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だれでもわかる日本語の読み書き(You Tube日本語講座19~)

この動画シリーズ第8~11回「動詞の活用」の学習で、動詞を3つのグループに分けてそれぞれの活用の仕方を学びました。しかし、これらの活用の中で、3グループの「来る」と「する」を除くそれ以外の動詞の活用、例えば「食べる」はどちらのグループに入るのか、「飲む」はどちらのグループに入るのかなどについてはまだ学習していませんでした。

そこで今回は、それぞれの動詞がいったいどちらの活用グループに入るのか、その見分け方について学習したいと思います。

ユーチューブは以下のところを開いて下さい。なお、今回は字幕ソフトの不具合により字幕がつけられませんでした。どうぞご理解のほどよろしくお願いいたします。

 

☆YouTube動画(11分)

https://youtu.be/E6RDHOpbzrQ


また、学習で使う無料プリント(テキスト・問題)は、下記からダウンロードして下さい。

 テキスト・問題プリント」ダウンロード

27.動詞活用の見分け方(テキスト2・解答2).pdf

 

〇今回の学習内容

 まず、1グループに分類されている動詞(4つ)と2グループに分類されている動詞(4つ)を見て、それぞれの動詞活用練習表(「第8回動詞の活用」参照)を参考にしながら、

動詞活用の見分け方.jpg

それぞれのグループにどのような活用ルールがあるのか考えてみましょう。

今回は、動詞「マス形」を使った動詞活用の見分け方を紹介します。「ナイ形」を使う方法もありますが、きこえない子には「マス形」のほうがわかりやすいので、基本形の動詞をまず「マス形」にしてみましょう。


1グループ動詞の場合・・・

そうすると1グループ動詞「たたむ」「あらう」「乗る」「切る」はそれぞれ「たたます」「あらます」「のます」「切ます」と、どれも「ます」の前が「イ段」になることがわかります。


○2グループ動詞の場合・・・

2グループはどうでしょうか?「きがえる」「出る」「食べる」「寝る」は、「きが

動詞活用の見分け方3.jpg

す」「出ます」「食ます」「ます」で、すべて「ます」の前は「エ段」になることがわかります。これがルールです。

つまり、動詞を「マス形」にして「ます」の前が、イ段であれば1グループの活用、エ段であれば2グループの活用をすることがわかります。これが動詞活用の見分け方です。

 


○2グループ活用の例外~特別な2グループ動詞

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動詞活用の見分け方の基本ルールは、これでわかりました。しかし、文法規則にはしばしば例外が伴います。このルールにも例外があります。「ます」の前がイ段でも、以下の9つの動詞は1グループではありません。これは「特別な2グループ」なので、「例外」として覚えておきましょう。

「着る」(*「切る」ではありません)「できる」「浴びる」「起きる」「借りる」

「見る」「降りる」「足りる」「いる」

 

このYouTube日本語講座では、文のかたちをいろいろと学んできました。 

文のかたち・絵日記.pptx.jpgのサムネール画像

今回は、もう一度それらを整理したいと思います。きこえる人はいちいち文型など意識していません。それは小さい時からのコミュニケーションの中で、例えば「飲む」とか「食べる」という動詞の時は、「なにを」ということば、「行く」ということばをきくと「どこに」ということばとセットになって身につけているからです。しかし、きこえない子には難しいことです。聴力が厳しければ厳しいほど困難さは増します。それで、まず、文の最も基本の型である文型のかたちで学習が必要になります。「けんかする」⇒「だれと?」⇒文型「~が~とけんかする」と例文が頭に浮かぶようになるくらいまで繰り返します。このような練習は、実は幼児の時の絵日記で繰り返しやっているのですが(添付ファイル)、それ

文のかたち①.jpgのサムネール画像

でも身についていないこともあるので、小学生低学年くらいの時に、助詞を意図的に取り上げ繰り返し学習する必要があります。


〇文の「述部」と「情報」

 まず、文は文末の「述部」(=述語)が土台になっています。その土台の上に、必要な「情報」が加わり、「情報」と「述部」の関係を明示するために「(格)助詞」がつきます。そして「述部」のことばには、欠くことのできない「情報」があり、それを「必須成

