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はじめての受動文の指導その後~ある聾学校小2担任の実践から

前々回(101日)、ある聾学校小学部2年生担任による、受動文の指導の実践について報告しました。その後、以下のように担任の先生からメールをいただきましたので続報として掲載します。

 

〇担任からの続報(10月18日)

「先日報告した受動文の授業と「動物園のじゅうい」の単元が2週間ほど前に終わったので、自作の受動文のプリントを作成してクラスの児童に解答させてみました。すると、クラスでもっとも日本語力の厳しい子なのですが、全ての受動文の問題を解くことができました!

最後は絵を見て受動文を作る問題を出したのですが、これも一人で文を作ることができました(右図)。正直、一つの単元だけでは受動文を理解するのは難しいだろうなと思っていたのですが、本人は自信を持って解答していて、「できた!」と、終わった後は嬉しそうに提出していました。改めて文法指導の効果を感じています。

受動文テスト.jpg

また、保護者からも「今年に入っていろんな言葉が出てきたような気がします。家でも『休み時間、鬼ごっこをして〇〇くんに押された〜』って受動文で話したんです!」と嬉しい報告を受けました。

今、この方法に出会えてたくさんの笑顔を見ることができています。すごく嬉しいですし感謝しかありません。

学生時代(教育系大学聾教育課程)、「受動文を聞こえない子どもたちに理解させるのは難しい」と教わった記憶があります。でも、今、目の前にいる子どもたちはその課題をひょいと超えて行きました。しかも自信満々に。もちろん、しばらく間を空けると忘れてしまうこともあると思いますが、それでも確実に思い出せる引き出しができたとは思っています。」

 

報告は、以上です。子どもの笑顔が見れたとき、本当に教師としてはうれしいものです。日本語力の厳しい子どもたちは、「できた!」という自信を持つときが少ないです。それは、やっていることが、子どもたちにとって、そのままでは難しすぎるからです。しかし、ここで報告した事例では、子どもの日本語力からみたら難しいレベルの内容を、工夫しながら指導し、子どもの「これならできる!」という自信を引き出すことに成功しています。出来る!という自信は、子どもの自己肯定感を高めます。自己肯定感が高まると、ほかの苦手なことでも「よし、やってみよう!」という積極的な意欲、挑戦する気持ちに繋がります。失敗しても、「よし、この次はがんばろう」「どうやったら出来るか工夫してみよう」という気持ちになります。これからの長い人生を生きてい行く上で、こうした積極性・意欲はとても大切なものですし、人との関わりを築くうえでも大事です。将来、仕事をするうえでも、雇う側からみると、「こういう子をうちでは使いたい」と思います。受動文が出来るという小さな一歩から、「出来る!」という自信を積み上げていくことが、その子の人間形成にもつながっていくのだと思います。

┃難聴児支援教材研究会
 代表 木島照夫

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