11-3YouTube日本語講座(解説)第11回~20回
今回の動画は指導者用動画なので、テキスト・問題プリントはありません。YouTube動画は下記のURLからご覧下さい。
★解説
・助詞の誤り~低学年児童の日記の中から
きこえない子たちにとって苦手な品詞のひとつが助詞です。右のファイルは、聾学校小学部低学年児童の助詞の誤りの例ですが、こうした誤りについて、子どもが理解できるよ

うに説明し納得させるためにはどのようにすればよいでしょう? これまでの長い聴覚障害児教育は聴覚口話法でしたから、いわゆる自然法の中で「なんども会話の中で繰り返していればそのうちわかる」指導で、その方法が確立されていませんでした。ですから日記に赤を入れて書き直させるという「指導」しか行われてきていませんでした。実際、ここに例示した助詞の誤りに対してもただ誤りを指摘するだけで、指導はなされておらず、赤を入れて教師の考える「正解の文」が横に書かれているだけです。
・助詞は、なぜ、身につかないか?
きこえない子の日本語習得上の難しさは二つあり、ひとつは動詞の活用、もう一つは助詞です。助詞の習得困難さの理由はいくつかあります。以下にその理由をあげてみます。
①日常会話の中で助詞はしばしば省略される(「ねえ、学校?」「いや、病院」など互いに文脈が共有されていれば日本語は単語だけで会話できるからです(ここが英語と違うところです)。
②助詞には一文字のものが多く(が、を、に、で、と・・)瞬間的に発音されかつ音圧も弱いため聞き取れないことがあります。また、口形が同じ助詞が多く、ぼそっと言っても区別しにくいです(「ママを」「ママと」「ママの」、「学校へ」「学校で」など)。
③助詞は名詞や動詞などと違って、前の語と後ろの語との関係を表示する機能を持つ品詞(機能語)です。そのため、文の中でしか学ぶことができません。
・会話の中で助詞を身につけるために大切なことは?
日常会話の中で助詞を身につけるためには、できるだけ正しい文で会話することと助詞を視覚でも提示することです。例えば、「ねえ、学校?」だけではなく、「ねえ、今日は 学校に 行くの? それとも 病院に 行くの?」などと、主語や目的語などを省略しないこと、手話を併用し、助詞は指文字で表出するなどの配慮が必要です。また、ある程度の聴力と読話も必要です。
・文の中での助詞の指導は?
では、書きことばの中で助詞は、どのように指導すればよいのでしょうか? 助詞にも格助詞とか副助詞とか接続助詞とかいろいろありますが、まずは、きこえない子が躓きやすい一文字の格助詞「が、を、に、と、で」を取り上げて指導します。

格助詞は、客観的な事柄を述べたり理解するためには欠かせない品詞です。とはいっても文の中には、助詞がなくても意味がわかる文もあります。例えば、右図の上の①のような場合です。このタイプの文なら助詞がわからなくても、単語さえわかれば理解できます。「たろう✖ ラーメン✖ 食べる」でも「ラーメン✖ たろう✖ 食べる」でも、きこえない子は、単語から文の情景・イメージを描くことができます。
しかし、下の②の文はどうでしょう? 「たろう✖ はなこ✖ たたく」「はなこ✖ たろう✖ たたく」。日本語の文法ルールが語順によって前が主語で、後ろが目的語と決まっていれば、前者の主語(動作主)はたろう、後者の場合ははなこが主語(動作主)になるでしょうが、日本語は語順によって主語(動作主)は決まらず、名詞にくっついた助詞によって主語か目的語か、意味がわかるルールなので、助詞がないとどっちがどっちかはわからないのです。そのため、助詞がわからないと、文が理解できません。
・子どもたちの助詞理解度の実態は?
右のグラフは、Jcoss(日本語理解テスト)の文法項目別の通過率を示した図です。この検査には文法項目が20項目あり、それぞれの項目に4問ずつ問題があります。この4問とも