文のかたち②.jpg

分」と言っています。例えば、「私は 食べる」というだけでは、なにを食べているのかがわかりません。そこに、例えば「ケーキを」といった「情報」と「助詞」が必要になり、この「ケーキ」ということばが「食べる」という動詞の必須成分ということなのです。同様に「行く」という動詞には、「だれが」と「どこに」という「情報」が必須成分として必要です。このような述部と必須成分の組み合わせを「文型」と呼んでいます。こ

文のかたち③.jpg

の「文型」には5つの種類があり、それらを5つの「基本文型」と呼んでいます。


〇基本文型

右上のファイルを見ていただければわかるように、「述部」には、名詞、動詞、形容詞を入れることができます。それぞれ「名詞文」「動詞文」「形容詞文」と言います。この中でいちばん多く使われるのは動詞です。日本語は、この「述部」のことばを土台にして、その上に必須成分を加えてまず骨組みが出来

文のかたち④.jpgのサムネール画像

上がります。さらにその上に、「いつ」をあらわす時数詞とか、「原因・理由」をあらわす助詞「~で」を使ったことば(これを「随意成分」と言います)とか、副詞、接続詞などいろいろなことばが加わって複雑な文になっていくという構造になっています。


①文型Ⅰ・・・「~が」+動詞・形容詞・名詞

 情報を1つしかとらない自動詞が多い。名詞が使える唯一の文型です。名詞は「今日は、雨です」などです。

文のかたち⑤.pptx.jpg


②文型Ⅱ・・・「~が」+「~を」+動詞

「~を」を必要とする他動詞はこの文型です。述部に来るのは動詞だけです。自動詞の中の「通過」(「バスが橋を渡る」)および「出発点」(「飛行機が 羽田を 飛び立った」)の自動詞はこの文型です。


③文型Ⅲ・・・「~が」+「~に」+動詞・形容詞

 文型Ⅰとならんで形容詞が使える文型です。

文のかたち⑥.pptx.jpg

また、まだ学習してませんが、「なにで名詞」(=形容動詞)が使える文型です。


④文型Ⅳ・・・「~が」+「~と」+動詞

 相手を必要とする文のかたちです。


⑤文型Ⅴ・・・「~が」+「~に」+「~を」+動詞

 これは「あげる」「もらう」「貸す」「借りる」「贈る」「届ける」「見せる」など、複数の人の間で物などをやりとりするときに使う動詞です。このような動詞には「情報」が3つ必要になります(添付ファイルの一番下)。


以下、YouTube動画は下記のURLからご覧になれます。

第26回「文のかたち~5つの基本文型」(14分・字幕付き)

https://youtu.be/Qgts5xbbebU

無料テキスト・問題は、下記のPDFをダウンロードしてください。

26.文のかたち(テキスト1・問題2).pdf

 このYouTube日本語講座では、これまでに、助詞「が、に、で、を、と」を一つ一つ取

助詞手話記号一覧表.pptx.jpg

り上げて、その使い方について学習してきました。それぞれの助詞はどのような使い方(意味・用法)があったのか、一覧表にして整理したものが右の表です。この表をみると、それぞれの助詞の用法をいくつかの共通のテーマのもとで括ることができます。

 例えば、「場所」(どこ)というテーマで括った助詞の使い方が「に・で・を」の3つの助詞に5つの使い方がありますし、「対象」というテーマで括ってみると「に・を・と」の3つの助詞に4つの使い方があることがわかります。そこで今回は、使い方が最も多い、「場所」に関わる「に・で・を」の5つの用法を取り上げてみたいと思います。一度、学習した使い方なので復習もかねて整理してみましょう。


以下、YouTube動画は下記のURLを開いて下さい。

第25回「場所の「に・で」を」を使って文を作ろう!」(14分・字幕付)

 https://youtu.be/IsbMHrLcMgc


また、①今回のYouTube動画の無料テキスト・問題は、以下のURLからダウンロードできます。さらに、②助詞の意味と使い方一覧表(おたすけカード)PDFと、③助詞手話記号(写真カード)PDFもダウンロードできます。


①テキスト・問題

25.場所の「に・で・を」~文を作ろう.pdf


②助詞の意味と使い方(おたすけカード)

助詞の意味と使い方(おたすけカード).pdf

 
③助詞手話記号(写真カード)


 

