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絵でわかる動詞の学習

まず、このテキスト(ワーク)は、「語彙編」と「活用編」からなっています。

解説目次.jpg幼児期にまず大切なことは、日本語の動詞語彙をたくさん身につけるということです。ですからこのテキストも『語彙編』から始めて下さい。テキストには40枚弱の練習問題があります。足りない場合はCDのほうにも練習問題が40枚近く収録されていますのでそちらをプリントアウトして使って下さい。

このワークの「語彙編」をやっていく過程で、お子さんに動詞があまり獲得されていないなと感じられた 動詞①一日の生活すごろくを作ろう.jpgら、生活の中でのいろいろな工夫が必要になります。とはいってもことばを増やすのは一朝一夕にはできないので、長い目で取り組んでいくことです。例えば、「一日の生活の流れの中から動作語(動詞)を集めてすごろくを作ってみよう」。右の例は絵本の中の絵を使って、朝、起きるところからm夜、寝るまでにやることを大きな紙に貼り、すごろくを作るという遊びですが、実際にお子さんの動作を写真にとり、それを並べたほうがもっと親近感が出て、面白く遊べるかもしれません。 動詞.jpg

また、「自分指文字(動詞編)」は、「あそぶ」「いく」「うたう」「えらぶ」「おわる」など動詞が絵と共に入っています。このA4版(パウチ版)はお風呂に貼って50音を覚えると同時に動詞を覚えることができますし、B2版の大型のものは一つ一つ切り離して、かるたとして使うことができます。「おもちゃであそぶ」とか「学校にいく」「うたをうたう」など絵に合せて2語文程度で読み札を作り、かるたを楽しみながら、50近い動詞を覚えることができます。

動詞②手話と日本語の変換.jpg

その下の教材は、手話での動詞はたくさん知っているのに、日本語はさっぱり、という子用のプリント。手話と日本語を線で結んでいくという課題です。また、右の例は、手話の音韻である手の形「人差し指を立てる」形を使って、動詞を集めるというあそび。「言う」「行く」「会う」「明日」「昨日」・・いろいろありますね。

動詞③動詞を集めよう.jpgのサムネール画像小学生や年長児なら、例えば「教室ですること」すな わち「教室の中の動詞を探そう」という活動です。たくさんの動詞を集められそうです。 動詞活用掲示.jpg

それから動詞の活用を少しずつ意識させていきたいのが幼児期の年中から年長あたりです。教室の黒板には今日の予定が書いてあります。一つ一つの活動に「いつ、どこで、なにを、どうする」という内容で文が書いてあります。一つ一つの文の文末の動詞は「~する」と未来形で書かれていますが、終わった活動は「~した」と完了形・過去形になっています。一つ一つの活動が終わるたびに短冊カードを裏返し、動詞の活用を意識づけているわけです。また、左下の掲示は動詞の命令形が使われています。これは全体活動「忍者ごっこ」の中で使うことばから命令形を意図的に取り出したものです。このように、幼児期は動詞の活用を少しずつ意識づけて いくことです。

動詞⑤活用導入ゲーム.jpg また、この時期に遊びとして取り組めるのが「食べますか?食べませんか?ゲーム」。これは二つのカード「食べますか?」と「食べませんか?」のカードと、「食べます」「食べません」のカードを準備します。一方が前者の二つのカードといろいろな絵が描いてある絵カードの中から1枚だけ取り出して相手に隠し、「これ、食べますか? 食べませんか?」と尋ねます。相手はカードを見ないでどちらにするか決めて言わなければなりません。「食べます」と言ったとします。もし、そのカードが「ケーキ」だったら大当たりで、ケーキを食べる真似をしますが、もし「トイレットペーパー」なら大はずれ。でもトイレットペーパーを食べる真似をしなければなりません。同様に「食べましたか?食べませんでしたか?」と過去形に変えたり、動詞を変えて「行きますか?行きませんか?」などに変えてもできます。結構盛り上がります。

動詞④動詞の特徴発見!.jpg 語彙編が終わったら、活用編に入りますが、動詞を集めてきて並べると、語尾がすべて「ウ段」になることに気づかせたいですね。同様に「イ段」で終わるのが形容詞ですね。この二つの品詞の特徴は対比させてグループが違うということへ気づかせていくのもよいと思います。

活用編には、「時制」だけでなく「肯定・否定」、「可能」「意向」「アスペクト」「自動詞・他動詞」「授受表現」「受動文」「使役文・使役受動文」など 動詞活用表.jpg一通り動詞に関する文法事項が載っています。また、CDのほうにも80枚の練習問題が収録されていますので、ぜひ、そちらも使っていただきたいと思います。

*『絵でわかる動詞の学習』及び『はじめての動詞の活用CD』のご購入はこちらから↓

http://nanchosien.com/cat21/post_28.html

 

*動詞活用表の指導方法については、本ホームページ>日本語文法指導>文法指導の順序>動詞・形容詞の指導をご覧ください。また、右の1グループ動詞活用表の用紙は、2グループ動詞、3グループ動詞、形容詞活用表など含めて「動詞・形容詞活用練習ノートCD」(1,000円)に収録されています。

ときどき日記を送ってもらっている聾学校の小学1年生の男子に、最近書いた日記をFAXで送ってもらいました。その日記は以下のような日記です。

 

ぼくは おぞうにがすきなので、おもちを 十こ入れてたべたいなあとおもいました。

でも、おかあさんは「1こたべおわったあと、おかわりをしてもいいよ」。

ぼくは、「え~、う~、どうして?」といいました。

おかあさんは、「しょうがないよ。デブになってもいいの?」といわれました。

ぼくは、四こで がまんをしました。・・・(略)

