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子どもへの声かけ、どうしてる?(2)~1,2歳児ママの体験から

聴覚障害確定診断前後って、「きこえない子にどう声掛けたらいいいの?、どう関わったらいいの?(だってきこえていないでしょ?)」ってわかりませんよね。そこで、今回は「子ども(赤ちゃん)への声かけ」についてあるママさんの体験を語ってもらいました。

 以下、お子さんは、今、1歳6か月。里帰り出産。新スクは受診せず。6,7か月健診で「きこえの検査」があり、耳鼻科医に紹介され、精密検査の結果難聴と診断されました。現在は80dBと言われています。8か月からろう学校乳幼児相談に通っています。

 

Q.病院で確定診断の時、どのように言われましたか?

 「耳の構造には異常はないが、何らかの原因で難聴と判断されます、まずは補聴器をつけて言葉を入れていきましょう。そして原因も調べていったほうがいいかもしれません」と言われました。 そのとき思ったことは「やっぱり聞こえていないのか」とは思いましたが、ここまで気が付かないほど元気で成長してくれていたし、それはそれだ!とそこまで落胆することもなく、とりあえずはっきりして良かったと思いました。

また、結果を聞くとき、難聴そのものについての知識が不足していました。例えば感音性難聴や伝音性難聴といったものがそれぞれどう聞こえるのかなどわかっていませんでした。感音性難聴は言葉や音が小さく聞こえるだけでなく、聞こえにひずみがあるということなどの具体的な説明もしていただけていればよかったかなと思います。そうすることで補聴器をつければ言葉や音が入ると勘違いすることもなく、また、周囲の人にも正しく説明し理解してもらうことが可能になると思います。

Q.病院で人工内耳をすすめられましたか、その時どう思いましたか?

なかなか補聴器が常用できていないことを病院で伝えた際、「1歳過ぎたし、人工内耳の選択を考えるのもありかも?」と言われました。 「少し考えてみてお話を聞いてみようと思った際にはご説明お願いします」と返答しました。その時は説明だけでも聞いたほうがいいのかな?と思ったりもしたが、人工内耳をしたからといって完全にきこえるようになるわけではないこと、いろいろ制限もでてくること、なにより手術が必要になるのが怖かったので説明をお願いすることはありませんでした。 現在、口話と手話を使っていますが、娘も手話を使って意思表示してくれたりと、1歳半でのコミュニケーションは取れているのかなと思っているので、人工内耳をしようとは今は思っていません。娘が将来人工内耳を希望した時に検討するのでいいのではないかと思っています。

 

Q.補聴器開始時期と常用できるようになった時期はいつ頃?

補聴器装用開始は8か月。開始してしばらくはろう学校でのグループ活動を行っている1~2時間、家では30分つけることが出来たら良いほうでした。常用できるようになったのは1歳3か月頃から。補聴器への慣れや調整がうまくいったからなのか、いきなり長時間つけられるようになり、今では一日中でもつけることが出来るようになりました。それまでは無理強いして補聴器をつけること自体を拒否するのが怖かったので、少しずつでいいやという気持ちで娘のペースに合わせていました。

 

Q.療育機関として、どうしてろう学校を選択しましたか? 

ほかの機関の存在を最近まで知りませんでした。事前に相談させていただいていたこともあり、確定診断を受けたということを相談させていただき、その流れでろう学校に通い始めました。初めてろう学校を訪ね見学させていただいた際、一人一人の子供にとても丁寧に向きあわれているということが素敵だなと感じました。

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ろう学校のでは、個別相談では、娘との関わり方を見ていただきアドバイスをいただいたり、娘が興味を持っているものを一緒になって遊んだりしています。

0歳児のグループでは、体操(スキンシップ)、難聴疑似体験、手話の勉強会、ビデオをみて関わり方の学習会(家庭でのやり取りをビデオにとっておき、みんなで見て気づきや改善点等を話し合う)、聾の方やろう難聴の子を育てた親御さんの講演会等も貴重です。また、ほかのお母さん方とご一緒させていただき、いろいろ気づきをいただいたり、やる気をもらったりとモチベーションを毎回アップさせて頂き、どうしたら子どもとより良い接し方ができるのか考える機会をたくさんいただいている場です。娘もとてもいきいきと楽しく過ごしています。


Q5.お子さんとのかかわりでいちばん大切にしてきたことはなんですか?

