全国の難聴児のための早期支援、聴覚障害教育の情報提供、教材などの紹介を発信します。

講演資料2020(PDF)

 新型コロナウィルスの影響で、今年度は現在、講演活動は休止しています。

そこで今回は、昨年度におこなった「日本語文法指導」について掲載したいと思います。

このPDF資料の内容は、聾学校や難聴学級で行う「自立活動」の低学年での内容で、文法指導の全体ではありません。指導の内容としては以下の項目の基本的な内容について触れています。

 ①動詞・形容詞の活用の指導

 ②助詞の指導

 ③品詞カードと構文指導

 

ほかにも、動詞の指導としては受動文や使役文の指導、「なにで名詞」(形容動詞)の指導、名詞修飾・複文の指導などがありますが、それらの内容は、このホームページのTOP>日本語文法指導の「動詞・形容詞の指導」「助詞の指導」「構文・接続詞の指導」等を参考にして下さい。

日本語文法の指導(2019秋).pdf

 就学前のお子さんの保護者向けにお話をさせていただく機会がありました。そのときに話させていただいたことは、小学校以降の学習を支える日本語の力としてどんなことを身につけておきたいかということと、きこえる子たちの中で生活していくときの周りの人たちへの関わり方、自分の障害について周りの人たちにどう理解してもらうか、周りから情報をどうやって得ていくのかといった障害理解・障害認識に関することです。
今回は、前半の日本語の力や思考の力について、こんな観点からぜひ見直してみてください、という内容で紹介したいと思います。


 新刊発売!『手話で育つ豊かな世界~その子らしさを実現する支援・教育を求めて』

B5版,124頁,900円,全国早期支援研究協議会編)

 

 

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この書籍は、発達の早期から手話を積極的に使ってきたろう学校の在校生・卒業生、その保護者44人と、その支援・教育に関わってきた聾者・教員・ST・研究者など17名の計61名によって書かれた実践の記録・報告・論文集であり、おそらく手話をテーマにして書かれた書籍としては日本で最初の本だと思います。

 ここには人工内耳を装用している高校生・中学生や軽中度の大学生・高校生・中学生など、病院では「きこえているから手話は要らない」と言われてきた本人たちを含めて、手話を発達の早期から使ってきた保護者・本人たちが、手話がなぜ必要なのかをそれぞれの立場・視点から明らかにしています。 

 また、支援・教育にあたってきた側からは、発達早期から手話という言語でコミュニケーションが成立することが、その子どもの情緒的な安定や意欲、自己肯定感などを育み、また認知・概念形成・思考力を促すことを論じています。

 さらに耳鼻科医田中美郷先生(帝京大名誉教授)は、この冊子の論稿の中で①「2歳では人工内耳装用は遅いという理論的根拠は何もない」こと(木島注:実際この本に書いている装用児達は皆3~4歳装用で十分に人工内耳を現在使いこなしています)、②大事なことは「一つの言語(手話であれ音声言語であれ)を能力の許す限り習得させる」ことであり、そのためには自然言語としての手話が有利という証拠は否定できないということを最近の米国の研究論文を引用しつつ述べておられます。この点は確かに私もそうだと思います。私は10年以上に渡って発達早期から手話を使っている子どもたちの発達検査や言語検査等をやってきて、とくに3歳までにしっかりと手話で言語獲得してきた子は、言語を使って「考える力」がよく伸び(これはこの冊子掲載の拙稿をご覧ください)、そのことがのちの日本語力や学力に繋がっていることを実感しています。 

また、手話はこうした「認知能力」だけでなく、「自分は価値ある存在だ」という自己肯定感を育み、自己肯定感は物事に取り組む意欲や積極性、粘り強さ、集中力や工夫する力、失敗しても挑戦する自己回復力、自分をコントロールする自制心、集団の中でのリーダーシップなど、いわゆる「非認知能力」の発達にもつながっていることを実感しています。ただ、こうした「非認知能力」は客観的に数値で評価することが困難です。しかし、それゆえにこそ、この冊子の本人・保護者の手記こそがそのエビデンス(証拠)であり、大切な意味をもっていると思います。ぜひそうした非認知面での成長ということも、この冊子の中から読み取っていただけるのではないかと思います。

