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No.1150きこえない子にとっての絵本とは? 投稿者:きいじい(掲示板管理人) ...2018/01/08(Mon) 12:16

 新年おめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。

 さて、今日は、きこえない子にとっての絵本の読み聞かせについて考えてみたいと思います。
 昔から絵本と絵日記は、きこえない子のことばを育てる重要な教材と考えられ、聾学校や療育機関では、絵日記を書くことと絵本を読みきかせることが、親の“宿題”として課されてきました。絵日記のほうは、書いた翌日などに先生にみてもらい、子どもがその内容について話さねばならないという課題があるのでなかなかサボるわけにいきません。
 しかし、絵本の読み聞かせは家庭でやることであり、学校で「発表」するという課題もないので、ついついおろそかになってしまっている家庭も少なくありません。
 確かに、きこえない子に絵本を読むときに、そのまま絵本の文を読んでも、ことば(日本語)がわからないので子どもに内容が伝わらないという難しさがあるのは確かです。
 また、本を読むという習慣が親ごさん自身にないとか、自分が小さい頃にも読んでもらった経験がなく、絵本の楽しさがわからないという人もいます。
 さらに、最近ではテレビやビデオだけでなく、外出時などにスマホやタブレットを子どもに持たせて、動画を見せている親御さんも少なくありません。こうした機器が一概にダメとは言えませんが、スマホやタブレットの映像は親子で共に楽しむというよりも、色彩も動きも子どもには強烈な刺激なので、子どもはそれにひきつけられて「一人で」黙々と見入っていることが多く、それを「見せて」いる間に、親は別の用事をしたりメールをしている、といった姿もよく見かけるようになりました。 勿論、絵本もただ絵本を持たせて子どもに絵を「見せて」おくことや字が読めるようになった子に文字を自分で「読ませて」おくこともできるでしょう。しかし、これではせっかくの絵本も十分にその意味が活かされているとは言えないように思います。

 では、絵本とは何でしょうか? 絵本は、子どもが自分で読むというよりは、大人が子どもに読んであげるものだと思います。それを私たちは絵本の読み聞かせと言っていますが、絵本の読み聞かせとはただ文字づらを読むことではなく、大人自身がそこに語られている物語の内容を読み取り、理解し、それを自分の「ことば」(=音声・手話・指文字・身振りなど)で伝えることだと思います。大人が自分で絵本の中身を読み取り、その楽しさやよさを実感すれば、絵本のことばは本当に生き生きとした「ことば」となり、温かい、豊かなイメージをもった「ことば」として子どもの心に伝えることができます。
 
 こうした「ことば」の伝わり方や気持ちの伝わり方は、子どもが一人で読んでいるだけでは決して味わうことができません。大人が自分の「ことば」で心をこめて読んであげたときにこそ伝わることであり、そのためには、大人自身がその絵本の中身を深く理解し、作品に共感できることが大切ですし、それを子どもに伝えることができたときに、子どもはその絵本の中へ深く入ることができ、その体験が子どもの心を成長させる糧になるのだと思います。
 それが絵本を読み聞かせる大切な意味です。決してきこえない子の日本語の読み書きのことば向上のために読むのではありません。絵本は大人と子どもが絵本という作品を通して心と心を通い合わせる場です。その場をぜひ、日々、作ってあげて欲しいと思います。1日1回の読み聞かせの時間を作るというのが理想ですが、それが難しい家庭は1日おきでも3日に1回でもよいと思います。継続は力なり。親子で触れ合うその経験こそが、子どもの人生の豊かさにつながる、それが絵本の読み聞かせの本当の意味なのだと思います。

きこえない子にとっての絵本とは? - きいじい(掲示板管理人)   2018/01/08(Mon) 16:17 No.1151
絵本を通して親子で豊かなコミュニケーションをすることは、子どもの心の成長とことばの発達に繋がります。

