「助詞カード」であそぼう!~幼児も楽しめる助詞の教え方
きこえない子たちにとって苦手な品詞のひとつが助詞です。理由はいくつかあります。
①日常会話の中で助詞はしばしば落ちてしまいます(「ねえ、学校?」「いや、病院」など互いに文脈が共有されていれば日本語は単語だけで会話できるからです)。
②助詞には一文字のものが多く(が、を、に、で、と・・)瞬間的に発音されかつ音圧も弱いため聞き取れないことがあり、また、口形がほとんど同じ助詞もあります(「ママを」「ママと」「ママの」、「学校へ」「学校で」など)。
③助詞は名詞や動詞などと違って、前の語と後ろの語との関係を表示する機能を持つ品詞(機能語)です。そのため、「が」なら「が」という助詞だけを単独で取り出して使用方法を学ぶことができません。必ず文の中で学ぶことが必要です。
では、文の中で助詞は、どのように教えればよいのでしょうか? 助詞にも格助詞とか副助詞とか接続助詞とかいろいろありますが、まずは、きこえない子が躓きやすい一文字の格助詞「が、を、に、と、で」を取り上げて指導します。

〇助詞カードで遊ぼう!
まず、助詞を視覚化した助詞カードを作ります。助詞の「見える化」です。これを使って遊ぶだけで、ある程度音声で会話が出来ている子には助詞の使い方の間違いを少なくすることができます。以下、教材の作り方と使い方を説明します。
①「助詞カード」の作成
まず、助詞のカードを作成します。割りばし付きとそうでないものと二種類準備します。厚紙であればラミネートはしなくてもOKですが、長持ちさせるにはパウチしたほうがよいでしょう。大きさは5~6cm四方。10cmの大き目

*下記より助詞カードの印刷用原版(PDF)がダウンロードできます。
助詞カード.pdf②絵本の中で助詞カードを使おう~助詞「が」の例
まず、絵本を読み聞かせをするときにこのカードを使ってみましょう。助詞を意識させるのに最も適した絵本は、かがくいひろしの『だるまさんが・の・と』の3部作。この絵本の中の『だるまさ

絵本の各頁の文、例えば「だるまさんが・・」と読みながら、だるまさんの絵に助詞カード「が」をあてます。頁をめくるとおならをしている絵です。「ぷっ」と言って、だるまさんの絵にカードをあてて、「だるまさんが ぷっ」「あっ、だるまさんが おならしちゃった。くさいくさい」などと言って



その助詞を強調しながら読み聞かせを楽しめます。例えば『誰かしら』『きんぎょがにげた』『おおきなかぶ』なども「が」を強調しながら読み聞かせが出来ます。こうした絵本の中で「が」は、動作・行為の主体(=動作主・主語)であることを示します。
だるまさんシリーズでは、助詞「と」や「の」も同様使って読み聞かせができますが、ここでは省略します。

②助詞カードを使って遊んでみよう!~助詞「が」の例
次は助詞カードを使って、いろいろなもの(具体物)にあてて文を言ってみましょう。
例えば、今、ポストに「が」があたっています。どんな文を作りますか? 上の写真なら「ポストが赤い」「ポストがある」「ポストが立っている」、下の写真なら「ポストがバタン」「ポストが倒れた」「ポストが寝てる」等々。
また、写真下のような人形を使ったり(「リ


③その他の助詞カード(「を・に・で・と」など)を使って

④助詞カード「が」「を」を使って
それから絵本『おおきなかぶ』で、助詞カード「が」「を」を一緒に使い、文にしたがって絵にあてた助詞カードを順次動かしながら読んでみましょう。右ファイルの例は『おおきなかぶ』を使った例です。
そして絵本の次はまた具体物を使って動作しながらやってみましょう。
〇助詞カードを作ってあそんでみたら・・

*右記のお子さんはこうした活動の中で助詞をマスターし、療育のSTさんにも「最近、急に助詞がわかるようになりましたね」と驚かれたそうです。