正解のとき、その項目は「通過(パス)」と言います。その通過率を示したのが右のグラフです。通過率とは例えば10人のうち5人が通過すればその問題の通過率は50%です。2つの聾学校の通過率が20の項目別に示されています。
この中で左から6番目の「3要素結合文」というのが、上に述べた①のタイプの文(非可逆文といいます)です。このタイプの通過率は、2つの聾学校ではほぼ50%ということが読み取れます(低学年聴児の通過率は90%近いですから、これは使われている文の中の語彙力の差です)。これに対して7つ目の「置換可能文(可逆文)」が上に述べた②のタイプの問題です。このタイプの問題は助詞「が、を」の意味が理解できていないと正答できません。この問題の通過率は20%。つまり5人中4人は助詞「が、を」が理解できていないことになります。
Jcossの項目の7番目以降の問題をみると、どの項目もいずれも通過率は低いです。助詞「が、を」がわからないわけですから、そのあとに続く項目の文を読んで理解することは極めて困難だということです。繰り返し読んでいれば自然にわかるようになるというレベルではないのです。この「自然にわかる」という理屈が通用するのは助詞が8割以上わかっているときで、「ときどき助詞を間違える」くらいであれば、あえて助詞を取り上げて指導する必要はありません。それこそ、「そのうちわかってきますから心配要りません」。

でも、そうでない子どもたちには、指導が必要です。そして指導をすれば必ず伸びます。右のグラフはある聾学校でたまたま文法指導をしたグループとしなかったグループでの助詞テストの結果です。指導期間は半年だったのですが、助詞の意味・用法と手話表現を組み合わせた指導によって効果があることが証明されています。
(因みに、別の研究でもこうした結果が出ています。『聴覚障害児への「手話助詞」を用いた格助詞指導』大鹿綾、広島大学大学院教育学研究科附属特別支援教育実践センター参照)
以上のことより、このYouTube動画では、基本的な助詞の使い方について「助詞手話記号」を使って学習していきたいと思います。なお、助詞「が」と「を」についてはすでに学習しました。今後、助詞「に」「で」「と」などについて学習していく予定です。
○参考になるホームページの助詞関連箇所
・TOP>日本語文法指導>助詞の指導
http://nanchosien.com/09/09-3/
○幼児期の日本語指導教材と実践例
・視覚教材で楽しく日本語を身につけよう!
これは難聴児年中さんの家庭で助詞記号や品詞カードを使ってあそんで成果をあげた事例の紹介です。
http://nanchosien.com/papers/04-4/post_110.html
・「助詞カード』であそぼう!」
これは助詞を使った幼児のあそびの紹介。助詞カードを作成して、いろいろなモノに当てて楽しく遊ぶ方法です。助詞入門の効果的な方法です。
前回、動詞には自動詞と他動詞という二つの種類があり、自動詞は、そのものの動きをあらわすときに使う動詞。他動詞は、そのものを動かす動きについて使う動詞ということを学習しました。また、自動詞は「~が+自動詞」のかたちで使い、助詞「~を」をとることはないと学びました。ところが、一部の自動詞の中に、助詞「を」が必要となるものがあります。今回は、「を」を必要とする自動詞と、助詞「を」の3つの使い方について学習します。
以下、YouTube動画は下記のURLを開いて下さい。
第19回「自動詞なのに、なぜ助詞「を」を使うの?」(17分・字幕付)
また、今回のYouTube動画の無料テキスト・問題は、以下のURLからダウンロードできます。
19.自動詞なのに,なぜ「を」を使うの?(テキスト2・問題3).pdf〇学習内容
(1)ペアの自動詞・他動詞を使って、文を作ろう!

前回、学習した自動詞と他動詞の中には、ペアになるものが沢山ありました。今回は、それらの動詞を使って、まず、文を作ってみます。
花子さんは、右のファイルのように、「あがる」と「あげる」を使い、「たこがあげる」「男の子がたこをあがる」と作りました。さて、どこが間違っているでしょうか? 自動詞には「~ア段+る」となる動詞があることを前回学習しました。このルールを使えば「あがる」は自動詞であることがわかります。花子さんは自動詞と他動詞を逆にしてしまったことがわかります。
二郎さんは「出る」「出す」を使って文を作りました。他動詞のルールの中に「~す」となる動詞は他動詞というのがありましたから、二郎さんは正しく動詞を使ってことがわかります。
しかし、「子どもが 出る」という自動詞の使い方に、一郎さんから疑問の声が出ました。
「これだけでは、どこを出たのかがわからない」という疑問です。「たこがあがる」の場合は、空に舞う凧の様子を頭の中に描くことができますから、一応、これでよいと言えます。しかし、「男の子が出る」の場合は、出た場所がわかりませんから、「家を出た」のか、「風呂を出た」のか、「トイレを出た」のか、はたまた「学校を出た」のか全くわかりません。このような場合は、「どこ+を」という場所をあらわすことばを、あらかじめ入れる必要があります。
(2)助詞「を」の3つの使い方