No.1149情報を保障することの大切さ 投稿者:きいじい(掲示板管理人) ...2017/12/26(Tue) 10:18

 きこえない子たちの読み書きの力や学力がなぜ低いままにとどまってしまうのか? その最も大きな要因は、きこえる子と同じだけの情報が保障されないからだ、と私は思っています。
 都内のある聾学校に行ったとき、壁に『ひよこだより』というおたよりが掲示されていて、そこに情報が欠けることから起こってくる問題点がよく整理されて書かれていました。今回は、そのおたよりから引用したいと思います。(以下、「ひよこだより」H29.NO5から引用)

●心理的な問題
 きこえる家族が当たり前に得てきた情報を、きこえない本人だけが知らないまま育ち、後に自分だけが知らなかったことを悔いる、その悔しく、悲しい思いは、聴者家庭で育つ多くの成人聴覚障害者が振り返って語ることです。幼い頃に家族が何を話しているのか尋ねると、いつも「結果をまとめて簡単に伝えてくれるだけだった。」「誰が何を話しているのか、全てが知りたかった。」「話のプロセスが知りたかった。」と、結果や要約した情報提供しか与えてくれない家族の対応に、納得がいかなかった思いを話される方々は少なくありません。幼い頃は、わからなくても気にならない、こんなものと思っていても、徐々に年齢が進めば自分だけがわからない孤独感や疎外感を感じるようになります。ひとたび地域の幼稚園や学校、一般社会に出て行けば、聴者がほとんどでの世界で、飛び交う音声言語環境の中できこえない人は情報が入らず、不甲斐ない思いを抱えることが多々あります。だからこそ、一番身近な家族の中ではこうした孤独や疎外感を味わわせないよう、本人が安心し、分かる喜びを味わえる環境を整えることを考えていただきたいと思います。

●知識が入らない問題
 地域の小学校で学ぶ子供たちは、座席は前から2番目、または1番前といった前方で、先生の話がよく聞こえる場所にと配慮してもらっている子供たちが多いです。しかし、先生の話はよく聞こえるようになっても、今度は後ろや横の離れた席に座っている友達の発言が全く聞こえないということが起こります。先生が「夏休みに生き物を飼った人!」と発問した時に、「ハイハイ」と手を挙げながらも、子供は「俺,、カブト虫とクワガタ飼った。」「俺は、セミ。すぐ死んじゃったけど。」すると別の子供が「セミなんて飼えないよ。木の汁吸うから無理だって聞いたよ。」「でもうちの従弟は砂糖水含ませた布を割りばしに縛ったら飼えたって言ってたもん!」…次々、発言が飛び交います。先生の発問に対して、友達がどんな体験をしたのか、その発言の中にたくさんの知識が盛り込まれています。こうした何気ない会話から得られる情報がごっそり抜けることが知識の差につながるわけです。

●コミュニケーション力や思考力の問題
 相手の発言がしっかりわかることは知識が得られるだけでなく、相手の発言にある情報を元に自分はどう思うか、どう考えるかが可能になるわけです。つまり、情報が入らなければ、感じる、考えるというスタート地点にすら立てないことになります。相手の話がわからなければそれについて感じたり、考えたりしないまま過ごすことになり、結果自分だけの世界で楽しむことを見つけ、自分の心の安定を図ろうとする防衛反応が働くことになるのです。それは、聴者の学校でずっと過ごしてきた聴覚障害者がよく話してくれる「空想の世界をもつこと」や「読書の虫になること」なのだろうと思います。文字は確実に目から入ってくるので、情報は得られることになるでしょうが、対人関係の中で情報を得る体験が不足することになります。