一番気をつけていたことは「目線を合わせる」ということです。聞こえにくい子を育てるうえで大切なこととして教えていただいた目線を合わせること、簡単そうで非常に難しかったです。目線を合わせるということに意識してみると、長男(聴児)を育てるうえでどれだけ声に頼っていて、目線を合わせずにすましていることが多かったのか実感しました。最初の内はそんなに長い時間目線も合わなかったので、こちらが伝えたいこともなかなか伝えられず、必死に娘(難聴)の目線に入るよう努力しました。また、途中で目線が外れたとき、次に合うまで「待つ」ということも心がけています。といっても、待つことは本当は得意ではありません。なので「待とう!」と意識するようにしています。

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また、娘が考えたり思っていること、興味を持っていることが何なのかを常に考えるようにしました。そのためには、娘の行動や目線の先をよく観察することにしました。例えば、目線の先にハトがいたら、「ぽっぽだね」と手話と共に言うようにしています。また、娘を観察していると娘なりの手話を発見することができるようになりました。その際には、「そうだね!〇〇だね!」と同意や共感を手話と共にするように心がけています。

(高度難聴児の場合、手話の喃語が8~10か月頃に出現することが多いです。それを手指(しゅし)喃語と言いますが、聞こえる子は音声の喃語が出ますが、とくに高度難聴児は声のかわりに手が喃語の代わりをし、それが意味を持つようなると手話の初語になります)


Q6.子どもとの生活習慣で大事にしてきたはなんですか?

生活習慣で大切にしていることはこれからする行動を伝えるということです。例えば、私がお手洗いに行くときには「ママ、お手洗いに行ってくるね」と手話と共に伝えてから行くようにしました。1歳前、「お手洗い」の手話もまだ理解できていなかったときは、私が立ち上がると不安になってすぐに泣き始めていましたが、「お手洗い」の手話を理解し始めると、私が立ち上がり泣こうとしても、「お手洗いに行くから待っててね」と伝える

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と、納得したようについてきたり、先回りするようになりました。

外出する際も、これから行く場所を写真カードを使ってきちんと事前に伝え、娘にとって瞬間移動になることがないようにということも心がけています。

(写真カードは、物事の記憶ができるようになる生後7,8か月頃から使えるようになります。ですから、よく行く「スーパー」とか「ろう学校」の写真を見ると、いつも行っているところだ、と安心でき、これからやることを予想することができるようになります)

 

Q7.これまでで、ママが努力してきたことはどんなことですか?

娘と密に付き合うためには時間が必要でした。どちらかというと、一日にたくさんの予定を入れ、どうすればこなせるか考えながら生活していました。しかし、一つ一つのことを丁寧にしようとするとどうしても時間が足りず、丁寧に付き合うことができなかったり、今日はできなかったことがたくさんあったな、と後悔したりしていました。そこで、とりあえず予定は詰め込みすぎないようにし、気持ち的にも時間的にも余裕をもち、娘と向き合うようにしました。


Q8.きこえないお子さんが生まれてママの中で変化したことはありますか? 

私はもともと出不精なのですが、娘は外へ出ることが大好きです。よく靴を私にもってきて外へ出ようと誘ってきます。また、お風呂あがりのお着替えは気が乗らないのかとても時間がかかりますが、外へ行くための着替えはとても協力的で早いです。以前はコロナのこともあってなかなか外へ出たいとは思わなかったのですが、娘をみていると、家の周りを散歩するだけでも!と出かけるようになりました。娘と一緒に散歩すると今まで気が

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付かなかったことに気づかされます。たとえば、娘は駐車場の回転灯が気に入っているのですが、こんなところに!というところにある回転灯を発見し、ぴかぴかという手話で私にその存在を教えてくれます。また、鳥や飛行機など、普段ひとりだと見つけられないようなものを教えてくれるので、今ではお散歩の時間を一緒に楽しめています。

今年はコロナでマスク生活が常となり、お散歩するにも公園で遊ぶにもマスクが必要で本当にもどかしい日々が続きました。また、色々な人と以前のように気軽に会うことができなくなった中、ひよこ組で先生方やお母さんたちと共にする時間は本当に楽しく、いつも刺激をいただいています。

 

 以上、難聴発見の頃のお子さんとの関わり方やろう学校での支援などについても話していただきました。0~1歳頃の難聴のお子さんをお持ちの保護者の方の参考になったら幸いです。

┃難聴児支援教材研究会
 代表 木島照夫

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