 

この男子は聴力100デシベル以上で補聴器を装用しています。この日記の会話の箇所は、聴力の割には普通の会話体でよく書けています。ただ、手話からの翻訳かな?と思うところもあります。例えば「1こたべおわったあと」は、「1こたべおわったら」でしょう。

ただ、いくつかなおしてほしいところがあっても、一つの日記で直すところは一つだけに私はしぼるようにしています。一度にたくさん指摘したら、本人もいやになったり、自信を失うこともあるからです。また、その前に、必ず日記のよいところを褒めます。これはとても大事なことです。どのような日記でも必ずよいところがあります。それをちゃんと評価することです。それをしないで間違いだけを指摘するのは、子どもを日本語嫌いにしてしまいます。私はつぎのように返信しました。(以下、漢字ルビ省略)

 

Aちゃんの日記はいつも楽しいね。 おぞうにが好きで沢山食べたいのに、お母さんに言われて仕方なくがまんをしているAちゃんの顔が浮かぶようです。

お母さんの言ったことや自分の言ったことは「  」を使ってちゃんと書けているし、自分の気持もよく書けていますね。でも、ひとつだけ、気になったところがあるので考えてみて下さい。次のところです。

  

おかあさんは、「しょうがないよ。デブになってもいいの?」といわれました。 言った人、言われた人.jpg

 

そして、右の図のような問題を作りました。

また、助詞を入れて完成するような二つの文を作りました。

 

 1.お母さん(   )「デブになってもいい?」と、私(   )言った

                          

2.私(   ) お母さん(   )「デブになってもいい?」と、言われた。 

 

さらに、『絵でわかる動詞の活用』の「受動文」の頁(P72~76)をやるとよいでしょうと保護者に伝えました。

このテキスト(『絵でわかる動詞の活用』)では、さまざまな動詞の活用、例えば時制 絵でわかる動詞の活用.JPGのサムネール画像(過去・現在・未来)、肯定・否定、可能、アスペクト、自動詞・他動詞、授受表現、受動・能動文、使役・使役受動文など、きこえない子が苦手なさまざまな動詞の活用の学習ができるようになっています。その中で、「能動文・受動文」について取り上げたいと思います。

 

〇J.cossにおける受動文の通過率

日本語理解テスト(通称Jcossジェイコス)という文法力を測る検査がありますが、その中に受動文という項目があって4つの問題が配置されています。例えば次のような問題文では、その問題に合う絵を4つの絵の中から一つ選ぶようになっています。

 

問題文 「ぞうは男の人に押されています」

1.ぞうが男の人に押されている絵(*正解)

2.男の人がぞうに押されている絵(*逆の関係=ぞうが男の人を押している)

3.男の人がぞうに餌を与えている絵

4.男の人が車を押している絵

上の4つの絵の中から選びますが、正解は1の絵です。

 

このテストをやったある聾学校の小学部1,2年生の結果は、1または2を選んだ子がどちらもほぼ4割の子たち、3と4を1割の子どもが選択しました。つまり、受動文を正しく理解した児童(NO1を選択)は4割、能動文として理解した子(NO2を選択)が4割になりました。能動文として理解した子たちは逆に理解しただけですから、説明すれば簡単に直せるような気がしますが、日本語の言い方の問題だけなく、誰について言いたいのかという視点の転換の問題があり、この視点の転換がきこえない子にとっては意外と難しいのです。

 

〇教科書に出てくる受動文

 受動文は小1の国語の教科書から出てきます。例えば教育出版の『だれがたべたのでしょう?』という単元では、文頭から以下のような受動文が出てきます。(下図参照) 受動文小1.jpg

 

「まつぼっくりがおちています。まわりだけがかじられたものもあります。」

 

では、なぜ、受動文を用いるのでしょうか? それはここでの主役はまつぼっくりであり、まつぼっくりについてまず注目してほしいからです。まつぼっくりの身になって考えてほしいのです。そして、その次に、これはいったい誰がやったのだ?と疑問を投げかけておき、 そこで頁をめくると、

「りすが まつぼっくりを たべたのです。」と、りすが主語(主役)になった能動文を使っています。もし、ここで、まつぼっくりにそのまま注目してほしいのであれば、「まつぼっくりは、りすに たべられたのです」となるはずです。でも、ここではりすを主役にしたい。りすに注目してもらいたい。それでりすが主役となる言い方をもってきたわけです。「りすが・・・たべた」ということを強調したいわけです。

 

 このように、能動文と受動文はどちらに視点を向けた言い方をしたいかによって使い分けられます。この視点の変換と日本語の言い方が難しいわけです。

 そこで小学部においては、受動文を意図的にとりあげて指導する必要があるわけですが、受動文はいったいだれについて言いたいのか、だれが主役なのかということが大事なのでまず、「主役になって考えてみる」練習をします。

 

〇受動文の練習(『絵でわかる動詞の活用』(P72~76,P85)

 このページは、「牛乳」の立場に立った言い方(受動形)でそれぞれの空欄を埋める練習です。このような活用練習をしてから、受動文と能動文の変換の仕方を学習します。

また、練習4のようにパパの立場に立ってことばを入れます。 受動文小1国語2.jpgのサムネール画像  

受動文小1国語3.jpg

そして、

教科書で言えば、以下の文がどちらでも自由に作れるように練習します。

まつぼっくりが りすに たべられた」(受動文)

 「りすが まつぼっくりを たべた」(能動文)