●対人関係の問題
 両親の会話で「姪のCちゃんが今度小学校に入学するからお祝いを包まなきゃね。」、入院している友達のお見舞いに出かけるお姉ちゃんに「お花を持っていくなら、鉢植えの花はダメよ。切り花にしないとね。鉢植えの花は根が付く(寝付く)と言われていて、病気が長引くと言われているのよ。」とママが話している、そんなお祝い事やお見舞いの配慮等、人との関係の中での常識も、何気ない日常の会話から自然と身に付けていくことが多いものです。その何気ない会話が入らないことで、常識を知らないまま育つことは、相手に不快な思いをさせたり、関係を悪くしたりというように、より良い対人関係が築けないことにもつながりかねません。
親御さんに、子供が何かを尋ねてきた時に、「あなたには関係のないことだ。」とは言わないでほしい、本人が知りたいと思って尋ねてきた時には、きちんと説明をすることが大事だと、いつも聾の人がお話ししてくれます。全ての情報を与えて、その中で必要か、必要でないかを考えるのは本人だと言います。親御さんが必要と思う情報だけを与えていると、本人は与えられる情報が全てだと思い、自分から意欲的に情報を取ろうとする意欲が育たないと彼は言います。確かに、乏しい情報で満足してしまえば、上記に挙げたような情報が入らない問題につながることでしょう。大切なのは自分から情報をとりたいと思う意欲で、その意欲を育てるためには、「情報が入ることでわかる」経験を積めるような環境を作ることだと思います。全部わかるような、豊かな情報が入る環境に置いてあげることで、わからない時には知りたい、わからないままでは納得がいかないという気持ちが育つはずです。わかることを知らないで、わからないことはわからないわけです。いかに日常生活の中で「情報が入ることでわかる」環境を作り上げていくかが、子育ての大事なカギになると思います。きこえない人が会話に参加し、リアルタイムに情報を豊かに得るためには、聴者が手話を使って、目で見てわかる会話を保障することが大事なのは言うまでもないことです。聴者にとっては努力のいることではありますが、大切なわが子が情報が豊かに入ることでわかる喜びを味わえるようにするために、子供が小さい時期からしっかりと考え、対策を立てていく必要がありますね。これは、軽・中度難聴、人工内耳装用児であっても必要なことです。(以上、菅原仙子『ひよこだより』H29.NO5より抜粋掲載)

 社会に出たろうの人たちは、ときどき「常識を知らない」とか「空気が読めない」とか批判されることがあります。私たちの社会には、あえて言語化はしないけれど誰でも知っていること(知識・常識)があります。
 例えば、私の経験したことですが、聾学校の小学部の子がこう言いました。「先生、ぼくね、幼稚部のときに、時々お母さんと一緒にタクシーで家に帰ることがあった。その時、とっても不思議だと思っていたことがあったんだよ。それはね、どんなタクシーに乗ってもね、どのタクシーの運転手さんもぼくの家をちゃんと知っていて家まで届けたくれたことだよ。」また別のある子がこう言いました。「ぼくも不思議なことがあった。外で近所の子たちと遊んでいてね、いつも、ある時になるとね、いっせいにみんな家に帰っていくんだよ。どうしてみんな突然帰っていくのかぼくはわからなくて、いつもポカーンとみんなを見送っていた。大きくなってわかったんだけど、5時に役所のサイレンが鳴っていたんだって。知らなかったよ。誰も教えてくれなかったし・・。」

 長い時間の中での情報の不足が積み重なった結果として、読解力とか学力に必要な幅広い知識や常識、思考力の不足につながっていくこと、そうした結果を防ぐ意味でも、最早期からの言語の獲得すなわち手話をみんなで使うコミュニケーションの大切さがおわかりいただけたのではと思います。

No.1144絵日記はなぜ書くのか? 投稿者:きいじい(掲示板管理人) ...2017/12/19(Tue) 14:48

 はじめに、0歳後半頃から始まる「写真カード」、そして1〜2歳での「コミ・カード」、そして2〜3歳頃から始まる「絵日記」について、それらの意義について考えてみたいと思います。
 
1.「写真カード」
 赤ちゃんは0歳の後半期になるとだんだんと、経験したことを頭の中にイメージ(映像)として記憶できるようになってきます。そうすると、例えば新幹線に乗った経験などもその時に撮った写真をあとで見て、その時の楽しかった経験を思い出すことができるようになります。 (添付ファイル参照)