場所の「に・で・を」5つの使い方.pptx.jpg

〇学習内容

 場所に関わる助詞の使い方には、以下の5つのパターンがあります(右図参照)。


①助詞「に」

(ア)行先(目的地)・・・(例)「風呂 入る」「学校 行く」

(イ)存在・・・(例)「風呂 ある」「学校 いる」

場所の「に・で・を」5つの使い方(問題1).pptx.jpg

②助詞「で」

 場所・・・(例)「風呂 洗う」「学校 あそぶ」 

③助詞「を」

(ア)出発点・・・「風呂 出る」「学校 出発する」

(イ)通過・・・「風呂 通る」「学校 通り過ぎる」

このような使い方で、場所を一つ決めて、助詞「に・で・を」を使って文を作ってみましょう。


「に・で・を」実践例.pptx.jpgのサムネール画像

添付した図は、聾学校での場所の「に・で・を」の授業で使用されていた教材です。町の地図を使ったり、トンネルを使ったり、子どもが楽しく学べるようにそれぞれに工夫されているのがわかります。

その下は、ある難聴幼児の家庭で使われていた教材です。教材を工夫することで、年長さんくらいになるとこのような指導も可能で、このお子さんは、それまでよくわかっていなかった助詞が理解できるようになり、年長の頃にはJcoss(日本語理解テスト)で14項目通過(小2~3年レベル)できるまでに文法力がつきました。

幼児の事例.jpgのサムネール画像幼児の事例2.pptx.jpgのサムネール画像

このYouTube日本語講座では、これまでに、①「が」のみを使う文、②「が」と「を」を使う文、③「が」と「に」を使う文、④「が」と「と」を使う文の4つのパターンについて学んできました。これらのパターンで使う動詞は、どんな助詞を必要とするのかがほぼ決まります。例えば「ぼく食べる」という文の動詞は、「~」という目的語が必要であり「ぼくラーメン食べる」というかたちになるのが基本的なかたちです。また、「ぼく行く」という文の動詞は、「~」という目的語が必要であり、「ぼく学校行く」というかたちが基本的な形です。

しかし、「で」はどうでしょうか? 「ぼく食堂食べる」とか「ぼくバス行く」という文を見た時、前者ではやはり「なに?」食べるのかという肝心な部分が欠けてると感じますし、後者は「どこ?」行くのかという大切な部分が欠けていると感じるはずです。つまり、「で」は基本のかたちを構成することはできず、上に述べた①~④の基本の文型とともに使う助詞です。でも、文の内容を相手にさらに詳しく伝えるために必要でかつ便利な助詞です。以下、助詞「で」の使い方について学習します。

 

○学習内容~助詞の「で」について

 

助詞「で」テキスト1.jpgのサムネール画像

今回は、低学年児童の日記(右資料・左側)から、助詞「で」の使い方を考えてみます。この日記に使われている助詞を数えると、以下のようになります。

「は」・・・7回   「が」・・・2回     「を」・・・1回

「に」・・・4回   「と」・・・5回    「で」・・・0回


とはいっても、「で」を使うことで、いくつも文を並べることなく、端的にまとめて言い表すことができます。例えば、①「イオンに行きました。パパとママとぼくと弟です。」は、全員をいちいち言う必要性がないところでは、「家族みんな」とか「家族4」とまとめることができます。また、「年末でした。道が混んでいました。バスに乗って行きました。」は、一つの文にまとめて「年末、道が混んでいたので、バス行きました。」とすっきりさせることができます。

このように、「で」は、基本的な文のかたちに絶対に必要な助詞ではありませんが、文をまとめたり、中身をさらに詳しくするために欠かせない助詞です。そこで、日記の文を、「で」を使った文に書き換えてみました。それが同添付図・テキスト1の右側の文章です。このなかでは「で」が8箇所使ってあります。では、これらはどのようなときに使っているのでしょうか?

