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11-5YouTube日本語講座(解説)第31回~

 日本語が苦手な子どもは、単語の切れ目や文節の切れ目、また文の中に含まれている修飾語句が一体どこからどこまで続いているのか、その修飾語句がどの名詞を修飾しているのか、区別がつかないことが多いです。語彙力や文法力がつき、幅広くいろいろな知識が身に付いてくると、長い文をみてもその意味をくみ取ることができるようになりますが、日本語力の厳しい子どもは、意図的に指導しないとずっとわからないままに時間だけが経

名詞修飾.jpg

ってしまいます。

例えば、右図は、Jcossという検査の中にある名詞修飾の問題で、ある聾学校の子どもたち(低学年4名、高学年3名)の結果ですが、高学年児童を含めて半数の子どもたちが、問題65で「四角は青い星形の中」名詞修飾節(名詞句)が読み取れず、「四角は青い」で文を切って読んでいることがわかります。こうした子どもたちには、やはり文を正しく理解するための文法ルールを教えていくことが必要です。上記の子どもたちは、日本語の「名詞修飾」の仕組みを学ぶ必要があり、そのためには、文の構造を可視化する「品詞カード」を使うのが効果的です。


これまで、このYouTube学習動画では、文中の品詞をカード化し、本来一列の文を、「情報」「助詞」「述部」からなる二次元の図(「構文図」)の中に配列してわかりやすくしてきました。この配列のルールについて、これまで学んだきたことをここで一度整理しておきたいというのが今回のねらいです。


学習で使う無料プリント(テキスト・問題)は、下記からダウンロードして下さい。

〇「テキスト・問題」ダウンロード

32.品詞カード並べ方ルール(テキスト2・問題2).pdf


また、YouTube動画は、下記からご覧になれます。

https://youtu.be/petG4cBxtRY

 

〇学習内容

〇カード配列のルール 

まず、カード配列のルールを確認しておきます。

(1)構文図の左側「情報」のスペース・・文を詳しくする。いくつでも可。活用しない品詞または「て形・く形」。情報間の上下の入れ替えも可。

①名詞、時数詞、なにで名詞など活用しない品詞→〇

②動詞、形容詞など活用する品詞→×(そのままでは置けない)

 動詞・形容詞+名詞・時数詞・なにで名詞(句をつくる)→〇

③動詞「て形」、形容詞「く形」「くて形」→〇

④助詞「の」(「3時のおやつ」)、助詞「と」→〇(「母と私」)*情報内の助詞

構文図テキスト①.jpg

 

(2)構文図真ん中の「助詞」のスペースへの置き方

①左側(関係助詞)「を」「に」「と」「で」「へ」

②右側(選択助詞)「は」「も」など

③真ん中の線上(情報助詞)「が」

(3)構文図右側「述部」のスペースに置ける品詞・・文の土台。いちばん言いたいこと伝えたいこと。文末に1つだけ。先端が尖った活用形のみ置ける。

①動詞・形容詞→〇(活用する)

②名詞・時数詞・なにで名詞→×(活用しない)

 名詞・時数詞・なにで名詞+文末「です」活用→〇(文末「です」が活用する)

 

構文図テキスト②.pptx.jpg

(3)カード配列の手順

①情報内の助詞で結ばれた品詞は、あらかじめ囲っておく(例「昨日の朝」)

②文末の動詞・形容詞などを「述部」スペースの右下に置く。(例「食べました」)

③述部の動詞や形容詞から基本の文型を考える(「食べました」→「~が~を食べる」(基本文型Ⅱ)、「きれいです。」→「~がきれいです」(基本文型Ⅰ)。

基本文型から「必須成分」をさがす(「私は」「ハンバーガーを」←「食べました」)

⑤随意成分の名詞などの情報を順番に上から並べる。

⑥それぞれの情報(名詞や名詞句)が、述部とつながって意味的につながるか確かめる。うまくつながらない場合、名詞句の作り方が違っていることが多い。


〇長い名詞句が含まれ、複雑な構造の文の解釈

構文図テキスト③.jpgのサムネール画像問題1のような、長い名詞句が含まれる文は、どこがどうつながっているのかわかりにくく、解釈が難しいことがあります。しかし、このような文でも、基本文型に沿って構造を解き明かしていくことができます。児童の実際の日記の文から考えてみてみましょう。

「今日の午後、自転車で、人がいない公園の木の間をまわる練習を、一時間くらいしました。」

①まず、助詞「の」でつながった名詞はあらかじめくくっておきます。「今日の午後」と「公園の木の間」の二つですね。

②次に、文末の述部は、何でしょうか?「しました」です。動詞「しました」の基本文型は、「~が~をする」という基本文型Ⅱのパターン。そうすると必須成分として、「だれが」「なにを」が必要な文だということがわかります。

③では、「なにを」にあたる部分はどこにあるでしょうか?さがすと「練習を」が見つかります。そして、これは句になっていて「公園の木の間を回る練習」という名詞句ですね。また「人がいない」は、この句をさらに説明している部分であることもわかります。

つまり「人がいない公園の木の間をまわる練習」という長い句であることがわかります。

④次にもう一つの必須成分「~が・は」はどこにあるでしょうか? これは省略されているようです。日記で自分のことを書いているので、「わたしは」は省略されているわけですね。