 写真をみて様々なことを思い出せれば、まだことばがわからなくとも(といっても言語の表出はまだでも理解はある程度できてきます)、写真をみて、親子でコミすることができるようになってきます。「Cちゃん、これから買い物に行こう。ほら、ここだよ」と言いつつ、いつも行くスーパーの写真を見せながら語り掛けると、子どもはスーパーの写真を見て「アッ」と指さしをしてスーパーでの買い物を思い出したりすることができます。この段階では「写真カード」にはまだ文字はあまり書かれていません(書いても差し支えありませんが)。

2.「コミュニケーションカード」(コミ・カード)
 さらに年齢が進むと、子どもが喜んだり興味を示したことに対して、ささっと絵を描いたり写真にとって記録として残しておき、あとで子どもと一緒に「楽しかったね〜」と振り返ったりできるようになります。もちろん楽しかったことだけでなく、転んでひざをすりむき泣いたことなどもよいでしょう。

このように、子どもが印象付けられたことをその場で絵や写真に残し、子どもと経験を共有したり、あとで(なるべくその日に)、子どもと一緒にもう一度印象深かった経験を振り返ってみたりするのが「コミュニケーションカード(コミ・カード)」で、これはもう「絵日記」とほとんど変わりません。あえて言えば、カードに書いてその場での会話に使ったり、持ち帰ってスケッチブックに貼りつけるといった点が違うかもしれません。

3.「絵日記」
 聾学校の幼稚部や療育機関では、「絵日記」をかくことを保護者に課していることが多いと思います。しかし、なんのために絵日記をかくのかといったねらいが保護者に伝えられていないことも多く、保護者の負担になっていることも少なくありません。
 私は、絵日記には、以下のような大切な意味があると考えています。

(1)絵日記は子ども本人が主人公の(絵)物語。
本人の経験したこと(やったこと、見たこと、思ったこと、感じたことなど)を綴った自伝的記録ですから、子どもにとっては世界で一冊しかない貴重な本です。子ども本人が将来、自分でこの記録が書けるように、今は親が手伝って一緒に書いているわけです。

(2)文を書く中で、その表現方法(技術)を伝える。 
単語から2語文へ、そして3語文へ多語文へと、日記に綴る文は、子どもの成長と共にだんだんと長くなっていきます。と同時に、いろいろな表現の仕方、例えば「オノマトペ」を使ったり、例えや比喩を使ったり、会話文を入れたり、受動文や使役文、接続詞、複文などの表現方法などを、子どもの表現力の成長と共に意図的に使うことで、子どもが将来自分で使えるようにウォーミングアップをします。

(3)絵日記の中身を人に伝える力を育てる
聾学校などでは、親子で書いた絵日記を、翌日、担任の先生にその内容を伝えたり、クラスの皆の前で発表したりする時間をとっていると思います。これは、書記言語習得への貴重な橋渡しをする機会です。私たちは、将来、手紙やメールを書いたり、会社でプレゼンや報告書など文書を作成したりなど何かを書く機会が必ずあります。その時に必要なことは、「いつ、どこ、だれ、なに、なぜ」などの5W1Hや「はじめに・・それから・・最後に・・まとめると・・」といった順序に沿った文の組み立て方などを、全て自分の頭の中で考えながら、どうすれば相手に伝わるか読み手を想像しつつ、書いていくことが求められます。それが書記言語です。

しかし、その力は一朝一夕につくわけではありません。その前の段階で、自分で伝えたいと思うことをきいてくれる人がいることが必要です。それが「先生、あのね」の段階です。「うんうん、それで?」とか「だれと言ったの?」とか「そりゃ楽しかったね」などと足りないことを質問してくれたり、一緒に共感してくれる人の存在です。そうした練習を経ながら、私たちは自分一人で文が書けるようになっていきます。その大切なプロセスが、絵日記の中身を他者に伝えるという行為の中に含まれています。

以上のような絵日記の意義を踏まえて、ぜひ、お子さんにとって楽しい絵日記を書いて欲しいと思います。もちろん、それぞれの家庭には事情があってなかなか絵日記に取り組む時間がとれないという方もいらっしゃると思いますし、「私は絵が下手で・・」と絵日記に消極的になる方もおられると思います。毎日でなくてもいいですし、写真を使ったり、線画でもかまいません。お子さんに絵を描かせるというのもよいでしょう。その時に使った実物やチケットやレシートを貼り付けるのもよい方法です。週1回でもかまいません。できる範囲でいろいろと工夫しながらお子さんと会話しつつ書く時間は、お子さんにとっても、とても貴重な時間になると思います。