助詞「を」が使われるのは、右図のような3つの場合です。
このうち自動詞で「を」が使えるのは、通過の「を」と出発点の「を」の場合です。また、
この使い方やその意味をわかりやすくいあらわすものとして「助詞手話記号」というのがあります。これは、手話を日常的に使っている子どもたちのために作ったもので、助詞「を」を使うのはこの3つの場合ということを理解していると、日記などで使い方を間違えたときにも自分で直すことができます。そ

してだんだんと助詞の使い方がわかってきたら、このような記号を使わなくてもすむようになります。助詞の意味がほとんどあるいは全く分からない子どもにはとても役立つ方法なので、ぜひ、使ってみていただけるとよいかと思います。


【参考図書】
助詞「を」については、以下の書籍を参考にして下さい。また、問題プリントも「動詞・形容詞活用練習ノートCD」(別売)よりプリントアウトしたり、掲載イラストを用いて新たに教材を作ることもできます。
○「きこえない子のための新・日本語チャレンジ」62頁~69頁、103頁~106、113~118、(*時間・数量に関する「を」の使い方は119~130頁を参照)
○「絵でわかる動詞の学習」24頁~26頁、64~67頁
動詞は自動詞と他動詞という二つの種類があります。自動詞は、そのものの動きをあら

わすときに使う動詞。他動詞は、そのものを動かす動きについて使う動詞です。
自動詞は、「まわる、ころがる、かくれる、われる」などのように「~が+自動詞」のかたちで使います。助詞「~を」をとることはありません。
一方で他動詞は、「まわす、ころがす、かくす、わる」など、これらは「~が~を+他動詞」のかたちで使います。
以下、YouTube動画は下記のURLを開いて下さい。
第18回「自動詞・他動詞の使い方」(17分・字幕付)
また、今回のYouTube動画の無料テキスト・問題は、以下のURLからダウンロードできます。
〇学習内容
(1)ペアになる動詞をさがそう!

★自動詞・他動詞の音韻的・形態的特徴
今回とりあげた自動詞・他動詞は特徴がつかみやすいものを選んでいます。ペアになるものを対にして図表(添付ファイル右枠)の中にならべていくと、動詞の音韻的・形態的

な特徴に気づくと思います。自動詞はいずれも語尾が「る」で終わるものを取り上げています。また、他動詞の多くは語尾が「す」となるものを取り上げています。こうして並べていくと、自動詞は「る」で終わり、他動詞は「す」で終わるものが多いのではないか?と気づきます。もちろん単純にそうではなく、以下のような基本ルールがありますし、細かいルールがあるのですが、以下の3つの基本ルールを知っておくだけでも便利ですのでぜひ一度、「自動詞・他動詞さがし」をするとよいと思います。この動画の無料テキスト・問題にもそのような問題の頁をつくってみました。
①動詞の語尾が「~ア段+る」(例:集まる、あがる、まざるなど)となる動詞は自動詞。
②動詞の語尾が「~れる」(例:かくれる、ぬれる、離れるなど)となる動詞は自動詞。
③動詞の語尾が「~す」(例:うつす、出す、残す、冷ますなど)となる動詞は他動詞。
★自動詞・他動詞の意味の違い・特徴
自動詞・他動詞の特徴のもう一つは、自動詞はものそのものの動きや変化、他動詞はだ

れかの動作で動作の対象となるものがあるということです。ですので、手話でそれを表現すると、自動詞はそのものの動きをあらわす手話表現(CL表現)になります。
また、他動詞は、ものを動かしている主語の動作になります。前者の表現方法をSASS(サス)といい、後者の表現をHandle(ハンドル)と言います。例えば、「車」の手話表現には、四指と親指を向き合わせて前に進む動作をする手話表現があります(SASS)。これは自動詞のもの(主語)そのものの動き・変化の表現と同じで、これに最後に指差しを入れます。主語を示す手話表現です。「車が走っている」という意味ですね。
また、ハンドルを握って車を運転操作しているような「車」の手話表現もあります(Handle)。これは他動詞の手話表現と同じです。これに最後に自分に指差しをすれば「ぼくが車を運転している」という意味になります。他動詞ですね。このような手話の区別によって、それが自動詞か他動詞かを区別できます。
(2)「が」のみをとる自動詞、「が・を」をとる他動詞