 

○助詞「で」の4つの使い方

助詞「で」4つの使い方.pptx.jpg

助詞「で」が使われるときは、図のような4つの場合です。

①ある場所で何かをするとき(例「学校勉強する」「公園遊ぶ」など、場所の名前+「で」となります)

②時間や数量の期限・範囲をあらわす(例「5終わる」「全部100円」など、時数詞+「で」となります)

③道具・手段・材料・方法をあらわす(例「はさみ切る」「手話話す」「木作る」などです)

④原因・理由をあらわす(例「風邪休む」「誕生日もらう」など)

助詞「で」キスト2.jpg

 この4つの使い方について、子どもの書き直し日記(添付図テキスト1・右側)の「で」が使われているところをチェックしてみると、上記①場所の「で」が2回、②範囲(時数詞)の「で」が2回、③手段・方法の「で」が2回、④原因・理由の「で」が2回と4つすべてそれぞれ2回ずつ使われていることがわかります。

 

助詞「で」がうまく使えるようになるに

助詞で問題1.pptx.jpg

は、経験と習熟が必要です。文を作るうえで必須の助詞である「が、を、に、と」を身につけるのは、時間的にも比較的早いのですが(使う頻度が多いので)、「で」は文に必須でない分、使い慣れていくことが必要です。しかし、使われ方が他の助詞よりもはっきりしているので学習はしやすいです。ぜひ、「で」の使い方をしっかりと身につけて日記や作文の中で使ってほしいと思います。


以下、YouTube動画は下記のURLを開いて下さい。

第24回「助詞「で」の4つの使い方?」(14分・字幕付)

https://youtu.be/P-0xdjp3JiM 

また、今回のYouTube動画の無料テキスト・問題は、以下のURLからダウンロードできます。

24.助詞「で」の4つの使い方(テキスト2・問題2).pdf

 きこえない子は助詞が苦手、ということを以前にお話ししました(第20回『きこえない子は、なぜ助詞が苦手か?』)。いろいろとその理由はありますがひと言でいえば「きこえな

文法指導の効果.jpg

いから」です。これは補聴器をしても人工内耳をしてもやはり聴児と同じレベルには、自然にはいきません。そこでいろいろと工夫をするわけですが、だれにも効果的なのは、やはり日本語を「見える」ようにすることです。このYouTube学習動画では、そのための指導内容・方法について紹介していますが、実際の授業場面ではないため、もう一つ実感がわきにくいと思います。そこで、今回は、NHK『ろうを生きる難聴を生きる』で、2012年と2015年の2度にわたって紹介された二つの聾学校での文法指導の授業場面を紹介します。

 このような指導を週1回継続することで、児童の文法力は年々向上していきます。右上のグラフはJcossの項目別通過率です。文法指導を始めた2007年頃は小低(1・2年)児童の平均通過率は24%。聴児の63%に比べてかなり低いことがわかります。しかし、8年後の2015年には平均通過率は61%まで向上。ほぼ聴児の水準まで伸びたことがわかります。


☆動画内容

①大塚ろう学校小学部(2012)・・・児童の助詞の誤り、授受文の指導授業場面より(6分)

②香川聾学校小学部(2015)・・・品詞カードを使った文の作り方、動詞の活用、助詞手話記号を使った助詞の指導等の授業場面(15分)


★YouTube動画は下記URLをクリックしてください

https://youtu.be/dm4ZvLjjdf0


このYouTube日本語講座では、これまでに

①「が」のみを使う文  ②「が」と「を」を使う文  ③「が」と「に」を使う文について学んできましたが、今回は、④「が」と「と」を使う文について学びます。

助詞「と」には、いわゆる格助詞(江副文法では「関係助詞」「情報助詞」に分けています)と接続助詞の二つの種類があります。

助詞「と」の用法.jpg

接続助詞というのは、「春が来ると、花が咲く」などのように、単文と単文をつなぐときに使われ、「~が来ると」のように動詞基本形+「と」のかたちで使われます。この接続助詞はまた別の機会に譲り、今回は、「関係助詞」と「情報助詞」の使い方について学びます。

右のファイルを見ていただければわかりますが、二つの「と」の位置と、使っている手話記号・手話助詞記号のかたちが異なります。意味・用法が違うからです。では、どのように違うのでしょうか?


◎学習内容 

○関係助詞の「と」~「相手」の「と」

まず、右図の上「友だちと話す」の「と」は、これまで学習してきた「を」「に」などの助詞と同じ位置にある「と」です。これは、手話記号はひし形の中に「と」の記号を使っています。また、手話助詞記号は「人差し指を立てて向かい合わせた記号」です。この意味は、相手を必要とする動詞(述部)に使う「と」という意味です。例えば、以下のような動詞は、相手を必要とする動詞で、一人だけでは意味的に十分に成り立ちません。

*意味的に相手を必要とする動詞・・「けんかする」「たたかう」「競う」「けっこんする」「付き合う」「話し合う」「ぶつかる」など

 