⑤あとは残りの随意成分である情報を順番に並べます。

「今日の午後」(時数詞の句)、「自転車で」、「一時間くらい」の三つが残されていますので、これを順番に入れていけばいいわけですね。そして、それぞれの情報のカードが「述部」である「しました」にうまくつながっているかを確認します。


〇述部に句がくる場合もある

構文図テキスト④.pptx.jpg

文には、いつも動詞や形容詞あるいは、名詞+です、といった短い活用の形がくるとは限りません。

問題2のような「畑で育てられた野菜+です」といった名詞句がくる場合もあるので要注意です。

これもとりあえず最初に述部を決めるので、例えば「野菜です」を入れた場合、この述部の句と各情報がうまくつながるかで確かめます。

例えは、「野菜は」→「野菜です」、これはつながりますが「人が食べるために」→「野菜です」はつながりません。また、「畑で育てられた」は、名詞+動詞なので情報に入れることはできません。そう考えていくと「畑で育てられた野菜です」が句になっていて、述部にくることがわかります。このようにすれば「野菜は」→「畑で育てられた野菜です」、「人が食べるために」→「畑で育てられた野菜です」となって、意味も正しくつながることがわかります。


今回は、「なにで名詞」について学習します。「なにで名詞」とは聞きなれない品詞ですが国文法でいう「形容動詞」のことです。形容動詞は国文法(学校文法)で使われている文法概念です。「美しい花」も「きれいな花」も名詞「花」を修飾していますが、「美しい」は形容詞、「きれいな」は「形容動詞」です。たしかに、両方とも似たような使われ方をしています。似ているので「形容+動詞」と命名された理由のひとつです。もう一つ、後者の「動詞」のほうは、活用が文語文法の動詞「なり」「たり」の活用と同じ活用をしていることから、「形容+動詞」と命名されたのです。

なにで名詞①.jpgのサムネール画像

しかし、現在の口語文法では「なり・たり」活用はほとんど使われおらず、活用すると考えるよりは、右の図のように、名詞グループの品詞に助動詞や「な・に・で」などがくっついたものと考える方がわかりやすく、理にかなっているということで、国文法(橋本文法)を支持しない研究者は、形容動詞という品詞は使っていません(例えば新村出「広辞苑」、時枝誠記「名詞+助動詞」、江副隆秀「なにで名詞」など)。ここでは難聴児にとって最もわかりやすい「なにで名詞」という名詞グループの品詞名を用いたいと思います(なお、日本の学校教育では国文法が採用されていますが、この理論が「正しい」から採用されているわけではなく戦前からの歴史的経緯の中で採用されているだけで、現在は、この「形容動詞」だけでなく、「格助詞」や「主語」という概念などについても論争があり、未だその論争に決着はついていません)。以下、「なにで名詞について説明します。


学習で使う無料プリント(テキスト・問題)は、下記からダウンロードして下さい。

〇「テキスト・問題」ダウンロード

31.なにで名詞&なにで名詞構成語(テキスト2,問題4).pdf


また、YouTube動画は、下記からご覧になれます。

https://youtu.be/0rOn1pOqSd0


〇学習内容

1.「なにで名詞」とは?

なにで名詞(テキスト①).jpgのサムネール画像

「なにで名詞」は、形容詞のように、もの、こと、心などの様子を表しますが、名詞グル

プなので活用はしません。例文「しずか人」「しずか朝」のように、語幹(しずか)に「な」をつけて、うしろの名詞や時数詞を修飾することができます。 また、語幹(しずか)に「に」をつけて、「しずかする」「しずか歩く」など、動詞を修飾することができます。さらに、語幹(しずか)に「で」をつけて、「しずか美しい人」「し

なにで名詞接続形.pptx.jpg

ずか地味な 性格」などのように、形容詞やなにで名詞の前にもってくることもできます。ほかにも「しずかなら」(仮定)、「しずかだろう・でしょう」(推量)、「静かだ+から」(接続)などの使い方があります。




〇形容詞と混同しやすい「なにで名詞」

右図に示すように、「大きな」「小さな」などは一見すると「なにで名詞」のようにみえ

ますが、これらは形容詞の特殊な形と考えた方がわかりやすいでしょう(国文法では「連体詞」)。

また、「きれい」「とくい」などは形容詞とよく混同し、子どもの日記にも「きれいかった」などの誤りがよくみられますが、これらは「なにで名詞」ですから、「きれいだった」が正しい使い方です。


2.なにで名詞構成語

なにで名詞構成語とは?.pptx.jpg

 名詞、動詞、形容詞、なにで名詞に「~みたい」「~そう」「~よう」「~げ」「~的」をつけると「なにで名詞」と同じ働きをする「なにで名詞構成語」になります。

なお、右ファイルの一番下に似ている「きれいな」という例文がありますが、これは動詞や形容詞、なにで名詞などに「の」をつけて名詞化させたもの(例:「食べるはやめて下さい」「大きいがほしいです」)です。これを「名詞構成語」と言います。働きは名詞と同じです。

ダウンロードできるテキスト・問題の中には「なにで名詞」の反対語の問題がありますので、ぜひ、これはやってみて下さい。また、「なにで名詞」にはどんなことばがあるのか探して、絵入りの一覧表にするのもよいと思います。

なにで名詞問題.pptx.jpg

┃難聴児支援教材研究会
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