自動詞は、これまでこのYouTube動画でも学習してきた助詞「が」を使う動詞のことです。 他動詞は助詞「が・を」を使う動詞のことです。ですから、自動詞・他動詞の見分け方から、「ア段+る」の語尾になる動詞と
「~れる」になる動詞は自動詞ですから、常に「~が+自動詞」のかたちで使うた、語尾が「~す」の動詞は他動詞ですから、常に「~が~を+他動詞」というかたちで使うということがわかります。

右上のほうの問題ファイルの解答には、それらがどんな動詞なのかかがわかります。ファイルの図の左側は自動詞、右側は他動詞です。
あと、右のファイルは『絵でわかる動詞の学習』(本会発行)に掲載されている問題です。こちらも参考になりますのでぜひ使ってみてください。
今回から字幕をつけました(これまで方法がわからず)。これで音声、口話併用の手話、字幕があるので、少しわかりやすくなったかなと思います。
さて、今回は少し内容を欲張って、①質問文の作り方と②助詞「が・を」を使った文の作り方の二つです。ですので、動画の時間も少し長いです(19分)。ご容赦下さい。
YouTube動画は下記のURLを開いて下さい。今回から字幕をつけました。
第17回「質問文の作り方&助詞『が・を』の使い方」(19分)
今回のYouTube動画の無料テキスト・問題は、以下のURLからダウンロードできます。
17.質問文の作り方と助詞「が・を」の使い方(テキスト・問題).pdf〇学習内容
①質問文(疑問文)の作り方
日本語の質問文の作り方は、英語のように語順を変える必要がないので簡単です。長い

形(ていねい形=ます・です形)なら最後に「か?」(例「食べますか?」「大きいですか?」、短い形ならそのまま語尾をあげるか、「の?」をつけるだけ(「食べるの?」「大きいの?」)。
また、誰かに質問するとき、質問詞(疑問詞)を使って問いかけます。質問詞としては、以下のようなものがあります。
・時数詞に対応⇒「いつ」「いくつ」「いくら」「どれだけ」など

・名詞に対応⇒「だれ」「なに」「どこ」など
・形容詞に対応⇒「どんなだ」
・動詞に対応⇒「どうする」「どうなる」
今回は、例文に「なに」「どんなだ」(形容詞文)、「だれ」「なに」「どうする」(動詞文)をとりあげています。このような質問詞が例文のどの部分と対応しているのか、品詞カードを使って実際に動かしながらたずねると、理解が容易になります。実際にどう動かすかは、動画を見てください。
質問文は、教科書の中でも頻繁に出てくるので、質問していることが文のどこに対応しているのかを理解することが必要です。この機会にしっかり学習しておきましょう。
【参考資料】「質問文の作り方」『きこえない子の新・日本語チャレンジ』37頁

②助詞「が・を」の使い方
前回は、助詞「が」を使って作る文の練習をしましたが、今回は、「が」と「を」を使って作る文の練習です。日本語には、「~が+述部」という、助詞「が」だけが必要な文のかたちがあります(右図上)。このかたちでは、名詞、形容詞、動詞を使うことができます。「を」は使うことができません。必ず必要な情報は1つだけというのが特徴です。

これに対して、「~が~を+述部」となる文のかたちがあります(右図下)。この文のかたちでは名詞や形容詞は使えません。動詞だけです。また、全ての動詞がここに使えるわけでもありません。問題プリントをみればわかりますが、必ずその行為・動作をする人や生き物(主語)があり、そしてその行為・動作の対象となる「目的語・対象語」を必要とする動詞です。
言い換えると、情報が2つ必要な動詞です。今回は、助詞「が」と「を」が必要な文のかたちがあるということ、質問詞を使っ


て、「だれ(なに)が・なにを・どうする?」という質問文が作れることを学習します。
これまでは、時数詞、名詞、動詞、形容詞など単語・品詞の学習が中心でした。今回から助詞を使って、具体的に文を作る練習したいと思います。
〇学習内容
文を作るとき私たちは日本語の文法にしたがっています。語彙の並べ方にもルールがあ