助詞「と」の用法(テキスト).jpg

このような動詞に使う「と」を「相手の『と』」と言います。また、助詞「を」や「に」と同じ「関係助詞」です。関係助詞というのは、情報と述部との関係をあらわした助詞ですから、必ず情報と述部をつないで読んでみた時に、意味的にすんなりつながります(つながらない時に使い方が間違っています。例えば、テキストの例文「一郎が二郎とけんかする」では、「一郎が(情報)けんかする(述部)」「二郎と(情報)けんかする(述部)」と結んでみて正しくつながっていれば使い方は正しいことになります)

 

○情報助詞の「と」~「一緒に」の「と」

 これに対して、情報と述部の間ではなく、情報(名詞)と情報(名詞)のあいだをつなぐ「と」というのがあります。テキスト例文(図の下)の「ママが りんごとバナナを 買った」がそうです。

この文では、動詞「買う」に必要な助詞は「を」ですから、かたちの上では、「ママが~を買う」になります。しかし、買ったものが複数あるためこのまま買ったものを入れると「ママが りんご、バナナを買った」となります。必ずしも間違いではないのですが、一般的には、複数のモノを「と」でつなぎ、「りんごバナナ」とします。この時の「と」は、情報と助詞の関係を言っているのではなく、情報間の関係を言っているので「情報助詞」と呼んでいます。

そしてこの「りんごとバナナ」をまとめて一つの大きな名詞としてくくると「ママが~を買う」という「が・を」を使った文型になることがわかります。

助詞「と」の用法(問題).jpg

 

以下、YouTube動画は下記のURLを開いて下さい。

第22回「助詞「と」の二つの使い方?」(11分・字幕付)

 https://youtu.be/BIsSHLeize8

また、今回のYouTube動画の無料テキスト・問題は、以下のURLからダウンロードできます。

22.助詞「と」の使い方(テキスト1・問題1).pdf


☆助詞と動詞の組み合わせを知ろう~日本語にも基本文型がある

動詞の中には、「~が+動詞」(例;雨が降る)「~が~を+動詞」(例;「ママがケーキを作った」)のかたちで使う動詞があることを学びました。今回は「~が~に+動詞」のかたちで助詞「に」を使う動詞について学びます。聴者は「ぼくは ケーキを・・」という文を見た時(きいた時)、「その次は『食べる』という語が来るのでは?」と頭の中で予想することが多いと思います。それは「食べる」という動詞には「~を」(目的語・対象)という言葉が来るという文のパターン(文型)を知っており、「ケーキを・・」ということばをきいたときには、「食べる」ということばが続くのでは?と予想することが多いからです。

 もちろん、「台所で、ぼくは ケーキを・・」という、冒頭に「台所で」という文言がある文であれば、それらの語のならびから「『作った』のかな?」という予想をたてたりもできます。同じように、「ぼくは 学校に・・」であれば「『行く』がくるのかな?」とか「ぼくは 家に・・」であれば「『帰る』がくるのかな?」と予想をしたりします。このように、私たち大人は、どのような動詞がどのような助詞をとるのかということを知識として、文型として自然に身につけているわけで、そうした文型を無意識のうちに使って文を理解しています。

 しかし、きこえない子は、このような言語知識が十分に身についていないので、まだ動詞をみただけで(きいただけで)このような予想ができません。そこで、このYouTube日本語講座では、これまでに①助詞「が」のみを使う動詞、②助詞「が」と「を」を使う動詞について学びましたが、今回はその続きで③助詞「が」と「に」を使う動詞について学びます。


☆助詞「に」を使う動詞はどんな動詞? 

 さて、助詞「に」を使う動詞にはどんな動画あるのでしょうか?いくつかあげてみます。

助詞「に」の用法.jpg

あたる、あやまる、ある、行く、いる、帰る、隠れる、かみつく、来る、賛成する、住む、座る、付く、着く、勤める、泊まる、乗る、入る、向かう・・・などいろいろあります。

これらの「に」をとる動詞を意味・用法で分類するとどうなるのでしょう? ここでは、右の「に」の4つの使い方から、時間(時点・ポイント)の使い方を除く3つの用法についてとりあげます。


