wed) 06:01 No.747
ファイル3は「筆談メモ」。いつもメモ帳を持ち歩き、必要に応じてササッとメモ書きして子どもに見せます。子どもの言いたいこと、今、見ているもの、ときには自分の気持ちなどを単語や文にして表します。
 単語〜3語文程度の分かち書きでカードに書き、家に帰ってからその単語や文にあわせて絵カードや写真カードをつくり、かるたにするというのもよいでしょう。

連絡ボード(ファイル4) - きいじい(掲示板管理者)   2016/09/28(Wed) 06:06 No.748
ファイル4は、「連絡ボード」。母が留守のときなどの連絡に、お父さんや兄姉からの連絡などいろいろな使い方ができます。
また、家族間の「交換日記」なども面白いかもしれません。そのほか、「誕生カード」「お祝いのメッセージ」などいろいろな機会を通じて、文字を使う場面を日常の生活の中に設け、子どもに文字を見せる機会を多くすることが、子どもが文字に興味をもつことに自然につながっていくと思います。

月カレンダー(ファイル5) - きいじい(掲示板管理者)   2016/09/28(Wed) 06:14 No.750
 ファイル5はカレンダー。
時間の概念は難しいので、継続することが大切です。スペースがあれば、大型カレンダーを壁などに貼っておき、そこに子どもに関係のある予定を絵、写真なども使って書き込んだり貼ったりしていきます。
 また、小さめのカレンダーを円形にならべ、1年間のカレンダーはぐるぐる回っていることを示します。季節の欄には中にその季節の絵や写真などを貼るのもよいでしょう。

日めくりカレンダー(ファイル6) - きいじい(掲示板管理者)   2016/09/28(Wed) 06:20 No.751
 月カレンダーだけでなく、ファイル6のような日めくりカレンダーを用意しておき、その日が終わったらめくり、めくった日付の紙を捨てないで横に並べて貼っていくと、7日間ごとに一巡すること、そして、それが「1週間」だということがだんだんとわかるようになります。

No.729文字への興味を引き出すには? 投稿者:きいじい(掲示板管理者) ...2016/09/22(Thu) 16:28

「2歳の高度難聴幼児で手話を使っていますが、文字への興味を持たせるためにどのような配慮が必要でしょうか?」という質問をいただきました。

 家庭での文字環境は、その子がまだ文字や指文字がわからない1歳の頃から、いつでも文字や指文字への興味が引き出せるように準備をしておく必要があります。
 そのためにやっておくことは沢山ありますが、ここではとくに文字について1〜2歳から準備をしておくとよいことを、3回に分けて書いてみたいと思います。今回はその1回目です。

 まず、ファイル1のように、手話が日本語の音声、指文字、文字などで表せることがわかり、手話と日本語が単語レベルで互換性がもてることが必要です。

そして、これまでの聴覚障害教育の中で用いられてきた伝統的な方法として、まず「体験カード」を作る方法から紹介します(ファイル2)。

まず、「体験カード」から(ファイル2) - きいじい(掲示板管理者)   2016/09/22(Thu) 16:34 No.730
これは、親子で体験したことをその場で絵にする方法で、絵日記の前段階に位置するものです。絵に単語や2語文程度の文を添えていきます。子ども自身が体験したことであれば、その絵をあとで一緒に見ながらいろいろ会話ができますし、再現あそびなどに結びつけることもできるでしょう。また、その時に使った物などがあれば一緒に貼り付けておくなどもよいと思います。

絵日記へ(ファイル3) - きいじい(掲示板管理者)   2016/09/22(Thu) 16:38 No.731
 ファイル3は、絵日記です。スケッチブックを1冊準備し、その子だけの絵本のようにして作ります。しかし、学校で子どもがやったことで、親は知らないことなどもあるでしょう。そのようなことを子どもは親に伝えたがります。それをていねいにききとって絵にし、文を添えて作ります。最初は2〜語文で、年齢が進むにしたがって文も長くし、文法的なことも扱っていきます。また、助詞や動詞の活用を空欄で書き込み式にしたり、名詞修飾句を使ったり複文を用いたりなどだんだんと中身をレベルアップしていきます(全国早期支援研究協議会「どうすればことばが育つか?」900円参照)。