ります。当たり前といえば当たり前ですが、では、きこえない子たちは、活用しない名詞が前にきて、名詞の次には助詞が来ること、そして、文の最後には必ず活用する語がくるということをきちんと理解しているでしょうか?
また、句(例「明るい太陽」)や節(例「黒い服を着た男」)になると、文の前に出るということも理解しているでしょうか? 前者は感覚的にわかっている子が多いですが、後者の句や節の作り方や理解の仕方はかなりあやしい子どもが多いです。というか聾学校低学年の半分以上の子どもは正しく理解していないのが現状だと思います。

また、文を作るときには、必ず助詞が必要です(時数詞のように助詞をはぶくことができる品詞もありますが)。今回は、助詞「が」を使って文を作る練習をします。助詞「が」は、「が」の助詞カードを使って、いろいろなものに当てて「ポストが赤い」「ジュースが冷たい」「ポストが立っている」な

どと遊んだり、絵本の中の登場人物に当てて「だるまさんが、ぷっ」とか、教科書の挿絵に当てて「おばあさんが・・」などとやるのがいちばん理解も早いし、楽しめます。このように、助詞「が」は、述部の形容詞や動詞の主語や動作主にあたります。助詞「が」の前にある名詞を「主語」とも言います。
今回の動画では、「わたあめがやわらかい」「わたあめが甘い」などの例文で助詞「が」を導入しています。また、品詞の並べ方ルールでは、活用しないことばが文の前に来て、これを「情報」ということ、活用する

形容詞や動詞が文のうしろ(最後)に来て、これを「述部」ということ、助詞は情報と述部のあいだにあって、情報と述部を結びつける役割をもっていることなどを学習します。
以下、YouTube動画は下記のURLを開いて下さい。
第16回「助詞『が』を使って文を作ろう!」(16分)
だれでもわかる日本語の読み書き16~助詞「が」を使って文をつくろう!
また、今回のYouTube動画の無料テキスト・問題は、以下のURLからダウンロードできます。
16.助詞「が」を使って文をつくろう(テキスト・問題)PDF.pdf
今回は、「子ども用品詞カード」の作り方について説明します。品詞カードは、ホワイトボード上に貼り付けて、日本語の文の構造を一目でわかるようにするとても有効な視覚教材です。YouTube第6回で「品詞カードの作り方」を紹介しましたが、その時は、学校の教室の黒板などで使うものでした。今回は、それぞれの子どもが自分の机の上で動かして使うものなので、縦3cm、横8~9cm程度の小型サイズです。
ユーチューブは以下のところを開いて下さい。今回は、教材の作成ですので子ども向けのテキスト等はありません。
1.準備するもの

①色方眼紙(黄色=名詞、ピンク色=時数詞、黄緑色または薄緑=動詞、水色=形容詞)。
色方眼紙はネット販売でも購入できます。A3版1枚で80円前後。これを切って使います。
サイズは、3cm×9cm。動詞と形容詞は右側は尖っています。但し、動詞の「て形」と形容詞の「くて形」は右の尖った部分がまっすぐに切ってあり、横細長の台形になります。
これに透明のカバーフィルムを(ブックカバー)を掛けます(ネット販売で500円位)。
裏側にマグネットシート(粘着タイプ)を貼り付けます(ネット販売で600円位)。
②助詞は、色方眼紙ではなく、下記から助詞記号をダウンロードし、印刷して、それにラミネートフィルムで加工し(パウチ加工)、裏側にマグネットシートを貼ります。これでホワイトボードマーカーで何度でも書いたり消したりして使えます(油性マジックは✖)。
③あと、「情報」「助詞」「述部」のカードも同様にダウンロードしたものを加工して作ります。これで完成です。A3のホワイトボードが適度に広さがあって使いやすいですが、机の上が狭ければA4のボードでもやむをえないでしょう。
2.色方眼紙がない場合

紙と付箋紙で作ります。付箋紙はピンク、黄色、黄緑、水色の4色準備します。助詞はパウチしたもの(前述)を使うのがよいですが、ない場合は、付箋紙を切って使います(色はこだわりません。右図参照)。
☆助詞記号・情報・述部等カード(ダウンロード)
☆構文練習用紙(ダウンロード)

形容詞は動詞と同じようにさまざなに活用します。ただ、動詞には4つの活用パターン(1グループ動詞、2グループ動詞、「する」「来る」)がありましたが、形容詞はただ一つです。その活用パターンは右図のようになります。この用紙はさまざまな形容詞の活用練習用紙になっていますので、下記からPDF版をダウンロードしてお使いください。
〇学習内容