以下、YouTube動画は下記のURLを開いて下さい。

第21回「助詞「に」はどんな時に使うの?」(20分・字幕付)

https://youtu.be/pnQrlrxwg5s

また、今回のYouTube動画の無料テキスト・問題は、以下のURLからダウンロードできます。

 21.助詞「に」はどんな時に使うの?(テキスト2・問題2).pdf


〇学習内容~助詞「に」の3つの用法

助詞「に」はどんな時に使うの?.jpg

   まず、以下の4つの例文について、どんな情報が不足しているのか考えてみます。

①「ママが 行きます」

②「ママが います」

③「犬が かみつく」

④「兄が くわしい」

これらの文をきいたとき(見た時)、私たちは何か物足りなさを感じます。①の文なら、どこに行くのか?知りたいと思いますし、②の文なら、ママはどこにいるのだろう?ということでしょう。これらの文に必要な語句を入れてみると、どの文も「どこ・だれ・なに」+「に」という助詞「に」を使う語が不足していることがわかります。そこで文を完成してみます。

①「ママが 行きます」⇒「どこ『に』」という行先・目的地を示す語を補う⇒

【例】「ママが 会社に 行きます」

②「ママが います」⇒「どこ『に』」という存在の場所を示す語を補う⇒

【例】「ママが 台所に います」

③「犬が かみつく」⇒「だれ・どこ『に』」という対象を示す語を補う⇒

 【例】「犬が パパに かみつく」

④「兄が くわしい」⇒「だれ・なに・どこ『に』」という対象を示す語を補う⇒

 【例】「兄が ゲームに くわしい」

 

助詞「に」の用法②.jpg

以上のように、助詞「に」が使われるのは、「行先・目的地」「存在」「対象」の3つの場合です。

次に、3つの助詞「に」の用法について、それぞれの用法で使う動詞はどのような動詞か、助詞手話記号を使いながら説明します。そしてそれらの動詞を使って例文を作ってみましょう。YouTube動画では、これらの動詞の例文を助詞手話記号を使って説明しますので、あとはそれらの動詞を使って文を作ってみてください。

助詞「に」の用法③.pptx.jpg


【参考図書】

○『きこえない子のための新・日本語チャレンジ』70頁~80頁、9699頁、107109頁(*時間・数量に関する「に」の使い方は119123頁を参照)

 今回の動画は指導者用動画なので、テキスト・問題プリントはありません。YouTube動画は下記のURLからご覧下さい。

https://youtu.be/Mni3Kuz41Tc


★解説

・助詞の誤り~低学年児童の日記の中から

きこえない子たちにとって苦手な品詞のひとつが助詞です。右のファイルは、聾学校小学部低学年児童の助詞の誤りの例ですが、こうした誤りについて、子どもが理解できるよ

聾児はどこで躓くか?~日記.jpgのサムネール画像

うに説明し納得させるためにはどのようにすればよいでしょう? これまでの長い聴覚障害児教育は聴覚口話法でしたから、いわゆる自然法の中で「なんども会話の中で繰り返していればそのうちわかる」指導で、その方法が確立されていませんでした。ですから日記に赤を入れて書き直させるという「指導」しか行われてきていませんでした。実際、ここに例示した助詞の誤りに対してもただ誤りを指摘するだけで、指導はなされておらず、赤を入れて教師の考える「正解の文」が横に書かれているだけです。

                                                

・助詞は、なぜ、身につかないか?

きこえない子の日本語習得上の難しさは二つあり、ひとつは動詞の活用、もう一つは助詞です。助詞の習得困難さの理由はいくつかあります。以下にその理由をあげてみます。

①日常会話の中で助詞はしばしば省略される(「ねえ、学校?」「いや、病院」など互いに文脈が共有されていれば日本語は単語だけで会話できるからです(ここが英語と違うところです)。

②助詞には一文字のものが多く(が、を、に、で、と・・)瞬間的に発音されかつ音圧も弱いため聞き取れないことがあります。また、口形が同じ助詞が多く、ぼそっと言っても区別しにくいです(「ママ」「ママ」「ママ」、「学校」「学校」など)。

③助詞は名詞や動詞などと違って、前の語と後ろの語との関係を表示する機能を持つ品詞(機能語)です。そのため、文の中でしか学ぶことができません

 

・会話の中で助詞を身につけるために大切なことは?