コミ・カードから絵日記へ - きいじい(掲示板管理人)   2017/12/19(Tue) 14:55 No.1145
 その場でササッと書く、コミュニケーションカードは「絵日記」の原型のようなものです。

年少1学期の頃の絵日記例 - きいじい(掲示板管理人)   2017/12/19(Tue) 15:00 No.1146
 子どもが心を動かされたことを題材として選びます。
子どもとその時のことを会話しながら、文はまだ少なめに。2〜3語文で書きます。

No.1140きこえない子との絵本の楽しみ方 投稿者:きいじい(掲示板管理人) ...2017/12/16(Sat) 20:28

きこえるきこえないにかかわらず、生後8〜9か月頃になると、お母さんと自分、モノと自分といった「二者関係」から、お母さんと自分とモノの「三者関係」が理解できるようになり、自分が興味をもったものを指差して大人に知らせようとしたり、大人が指さしたものを自分も見たりするようになってきます。この頃から、赤ちゃんと大人とで一緒に絵本を楽しむことができるようになってきます。(添付ファイル)

 ただ、きこえる子ときこえない子の絵本の楽しみ方の大きな違いは、きこえる子は絵を見ながら同時に大人の話すことを聞くことができるのに対して(「ながら」ができる)、きこえない子は、絵と大人の語り(手話・口話)を交互にみながら絵本を楽しむという点です。そのために大切なことが3つあります。

1.大人、子ども、絵本の位置が三角になるように座る。
 絵と大人の顔(表情・口形)と手話が同時に見れる位置どりが大切。また、絵本との距離、話す大人の後ろに目障りな物がないか、子どもの目に強い光が当たっていないかなど、絵本を読むための環境への配慮も大切。

2.子どもが絵を見る時間をたっぷり確保する。
 子どもが絵を見ているときは、大人は邪魔をしないで待ち(子どもが何に関心を示しているのか観察する)、大人に顔を向けるタイミングを待つ。

3.子どもが顔を上げた時、子どもの見ていた絵について話す。
 子どもが興味関心を向け、じっと見ていたものや指差しをして同意を求めたりした時、それについて共感したことばを投げかける。「大きいぞうさんだね!」「コロコロコロって行っちゃったね」など。

 以上のような基本的なことを理解した上で、読み聞かせをしていくのですが、大人は、絵本に書かれている文をたんたんと読んでしまう傾向があります。絵本の作者メッセージを忠実に伝えるよりも、まずは子どもの興味関心を大切にし、絵本を介して子どもと楽しくコミュニケーションすることを大切にすることです。そのための工夫をいくつか紹介します。

1.文章にしばられないで、本の中身をふくらませる
 子どもが関心を示したところをふくらませる。読みながら、子どもと話し合ったり問いかけたりする。子どもの経験と結びつけるなど。話の筋からそれてもそれはそれでよい。

2.絵本を動かしたり、手(手話)を動かしたりする
 例えば次のページで誰かがやってくる場面では、登場人物がやってくる方向から絵本を動かしながら子どもの前に持ってくるとか、「鳥がとんできました」などで手話を空中でひらひらさせながら舞わせて絵本の上までもってくるなど。

3.次の場面を予想させる
 「次は誰が来るかな?」「どうなるのかなあ?」など問いかけながら、ページをめくる。

4.読みながら身振りで演じたり、声色や表情を変えたりする。
 とくに手話がわからないときはジェスチャーをしたり絵を指すなど。わからなかった手話はあとできけばよい。

5.子どもに催促されたらできる限り何度でも読む。
 子どもは楽しかったことはまたやりたがる。繰り返すことで、子どもはことば(手話・日本語)も確かなものにしていく。