効果的なことば絵じてん作り(ファイル4) - きいじい(掲示板管理者)   2016/09/22(Thu) 16:44 No.732
 ファイル4は、「ことば絵じてん」です。これは絵日記とは違い、ことばをあるカテゴリーによってまとめて整理していくもので、絵日記が「物語」とすれば、これは「辞典」にあたるものでしょう。ことばやモノ同士の関係を整理したり、より大きな概念カテゴリーで括っていくことで抽象概念の習得につなげていくことができます。

 比較的最近になって私たちが開発してきた方法で、ことばの概念やことばの数を増やす効果があると、いろいろなところでよく耳にするようになりました。ぜひ取り組んでみていただきたい活動です。ただ、絵日記と並行して毎日やるのは時間的に無理。組合せ方の工夫が必要です。また、子どもと一緒に作るのが大事です。親だけで作って子どもに与えても何の意味もありません。(作り方は「どうすればことばが育つか?」参照)

絵本の読み聞かせ(ファイル5) - きいじい(掲示板管理者)   2016/09/22(Thu) 16:49 No.733
 ファイル5は、絵本の読み聞かせです。これも絵日記とならんで伝統的に取り組まれてきた方法です。文字への興味はもちろん、子どもの想像力や推理する力、因果関係を理解する力、登場人物の気持ちの理解などいろいろな力を伸ばすためにも大事な活動です。

 物語絵本は、事例のように再現あそびと絡めてやると子どもはさらに絵本が好きになり、結果として文字や文への興味が増します。
 
 子どもが文字に興味をもって自分でも読みたがるようになったらしめたもの。そのためにも絵本は毎日1册は必ず読んであげる習慣にしたいものです(掲示板NO717参照)。物語だけでなく、辞典や科学絵本などもよいと思います。読めるようになってきたら「○読み」「段落読み」など読み手を交代しながら読むのもよいでしょう。(「どうすればことばが育つか?」参照)

 以上がまずぜひ取り組んでいただきたい文字の世界へ子どもを導くオーソドックスな方法です。次回は、これらに加えて、それぞれの家庭で取り組むとさらに効果的な方法や配慮について紹介します。

No.717語彙力をつけるために 投稿者:きいじい(掲示板管理者) ...2016/09/16(Fri) 21:43

きこえない子のことばのつまずきの大きな要因は、日本語の語彙数が少ないこととそれぞれの語の概念の中身が薄いことでしょう。語彙数の問題で言えば、例えば6歳のきこえる子のもっている表出語彙は3,000語以上、理解語彙はその2倍以上と言われており、それだけの語彙数をきこえる子は持っているという前提で小学校1年の教科書は作られています。
しかし、きこえの程度にもよりますが、きこえない子たちの語彙数は、日常会話に必要とされる1,500語より少ない子のほうが多いのではないでしょうか。
 
では、語彙力をつけていくよい方法はあるのでしょうか? 幼児期においては、日々の暮らしの中で使われる語をききとり(読みとり)、その語を自分で使うこと(表出する)によって身につけていくわけですから、周りの人との日本語(音声・文字・指文字)を使ったやりとりの中で習得していくことは確かです。

 それでは、きこえる子はどのように周囲との関わりの中から語を増やしていくのでしょうか? ある調査(内田伸子2008)ですが、3,000人を対象に調べた結果(ファイル参照)、子どもの語彙力は親の育児スタイルと密接な関係があったということです。
 その調査研究で見出された親の育児スタイルとは、「共有型」「子負担型」「強制型」の3つのスタイルで、その中で子どもの語彙力が最も高かったのは「共有型」だったというのです。その「共有型」の育児スタイルには、以下の特徴がみられたとも報告されています。

1.子どもと一緒に経験を共有することを楽しんでいる。
2.子どもに考えさせ、判断させている。
3.子どもと一緒に本を読んでいる。
4.勝ち負けのことばを使わない。

 つまり、手っ取り早く言えば、これが子どもの「語彙力」を高めるコツなのです。以下、きこえない子の例を保護者の育児記録から引用してみましょう(事例は私が知っているものからの選択。親は口話併用手話。子は手話で会話している)。

1「子どもと一緒に経験を共有することを楽しむ」(事例A、2歳半、高度難聴)