 

○内容

1部 当事者(本人・保護者)の立場から

   1.大学生・社会人・保護者11名  

   2中学生・高校生・保護者25名 

   3.幼児・小学生保護者8名

2部 子どもへの支援・教育の立場から

   濱崎久美子、関根久美子、菅原仙子、小林萌子、河合瞳、持田博美、臼井なずな、   牛島文、天沼陽子、木島照夫

3部 外部専門家・研究者の立場から

   田中美郷、中川信子、河﨑佳子、南村洋子、森せい子、早瀬憲太郎、上農正剛

 

★チラシダウンロード⇒「手話で育つ豊かな世界」チラシ.pdf


書籍の申込方法

  ①お名前、②お届け先(郵便番号・住所)、③連絡先、④必要冊数をお書きの上、メールまたはFAXで下記あて先にお願いします。

*5冊以上で1割引、10冊以上で2割引になります。但し送料・振込料別(郵便振込料は1,000円以上購入で研究会側負担・銀行振込の場合150円引)


☆10月中は新刊出版記念月間!1冊でも900円⇒800円になります。

 

・メール soukisien@yahoo.co.jp   または  nanchosien@yahoo.co.jp

    ・FAX 03(6421)9735(木島)  

   

*下記の申込用紙をダウンロードして、上記へメール(写真添付)またはFAXでも可

  書籍注文用紙2020.10.pdf 

 

○感想・推薦

お寄せいただいたこの書籍の感想・推薦の文を以下に紹介します(10.5現在)


①「手話がなぜ必要なのか、様々な教育実践から具体的に説明されている一冊です。聴覚障害児教育の難しいところは、親の9割が聞こえる親であるために成人聴覚障害者の世界を知らないまま、我が子の教育方法の決定的な判断をしなければならないということにあります。そしてその聞こえる親と最初に寄り添う専門家である医療関係者の多くもまた、成人聴覚障害者の「手話の世界」を知らないという現実もあります。」(群馬大学教育学部教授・金澤貴之)


②「音声を聞き取ったり話したりすることができないから手話を使うわけではありません。わかる手段は1つより2つの方がいい。これからの聞こえない子どもたちには、日本語と手話の2つの言語を獲得・習得することが、社会参加に絶対に欠かせません。この本では、聞こえない子どもたちが手話で幸せになる明るい未来の姿を力強く描いてくれています。手話か音声かの時代は終わりました。手話も音声も、です。」(金沢大学学校教育学類教授・武居渡)


③「ろう児の教育になぜ手話が必要なのか。これに迫った書籍は、耳鼻科の医学書ではほとんど存在しません。ことに耳鼻科医は、まず障害克服を中心にしか考えていないからです。なぜ手話が重要なのか、実際に聞こえない子供たちの意見を聞いてみたらどうでしょうか。障害を克服するためには、多くのものを犠牲にしなければなりません。その犠牲のほうがはるかに大きい人もいるのです。多くの聞こえない子供たちが、もっと有意義な人生を過ごせる方法もあると思います。ろう児の教育の中で、一つの選択肢しか考えようとしない耳鼻科医たちの了見の狭さには失望せざるをえません。何が重要なのか。まずは自分の頭で考えましょう。そのための資料として、この冊子は非常に価値のあるものです。一読をおすすめします。」(耳鼻科医・平野浩二氏・Facebookより)