6.読み終わったら、劇遊びをしてみる。
 適当に道具を工夫したり、何かに見立てて劇遊びをする。子どもは絵本のストーリーを再現することで、表現力や想像力を豊かにする。

 以上のようなきこえない子への読み聞かせ方の基本を理解して読み聞かせをしましょう。
 絵本を好きになった子は必ず読み書きや考える力も伸びます。そのことは、「絵本の読み聞かせ」のカテゴリーで紹介した内田伸子らの研究の結果からも言えることです。親子でいや家族で絵本の読み聞かせを楽しんでください。
 以下に保護者育児記録から拾った絵本の読み聞かせの事例をいくつか紹介します。

事例1 0歳10か月「バナナ」
 いつもは絵本のバナナの絵と実物を見せて「バナナ」の手話をしてからバナナを食べる。しかし、今日は何もないところから手話だけで「バナナ」をしてみたら、じーっとかたまって何やら考えている。そこで実物のバナナを冷蔵庫から出すと少しニヤリ。M「じゃじゃーん、これだよ!」と実物を見せると大喜び。触ったり、皮ごとかんでいる。食べる前に絵本と実物を何度も見比べる。そして「甘いね」「黄色いね」「バナナだよ」などと話しかけながら一緒に食べた。

事例2  0歳10か月「ペープサート」
 ノンタンの絵本のペープサートを夫が作ってくれたので、今日はそれを使って絵本を読んでみた。ぶたさんとノンタンが「ごっつんこをして、いたたた」のシーンがお気に入りで、何度が繰り返すとよく見て笑ってくれた。目で見てわかりやすい方法って大事だなと思った。

事例3  0歳10か月「どっちがいい?」
 寝る前に絵本を読む習慣もだいぶ定着してきた。今日はCにどちらがいいか選ばせてみた。「ゆめにこにこ」と「じゃあじゃあびりびり」と並べてM[どっちがいい?」ときくと、「じゃあじゃあ・・」を選んだ。この絵本には踏切が出てくるのだが、M「踏切だ〜。赤ピカピカだね〜」などと言って「踏切」の写真カードを見せるとにやりと笑う。「じゃあじゃあ・・」と「いないいないばあ」を並べてM[どっちがいい?」と聞くと「いないいないばあ」を選ぶ。犬、猫、怪獣・・と続き、最後のお母さんの場面では絵本がお面になるのだが、お面の中の私の目を見つけると笑う。この絵本のよいところは、Cの目の動きがよくわかること。絵の隅々の絵をよ〜く見ている。これからも寝る前のゴールデンタイムを大切にしたい。

事例4(2歳6か月)「絵本読み聞かせ」
 今日の絵本は0〜2歳児の絵本『だれかしら』。本を読む前にベッドで、動物指人形でうさぎさんねんね、ぞうさんねんね...などやっていました。本もちょうど動物がいろんな物陰から隠れてからだの一部を覗かせて何の動物だろうと考える繰り返し。表紙から始まります。「C、これ誰?」ときくと、んー〜と考えているのか、考えていないのか。そこで、動物指人形を本の後ろに隠し、うさぎさんの耳、象さんの鼻、しまうまの大きな鼻などを本から覗かせ、「C、これ誰?」ときくと「うさぎ」「しまうま」と体全体で答えてくれました。最後は...ママ、ママが本で顔を隠し「C、私はだれ?」ときくと、ケタケタ笑い出しました。これでようやく面白さがわかったようで、1頁ずつ丁寧に、「これ何だろう?」「うさぎさんかな?」とか、「わにさんだね〜」「これはうさぎじゃないね」と楽しく読むことができました。

No.1136「ことば絵じてん」づくり楽しんでます 投稿者:きいじい(掲示板管理人) ...2017/12/08(Fri) 13:54

 先日、このHPをご覧になった方から上のようなメールをいただきました。また、お子さんと一緒に作った「絵じてん」のページをいくつか送っていただきました。そこで、今回は承諾をいただいて、メールと絵辞典のページを紹介させていただくことにしました。
以下、メール本文と辞典の中身から。

