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だれでもわかる日本語の読み書き(YouTube)~第5回「動詞①」

はじめに~YouTube学習動画について

この動画は、「日本語、苦手」という子どもたちのために作った学習動画です。基礎的・基本的な日本語の力が十分でないけれどそれを学ぶ機会がないお子さん、学習塾に通えないお子さん、家庭教師をつけられないお子さんたちのための無料動画です。動画はユーチューブで一般公開しますが、テキストのダウンロードはしばらくはこのホームページからになります。

また、子どもひとりだけでこの動画を見てもよくわからないということもあると思いますので、親御さんが一緒に見てくださり、お子さんをサポートしていただけるとたすかります。でもあまりご負担をおかけしないよう、動画は115分以内に終わるように作成していますのでよろしくお願いいたします。

 

第5回の今回は、「動詞①」(13分)です。

ユーチューブは以下のところを開いて下さい。

http://youtu.be/B5uYaca_V8A


また、学習で使う無料プリント(テキスト・問題)は、下記からダウンロードして下さい。

「テキスト・問題プリント」ダウンロード

5.動詞①(テキスト2枚、問題2枚) 

 5.動詞①(テキスト・解答).pdf


〇今回の学習内容

 前回は、「名詞」について学習しました。名詞は、人、場所、もの、生き物、ことがらなどの名前を表し、疑問詞としては、「だれ」「どこ」「なに」が対応しています。

また、名詞は、共通の性質をもったもの(ことば)を集めて仲間を作ることができます。例えば「バナナ、りんご」は「果物」、「キャベツ、玉ねぎ」は「野菜」など。これらの「果物」「野菜」「穀物」などが集まると、「農産物」というさらに抽象度の高い上位概念を作ることもできます。物につけられた名前はこのような構造をもっています。

 さて、今回から4~5回は、「動詞」について学習していきます。動詞は、きこえない子の苦手なもののひとつです。理由はいくつかあります。まず、動詞は事物名詞のようにはっきりと見えて、区別することができることばとは違うということです。例えば「テレビの上にスマホと本が置いてあったとして、「スマホとって」と言われれば、スマホと本とを一緒にとる人はいないでしょう。スマホと本とは別のものだと区別がついているからです。しかし、動詞の「歩く」と「走る」とはそう区別は明確ではないでしょう。一連の動きのどこかの時点で「歩く」と「走る」とを区別をしていますが、どこからが「走る」でどこからが「歩く」のかはそう明確ではありませんから、子どもはそれを何度も経験する中でだんだんと区別するようになるわけです。さらにそこに手話と日本語という言語のちがいも加わります。一般的に動詞は手話や音声で伝えても、日本語でわざわざ指文字や文字で伝えることは少ない。

その上にさらにもうひとつ難しいのは、動詞は多様に活用することです。動詞には、いろいろな意味が加わってかたちが変わります。例えば、右ファイルのような「昨日、太郎

動詞の活用は複雑①.pptx.jpg

は、一日、勉強させられていたらしいね」という文があったとします。この文の「勉強させられていたらしいね」という動詞の基本のかたちは、「(勉強)する」ですが、この基本のかたちがいろいろな意味が加わることで変わっていきます。例えば・・

①態(voice) ・・・勉強「させられ」の部分です。

 これは使役「させる」と受身「られる」がくっついて、使役受身というかたちになって「させられ」となった部分です。使役によって「誰かがやらせている」という意味が加わり、受身によって「太郎がやらされている」という意味が加わります。この二つから、いやいややらされているということがわかります。

 

②相(aspect)・・・  勉強させられ「てい(る)」の部分です。

 これは、「~ている」で継続の意味が加わります。ただの「させられる」ではなく、「させられている」になることで、いやいやの勉強がある程度長い時間継続していることがわかります。文では「一日」となっていますから、朝から晩までやらされていたのだということがわかります。

 

③時制(tens)・・・ 勉強させられてい「た」の部分です。

 「る」ではなく「た」になることで、過去のことだという意味が加わります。文では、昨日のことですね。

 

④意志・意向(mood)・・・ 勉強させられていた「らしいね」の部分です。

 ここには話している人の気持、伝聞、推測などが入っています。太郎が勉強させられていたのが事実かどうかはわからないけど、そう私は聞いたよ、あなたは知っている?といった意味がここに入っていることがわかります。

 

このように動詞は複雑に変化するので、かなり使い慣れないとルールを身につけることが難しいということがあります。きこえる人は、生まれてこのかた何度も何度もこういう言い回しを耳にし、自分でも使う中で、ほとんど無意識にそのルールを習得していきますが、きこえない子にはなかなか難しいことです。聴力が重くなればなるほどその困難さは増します。

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そこで、ある程度、きこえない子は、文法を意図的にかつ視覚的に学習することで対応する必要があります。その学習は聾学校では小学1年生から積み重ねていきます。「動詞の活用」の学習、「使役文」の学習、「受動文」の学習、「~ている(て形)」の学習、「現在形・過去形」の学習などの結果として、この文の動詞部分の正しい理解・表現ができるようになります。右の問題集(別冊解説付)は動詞の学習の参考図書(本会出版1,700円)。


 

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さて、第1回目の今回は、動詞の表す意味・内容と動詞の語尾の特徴について学習します。動詞の表す意味・内容とは、ひとつは人や生き物の動作・行動を表すことばだということです。テキストで扱っているような「(窓を)開ける」「(窓を)割る」といった動詞はこれです。次に、ある状態の変化を表します。例えば「(窓が)開く」「(窓が)割れる」というのは、誰かの動作によって引きおこされたことではなく、そのものが変化したことを表しています。違う言い方をすれば、動作を表す動詞は「~が~をする」と使いますが、状態の変化を表す動詞は「~が~する」と使います。前者は他動詞、後者は自動詞ですが、この違いはまた改めて取り上げます。あと、存在を表す動詞があります。これは「ある」と「いる」です。前者は物

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について言う時、後者は人や生き物について言う時に使います。

 それから動詞の基本形の単語の最後の文字は必ず、50音表の「ウ段」です。ウ段でないものは動詞ではありません。このことも知識としてもっておくと動詞かどうかの判別に役立ちます。

あと、動詞には同音異義語がたくさんあります。テキストでは取り上げていませんが問題

動詞(問題2).jpg

ではとりあげています。例えば「ふる」は、

(雨が)降る」もあれば「(旗を)振る」もあります。こうした同音異義語はいろいろと集めて「ことば絵じてん」などに整理したり、一覧表にして貼っておくなどするとよいと思います。

 

┃難聴児支援教材研究会
 代表 木島照夫

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