今回は、形容詞がどのように活用するか、「(値段が)高い」という形容詞について、親子の会話で考えてみましょう。ここでは「このりんごは、高い、高くなる、高くない」の3つを扱っていますが、問題の2では「高いので買えない」「高くて買えない」「高いりんごは買えない」などの使い方も一応、提示しています。ただ、時間的に、今、これらのさまざまな使い方を学習することはできないので、このあとの形容詞の学習で扱っていきます。

形容詞の活用はどの形容詞も同じですが、「いい」だけはうまく当てはまりません。例えば、「いかった」は「よかった」になりますし、「いくなる」は「よくなる」になります。「よい」の活用と同じになるのです。ここだけ覚えておけば使い方を間違えることはありません。
また、ここではとりあげていませんが、形容詞「大きい・小さい・おかしい」に似たことばで、「大きな・小さな・おかしな」ということばがあります(例『大きなかぶ』「おおきなのっぽの古時計」「大きな栗の木の下で」など)。これは形容詞と間違えやすいことばですが、活用のない「連体詞」で、うしろに名詞が続く時だけしか使えません。しかし、その違いを説明することは難しいのでここでは扱いません。
以下、YouTube動画は下記のURLを開いて下さい。
第14回「形容詞の活用」(14分)
だれでもわかる日本語の読み書き14~形容詞その3・形容詞の活用
また、学習で使う無料プリント(テキスト・問題)は、下記からダウンロードして下さい。
「テキスト・問題プリント」ダウンロード・・・本時で使用します。
⇒14.形容詞その3・形容詞の活用(テキスト2枚、問題3枚)PDF
形容詞はもの、こと、心の様子などをあらわすことばです。疑問詞(質問詞)では、「どのような」にあたります。私たちはまわりのことを知るときに視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚などのいわゆる五感を使って感じとりますが、この五感に関わることばの多くは形容詞です。
また音韻の特徴は、基本形では最後の文字(音・オン)が必ず「~イ」になる特徴があります。
さらに、形容詞の中には心の様子を表すときに用いられる「~しい」となることば(しいことば)や、ものごとを比べるときに用いられる「はんたいことば」(くらべことば)などがあるのも特徴です。今回は、このような形容詞の特徴について調べてみます。
〇学習内容

まず、形容詞はものごとや気持ちの表現など、ようすをあらわすことばであることをおさえておきましょう。そして、五感を含む8つのカテゴリーにわけて形容詞を分類してみます。ここでは時間の都合上、沢山の形容詞をとりあげることはできませんが、学校や家庭では、このような分類表をつくって、言葉探しをしてみるとよいと思います。そのような活動をすることで、私たちの五感をあらわすことば、とくに聴覚、嗅覚、味覚をあらわすことばは決して多くないことにも気づくと思います。
次に、形容詞の音韻の特徴として、必ず基本形の語尾が「い」で終わることにも気づかせましょう。動画では時間的制約から初めから「い」で終わることを提示していますが、学校や家庭では、形容詞さがしをするときに、形容詞は「い」で終わることを子どもに発見させると楽しく学習できると思います。
次に、形容詞の中には、「~しい」で終わる気持ちを表すことばがたくさんあることを学習します。「~しい」で終わることばをさがしてみるのも楽しいと思います。
以下、YouTube動画は下記のURLを開いて下さい。
第13回「形容詞ってどんな品詞?」(16分)
だれでもわかる日本語の読み書き13~形容詞その2・形容詞ってどんな品詞?
また、学習で使う無料プリント(テキスト・問題)は、下記からダウンロードして下さい。
「テキスト・問題プリント」ダウンロード・・・本時で使用します。
⇒13.形容詞その2・形容詞ってどんな品詞?(テキスト2枚、問題3枚)PDF
○形容詞の誤りはどんな誤りが多いか?