「わが子は、新生児スクリーニングで重度難聴がわかり、その後、手話を使い始め、1歳4か月で初めての手話「おいしい」が出ました。2歳0か月で人工内耳を片耳して、年中になった今は、声と手話と指文字でコミュニケーションをとっています。
 言葉が上手になると、つい「聞こえている」と思ってしまい、安心してしまいました。
 先日、このホームページの『ことば絵じてん』づくりのところを見てことばのカテゴリーのことを知り、子どもに『上位概念』を質問してみると、果物と野菜の名前はたくさん知っているのに 、分類もできていないし言葉で説明もできない。単語を知っているから、特に説明はしたことはないけれど、自然に分かっているものと思い込んでいたことに気がつきました。子どもの頭の中では、単語があちこちに散らかってるんだなと思いました。

 そこで、ことば絵じてんで頭の中に引き出しを作り、整理しようと考えました。変化は早く、すぐに上位概念を理解して、みるみる頭の中に引き出しができていくのを感じました。誰かに何かを説明するときには、ことば絵じてんのページを頭の中で見ながら話していることが、一緒に作った私にはわかりました。ものにはカテゴリーがあること、色々な見方ができることを教えられたと思います。

 ことば絵じてんの効果は予想以上でした。こどもと一緒に私も学んでいて、大変なこともあるけれど、素敵な時間を過ごせています。
 一番最近作ったのは『秋』に関するページです。体験した事、食べ物、服装など秋にまつわることを集めました。作っていると、ワクワクしてきます。親が楽しいと、こどもも楽しんでいて、どんどんページが増えていきます。こどもも、自分だけの辞典が大好きになって、分からない時は自作の辞典を持ってくるようになりました。

 いまは、子どもと二人で『冬』のページを制作中です。冬に使うもの、クリスマスの料理、虫や動物の冬眠などを作っています。夏のページと比較して違いを学んだりしています。」

 以上です。お子さんと一緒にほんとに楽しみながら、世界にひとつしかない“myことば絵じてん”が編纂されていく様子が浮かんできます。そう、これは、子どもの頭の中に「辞典」を作っていく作業を、紙の上で行っている“語彙辞典を編む”作業なのです。
 きこえる子はとくにこのような作業をしなくても、耳に次々と入ってくることば(新情報)を整理していけばよいのですが(きこえる子は1語につき約800回その語をきいて、その語の概念を旧情報と照合・整理し、新たに語の概念を書き換えているのだそうです)、きこえない・きこえにくい子どもたちは、それだけの情報を「耳から」きくことは、いくら補聴器や人工内耳をしていてもまず不可能です。
 ですから、「みかん、りんご、バナナ・・・」と単語はいくつも知っているのに「果物」「食物」「農産物」「植物」「栽培」「農業」「貿易」といった上位概念や抽象語を知らないということが起こってきます。語は様々な切り口で仲間にまとめ、カテゴリー化でき、それらがそれぞれに関係しあって語のネットワークを構成して膨大な構造を構成しているのが特徴です。
 頭の中にある語を全て視覚化・カテゴリー化することはもちろんできませんが、語のもっているこのような“しくみ”を学習することは十分可能です。「ことば絵じてん」を編纂することは、このような語と語の関係性、そのしくみを学ぶことです。この原理が理解できれば、あとは子ども自身が自分の頭の中で、新しい語に出会った時にそれを整理しながら蓄え増やしていくことができます。
 
 きこえない子が語彙を増やし、抽象語を身につけていくために、語の概念カテゴリーとそのしくみが学べる「ことば絵じてん」づくりをぜひ、お子さんと一緒にやってみることをお勧めします。

「月の満ち欠け」「秋の服装」 - きいじい(掲示板管理人)   2017/12/08(Fri) 14:00 No.1137
最初に取り組んだのが上のファイル「秋の味覚」です。
秋に食べる「果物」「野菜」「魚」など、子どもと会話しながら集めました。

 その後に取り組んだのが十五夜の頃の「月の満ち欠け」、そして秋の深まったころに「秋の服装」に取り組みました。

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