「さあ干すぞ!」とベランダでTシャツをパンパンすると粉々ティッシュが舞う。「あ〜あ、やっちゃった」と愕然としていると、それを見ていたAが「雪!」と手話。私はそのAのことばにはっとして、「本当ね。Aちゃん、雪みたいだ〜」。がっかりモードだったけれどAのこのことばに、「え〜い!掃除は後回し!」。ベランダ中に洗濯物の雪を降らせ、二人で楽しみました。
 
 よくある生活の一コマですが、くさらないで子どもの発言に共感し、一緒に楽しんでしまう母親の関わりは、子どもとの共感関係を築き、世界に目を向け、いろいろなことに立ち向かっていく子どもの意欲や興味・関心を育てるだろうと思います。そして、親子で交わされる会話の中で、ものごとに対する豊かな概念や語彙が身についていくと思います。


2.子どもに考えさせ、判断させる(事例B、3歳1ヵ月、高度難聴)

 部屋の片隅に洗濯物を干す四角いハンガーを持って座り、それをドアに見立てて出たり入ったりして遊びました。最初はドアをたたいて、「ただいまー」「いってきまーす」を繰り返していました。そこで私が「どなたですか」と尋ねると、キョトンとしていたので「Bさんですか?Cさんですか?」と言うと、「Bでーす」。母「いらっしゃい。何を持ってきたの?」B「○○持ってきたー。どうぞ」と私に渡して、B「いってきまーす」と出て行き、他のおもちゃを持ってまたドアをトントン・・かなりの時間、その遊びを繰り返しました。持ってきたおもちゃについても母「どうやって遊ぶの?これ、小さいね。もっと大きいのはないかしら?」など色々とお話ができました。
 
 Bちゃんの始めた遊びに付き合い、やりとりを上手に発展させていっています。B君に考えさせるような質問もしながら、会話を発展させています。

3.子どもと一緒に本を読む(事例C、2歳半、高度難聴)
 今日の絵本は0〜2歳児の絵本『だれかしら』。本を読む前にベッドで、動物指人形でうさぎさんねんね、ぞうさんねんね…などやっていました。本もちょうど動物がいろんな物陰から隠れてからだの一部を覗かせて何の動物だろうと考える繰り返し。表紙から始まります。「C、これ誰?」ときくと、んー〜と考えているのか、考えていないのか。なので、動物指人形を本の後ろに隠し、うさぎさんの耳、象さんの鼻、しまうまの大きな鼻などを本から覗かせ、「C、これ誰?」ときくと「うさぎ」「しまうま」と体全体で答えてくれました。最後は…ママ、ママが本で顔を隠し「C、私はだれ?」ときくと、ケタケタ笑い出しました。これでようやく本のポイントがつかめたようで、1ページ1ページずつ丁寧に、「これ何だろう?」「うさぎさんかな?」とか、「わにさんだね〜」「これはうさぎじゃないね」と楽しく読むことができました。

 絵本を読み聞かせている時に、Cちゃんが尋ねられている意図の理解が曖昧かなと感じた母は、絵本から離れて遊びに切り替えました。指人形を使って「だれかな?」と、からだの部分から類推する遊びにつなげてみました。目の前で繰り広げられた当てっこ遊びがとても楽しかったCちゃん、今度は絵本の中で当てっこ遊び。母との遊びが基本にあるので、一緒に考えながら親子で絵本を楽しむことができています。母の上手な絵本の読み聞かせが素晴らしいです。

4.勝ち負けのことばは使わない
 これは「ほ〜ら、だからお母さんが言ったでしょ」など、子どもの行動を結果的になじったりけなしたりするようなことを言わないということでしょう。また、正解不正解を必要以上に評価しないことです。間違うことを恐れるようになり、ことば遊びを楽しめない子が時々いますが、そのような子には答が決まっていない、一つではないクイズ、例えば「まるいものな〜んだ?」などから始めるとよいでしょう。(事例省略)

 子どもの語彙力の基本には、家庭での親子関係のあり方、子どもと関わる上で何を大事にするかという家庭の育児スタイルが密接に関わっているということが研究結果から示されています。とくに0歳から3歳頃までの乳幼児相談(早期教育)の時期に、この親子関係の土台をしっかりと築くということが子どもの語彙力を高めることにつながっているということだと思います。

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