日常会話の中で助詞を身につけるためには、できるだけ正しい文で会話することと助詞を視覚でも提示することです。例えば、「ねえ、学校?」だけではなく、「ねえ、今日 学校 行くの? それとも 病院 行くの?」などと、主語や目的語などを省略しないこと手話を併用し、助詞は指文字で表出するなどの配慮が必要です。また、ある程度の聴力と読話も必要です。

 

・文の中での助詞の指導は?

では、書きことばの中で助詞は、どのように指導すればよいのでしょうか? 助詞にも格助詞とか副助詞とか接続助詞とかいろいろありますが、まずは、きこえない子が躓きやすい一文字の格助詞「が、を、に、と、で」を取り上げて指導します。

助詞が必要な文.jpg

格助詞は、客観的な事柄を述べたり理解するためには欠かせない品詞です。とはいっても文の中には、助詞がなくても意味がわかる文もあります。例えば、右図の上の①のような場合です。このタイプの文なら助詞がわからなくても、単語さえわかれば理解できます。「たろう✖ ラーメン✖ 食べる」でも「ラーメン✖ たろう✖ 食べる」でも、きこえない子は、単語から文の情景・イメージを描くことができます。

しかし、下の②の文はどうでしょう? 「たろう✖ はなこ✖ たたく」「はなこ✖ たろう✖ たたく」。日本語の文法ルールが語順によって前が主語で、後ろが目的語と決まっていれば、前者の主語(動作主)はたろう、後者の場合ははなこが主語(動作主)になるでしょうが、日本語は語順によって主語(動作主)は決まらず、名詞にくっついた助詞によって主語か目的語か、意味がわかるルールなので、助詞がないとどっちがどっちかはわからないのです。そのため、助詞がわからないと、文が理解できません。


・子どもたちの助詞理解度の実態は?

右のグラフは、Jcoss(日本語理解テスト)の文法項目別の通過率を示した図です。この検査には文法項目が20項目あり、それぞれの項目に4問ずつ問題があります。この4問とも

聾児はどこで躓くか?~jcoss.jpg

正解のとき、その項目は「通過(パス)」と言います。その通過率を示したのが右のグラフです。通過率とは例えば10人のうち5人が通過すればその問題の通過率は50%です。2つの聾学校の通過率が20の項目別に示されています。 

この中で左から6番目の「3要素結合文」というのが、上に述べた①のタイプの文(非可逆文といいます)です。このタイプの通過率は、2つの聾学校ではほぼ50%ということが読み取れます(低学年聴児の通過率は90%近いですから、これは使われている文の中の語彙力の差です)。これに対して7つ目の「置換可能文(可逆文)」が上に述べた②のタイプの問題です。このタイプの問題は助詞「が、を」の意味が理解できていないと正答できません。この問題の通過率20%。つまり5人中4人は助詞「が、を」が理解できていないことになります。

Jcossの項目の7番目以降の問題をみると、どの項目もいずれも通過率は低いです。助詞「が、を」がわからないわけですから、そのあとに続く項目の文を読んで理解することは極めて困難だということです。繰り返し読んでいれば自然にわかるようになるというレベルではないのです。この「自然にわかる」という理屈が通用するのは助詞が8割以上わかっているときで、「ときどき助詞を間違える」くらいであれば、あえて助詞を取り上げて指導する必要はありません。それこそ、「そのうちわかってきますから心配要りません」。

助詞指導の効果.pptx.jpg

 でも、そうでない子どもたちには、指導が必要です。そして指導をすれば必ず伸びます。右のグラフはある聾学校でたまたま文法指導をしたグループとしなかったグループでの助詞テストの結果です。指導期間は半年だったのですが、助詞の意味・用法と手話表現を組み合わせた指導によって効果があることが証明されています。

(因みに、別の研究でもこうした結果が出ています。『聴覚障害児への「手話助詞」を用いた格助詞指導』大鹿綾、広島大学大学院教育学研究科附属特別支援教育実践センター参照)

 以上のことより、このYouTube動画では、基本的な助詞の使い方について「助詞手話記号」を使って学習していきたいと思います。なお、助詞「が」と「を」についてはすでに学習しました。今後、助詞「に」「で」「と」などについて学習していく予定です。


○参考になるホームページの助詞関連箇所

・TOP>日本語文法指導>助詞の指導

http://nanchosien.com/09/09-3/


○幼児期の日本語指導教材と実践例

・視覚教材で楽しく日本語を身につけよう!