形容詞もきこえない子の苦手な品詞のひとつです。日記の中には、使い方の間違いが時々見られます(右図参照)。ここでは、「古い」のタ形(過去形)が、「ふるかった」なのか「ふいかった」のか、「長い」のタ形(過去形)が「ながったのか」「ながかった」なのかなど、形容詞の最後の文字「~い」があるのかないのかがわからなくなった例、また、「~ので」や「~から」という接続助詞とのつながり方がわからなくなった例などいくつかあげてみました。また、ここには出ていませんが、「なにで名詞」(国文法の形容動詞)の「きれい」を「きれいくない」とか「きらい」を「きらいかった」など形容詞と混同する間違いもよくありますが、これは「なにで名詞」を取り上げるときにまた勉強したいと思います。
〇形容詞の活用の勉強の仕方

形容詞の活用は、「いい」を例外として、残りは全て同じ活用をしますので、この活用表ひとつで間に合います。これを使っていろいろな形容詞をその都度とりあげて書き込み、例文を作ることでだんだんと活用の仕方が身につきます。とりあげる形容詞は、日々の生活や学習の中で出てきた形容詞や日記などで間違えた形容詞を取り上げていくのがよいと思います。
また、その時に単に活用表を書きこんで終

わりではなく、必ず、どれかの活用を使っていくつか例文を作ってみることです(最低1つは)。例文作りの中で、実際にどのように使うかが学べます。また、日記の中での間違いは、左図のように、小さな活用表を準備しておき、間違えた形容詞を再度、自分で書いてみることです。こうすることで、自分でその誤りに気付くことができます。そして、その用紙を日記帳に貼り付けておくとよいでしょう。
以下、YouTube動画は下記のURLを開いて下さい。
第12回「形容詞はどこで間違うの?(6分30秒)
だれでもわかる日本語の読み書き12~形容詞その1・形容詞はどこで間違うの?
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また、形容詞と文末「です」の活用を含めた『活用おたすけシート』(最終版)が
以下のURLからダウンロードできますので、ラミネートフィルムなどでパウチして使うとよいと思います。
〇はじめに
今回で動詞活用ルールの学習は3回目になります。ちょっとしつこいように感じられるかもしれませんが、きこえない子が日本語がなかなか身に付かないのかということの要因のひとつは動詞(もうひとつは助詞)にあるので、動詞はしっかりと身につけさせたいと思います。
〇学習内容

今回は、3グループ動詞について学習します。3グループというのは、国文法でいう「カ行変格活用」と「サ行変格活用」の両方をまとめたものです。同じグループに分類されているから同じ変わり方をするというわけではなく、1グループにも2グループにも属さない二つの動詞「来る」と「する」をくくっただけのことで、この二つは全く独自の変わり方をします。いわば活用の例外パターンです。ですから、そのまま変わり方を学習し記憶するしかありません。とはいっても記憶することが苦手なお子さんもいますから、右図のような、いつでも何度でも見れる「活用おたすけシート」をA4両面に印刷してパウチしておくとよいと思います。このシートのデータは下記からダウンロードできます。
また、YouTube動画は下記のURLを開いて下さい。
さらに、学習で使う無料プリント(テキスト・問題)は、下記からダウンロードして下さい。
「テキスト・問題プリント」ダウンロード・・・本時で使用します。
⇒11.動詞の活用その3~3グループ動詞(テキスト2枚、問題2枚)PDF
11.動詞の活用その3(テキスト・解答).pdf

これまで、活用表では「基本形」「ない(否定)形」「ていねい形(ます形)」「て形」の基本四形を学習してきましたが、今回から「仮定形」「命令形」「意向形」「可能形」「受身形」「使役形」の6つの活用形も加えました。これらの活用形は3グループ動詞だけでなく、1グループ動詞や2グループ動詞においても必要な活用なので、今回以降の動詞活用表は全ての活用形が入った活用表を使っていきます。
また、教科書にはさまざまなかたちの活用形で動詞が出現しますし、児童の日記などで

もさまざまな活用で使います。しかし、まだまだ間違えることも多いので、その都度、間違えた動詞のついて、「活用表」を書かせるとよいです。この表は、小さなサイズのものを作っておくと便利です。子どもが日記や作文などで動詞の活用を間違えたとき、その動詞の活用表を書かせ、自分でその間違いに気づくようにさせるのが正しく使えるようになるための近道です。また、教科書などに出てきた初出の動詞についても活用表を書かせると意味の理解が深まります(右図参照)。

さらに、このYouTube動画での動詞のプリントだけでは学習が足りないと感じられる場合や、教科書で出現する動詞の用法について学習したいときなどは、ワーク『絵でわかる動詞の学習』や『はじめての動詞の学習CD』に収録されている関連の問題プリントをぜひ使ってみてください。