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受動文の指導法

このテキスト(『絵でわかる動詞の活用』)では、さまざまな動詞の活用、例えば時制 絵でわかる動詞の活用.JPGのサムネール画像(過去・現在・未来)、肯定・否定、可能、アスペクト、自動詞・他動詞、授受表現、受動・能動文、使役・使役受動文など、きこえない子が苦手なさまざまな動詞の活用の学習ができるようになっています。その中で、「能動文・受動文」について取り上げたいと思います。

 

〇J.cossにおける受動文の通過率

日本語理解テスト(通称Jcossジェイコス)という文法力を測る検査がありますが、その中に受動文という項目があって4つの問題が配置されています。例えば次のような問題文では、その問題に合う絵を4つの絵の中から一つ選ぶようになっています。

 

問題文 「ぞうは男の人に押されています」

1.ぞうが男の人に押されている絵(*正解)

2.男の人がぞうに押されている絵(*逆の関係=ぞうが男の人を押している)

3.男の人がぞうに餌を与えている絵

4.男の人が車を押している絵

上の4つの絵の中から選びますが、正解は1の絵です。

 

このテストをやったある聾学校の小学部1,2年生の結果は、1または2を選んだ子がどちらもほぼ4割の子たち、3と4を1割の子どもが選択しました。つまり、受動文を正しく理解した児童(NO1を選択)は4割、能動文として理解した子(NO2を選択)が4割になりました。能動文として理解した子たちは逆に理解しただけですから、説明すれば簡単に直せるような気がしますが、日本語の言い方の問題だけなく、誰について言いたいのかという視点の転換の問題があり、この視点の転換がきこえない子にとっては意外と難しいのです。

 

〇教科書に出てくる受動文

 受動文は小1の国語の教科書から出てきます。例えば教育出版の『だれがたべたのでしょう?』という単元では、文頭から以下のような受動文が出てきます。(下図参照) 受動文小1.jpg

 

「まつぼっくりがおちています。まわりだけがかじられたものもあります。」

 

では、なぜ、受動文を用いるのでしょうか? それはここでの主役はまつぼっくりであり、まつぼっくりについてまず注目してほしいからです。まつぼっくりの身になって考えてほしいのです。そして、その次に、これはいったい誰がやったのだ?と疑問を投げかけておき、 そこで頁をめくると、

「りすが まつぼっくりを たべたのです。」と、りすが主語(主役)になった能動文を使っています。もし、ここで、まつぼっくりにそのまま注目してほしいのであれば、「まつぼっくりは、りすに たべられたのです」となるはずです。でも、ここではりすを主役にしたい。りすに注目してもらいたい。それでりすが主役となる言い方をもってきたわけです。「りすが・・・たべた」ということを強調したいわけです。

 

 このように、能動文と受動文はどちらに視点を向けた言い方をしたいかによって使い分けられます。この視点の変換と日本語の言い方が難しいわけです。

 そこで小学部においては、受動文を意図的にとりあげて指導する必要があるわけですが、受動文はいったいだれについて言いたいのか、だれが主役なのかということが大事なのでまず、「主役になって考えてみる」練習をします。

 

〇受動文の練習(『絵でわかる動詞の活用』(P72~76,P85)

 このページは、「牛乳」の立場に立った言い方(受動形)でそれぞれの空欄を埋める練習です。このような活用練習をしてから、受動文と能動文の変換の仕方を学習します。

また、練習4のようにパパの立場に立ってことばを入れます。 受動文小1国語2.jpgのサムネール画像  

受動文小1国語3.jpg

そして、

教科書で言えば、以下の文がどちらでも自由に作れるように練習します。

まつぼっくりが りすに たべられた」(受動文)

 「りすが まつぼっくりを たべた」(能動文)