これは難聴児年中さんの家庭で助詞記号や品詞カードを使ってあそんで成果をあげた事例の紹介です。

http://nanchosien.com/papers/04-4/post_110.html


・「助詞カード』であそぼう!」

 これは助詞を使った幼児のあそびの紹介。助詞カードを作成して、いろいろなモノに当てて楽しく遊ぶ方法です。助詞入門の効果的な方法です。

http://nanchosien.com/papers/04-4/post_164.html

前回、動詞には自動詞と他動詞という二つの種類があり、自動詞は、そのものの動きをあらわすときに使う動詞。他動詞は、そのものを動かす動きについて使う動詞ということを学習しました。また、自動詞は「~が+自動詞」のかたちで使い、助詞「~を」をとることはないと学びました。ところが、一部の自動詞の中に、助詞「を」が必要となるものがあります。今回は、「を」を必要とする自動詞と、助詞「を」の3つの使い方について学習します。

以下、YouTube動画は下記のURLを開いて下さい。

第19回「自動詞なのに、なぜ助詞「が」を使うの?」(17分・字幕付)

https://youtu.be/Qh-9zh5okPw


また、今回のYouTube動画の無料テキスト・問題は、以下のURLからダウンロードできます。

19.自動詞なのに,なぜ「を」を使うの?(テキスト2・問題3).pdf


〇学習内容

(1)ペアの自動詞・他動詞を使って、文を作ろう!

自動詞なのになぜ「を」を使うの?テキスト1.jpg

前回、学習した自動詞と他動詞の中には、ペアになるものが沢山ありました。今回は、それらの動詞を使って、まず、文を作ってみます。

花子さんは、右のファイルのように、「あがる」と「あげる」を使い、「たこがあげる」「男の子がたこをあがる」と作りました。さて、どこが間違っているでしょうか? 自動詞には「~ア段+る」となる動詞があることを前回学習しました。このルールを使えば「あがる」は自動詞であることがわかります。花子さんは自動詞と他動詞を逆にしてしまったことがわかります。

二郎さんは「出る」「出す」を使って文を作りました。他動詞のルールの中に「~す」となる動詞は他動詞というのがありましたから、二郎さんは正しく動詞を使ってことがわかります。

しかし、「子どもが 出る」という自動詞の使い方に、一郎さんから疑問の声が出ました。

「これだけでは、どこを出たのかがわからない」という疑問です。「たこがあがる」の場合は、空に舞う凧の様子を頭の中に描くことができますから、一応、これでよいと言えます。しかし、「男の子が出る」の場合は、出た場所がわかりませんから、「家を出た」のか、「風呂を出た」のか、「トイレを出た」のか、はたまた「学校を出た」のか全くわかりません。このような場合は、「どこ+を」という場所をあらわすことばを、あらかじめ入れる必要があります。

 

(2)助詞「を」の3つの使い方

助詞「を」3つの使い方.jpg

 助詞「を」が使われるのは、右図のような3つの場合です。

このうち自動詞で「を」が使えるのは、通過の「を」と出発点の「を」の場合です。また、

この使い方やその意味をわかりやすくいあらわすものとして「助詞手話記号」というのがあります。これは、手話を日常的に使っている子どもたちのために作ったもので、助詞「を」を使うのはこの3つの場合ということを理解していると、日記などで使い方を間違えたときにも自分で直すことができます。そ

自動詞なのになぜ「を」を使うの?テキスト2.jpg

してだんだんと助詞の使い方がわかってきたら、このような記号を使わなくてもすむようになります。助詞の意味がほとんどあるいは全く分からない子どもにはとても役立つ方法なので、ぜひ、使ってみていただけるとよいかと思います。

 


自動詞なのになぜ「を」を使うの?問題1.pptx.jpg


自動詞なのになぜ「を」を使うの?問題3.pptx.jpg



【参考図書】

助詞「を」については、以下の書籍を参考にして下さい。また、問題プリントも「動詞・形容詞活用練習ノートCD」(別売)よりプリントアウトしたり、掲載イラストを用いて新たに教材を作ることもできます。

○「きこえない子のための新・日本語チャレンジ」62頁~69頁、103頁~106113118、(*時間・数量に関する「を」の使い方は119130頁を参照)

○「絵でわかる動詞の学習」24頁~26頁、6467




┃難聴児支援教材研究会
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