④「本書には当事者や彼らを取り巻く保護者、支援者から見た手話の重要性についてのリアルな描写が多く掲載されており、非常に読みごたえがあり、多くの聴覚障害児教育関係者にもご一読いただきたい内容です。また、私個人としては田中美郷先生が医師という立場で人工内耳と手話について公平な視点で考察されている点に深く感銘を受けました。」(国立大学教育学部助教)


⑤ご自身の母語(=日本語)ではなく他の言語で、毎日ご家族やご友人と話さなくてはならないという世界を想像したことはありますか。それがわたしたち聴覚障害者にとって「手話のない世界」です。自分たちにとって自然言語であり視覚言語である手話の獲得は、コミュニケーションや情報へのアクセスを100%可能にしてくれます。そして、アイデンティティーの確立と強く結びついています。この本には、ありのままの自分でいられる「手話の世界」で育った喜びが溢れています。(東京大学熊谷研究室ユーザーリサーチャー・まきのまなえ)


⑥「これまで出会ったろう・難聴の人たちは、本当に多様なバックグラウンドを持っていました。通常の学校に通ったのか、聾学校に通ったのか、聾学校で手話がどのくらい使われていたか、小さい頃から手話があったのか、大人になって初めて手話に出会ったのか...などなど。 そして、多かれ少なかれ、みんな、苦しかった過去、辛い思いをしたことがあったようですが、目の前にいる、笑顔で手話で語りかけてくれるろう・難聴の友人・先輩・後輩は、そういった過去を、なかなか聴者である私に話してくれることはありません。私も、ずけずけと聞くことはしません。でも、ソーシャルワーカーとしてろう・難聴の方々の相談支援をする際には、彼らのそういった、言葉にできないことに思いを馳せること、理解しようと努力し続けることができなければなりません。本書は、ろう・難聴の方々のことをより深く理解するための一助になると思います。教育関係者は言わずもがな、ろう・難聴者に関わるソーシャルワーカーにとっても必読の本です。(二神麗子・群馬大学助教、社会福祉士・手話通訳士)

 

この冊子は、手話導入後20年の大塚ろう学校等の教育についての証言集になっていて、その支援・教育を当事者らが肯定的に受け止めていることが生々しく伝わってきます。教育の現場の実践について科学的な評価を求めることはあまりにも多くの要因が複雑に入り組んでいて困難だと思われます。しかし、この冊子は、本人、保護者、元教員、研究者、専門家らが様々な立場・視点で大塚ろうの実践を評価していて、科学的な評価に代わる十分な「エビデンス」になっています。このような多様な視点から一つのろう学校の教育実践を評価した本は他に例を見ないと思います。単なる感想ではなく具体的な指導の記録にもなっていますし、皆が相互に支え、支えられ新生児期から手話コミュニケーション環境を用意する新しい教育実践にチャレンジしてきた姿を見ることができます。聴覚障害本人にとっては自信を持って歩む先輩の様子を知ることになり、保護者や教員にとっては指導のモデルを見ることになります。ぜひ、手に取って見ていただきたいと思います。(ろう・難聴研究会メル・マガより)

⑧聞こえない・聞こえにくい子を持つママさんパパさん、手話や子育てや教育に関心がある皆さんにオススメの本です。私の友人とそのお子さんたちの体験談も掲載されています。うちの娘が生まれたのは24年前。家族で聞こえないのは娘だけでした。手話にも、聞こえないことにも、全く知識がなかった私はとまどうことばかり。その頃、この本があったらどんなに支えになったことだろう...と思います。今は、娘も成人し、就職し、結婚しました。自分らしく生きている娘を見ると、娘を手話で育てることができて本当に良かったと思います。恩師である、ろう者の映画監督さんの文章の中に娘のこともほんのちょっと触れられている部分がありました(笑)。とても読み応えがある貴重な1冊です。(某メルマガより)

⑨なんども繰り返されるのは「100%わかる言葉(手話)」の重要性。たとえ軽度の難聴でも音声言語のなかでは、たえず曖昧さのなかにおかれる。それがどれだけきついことか。メンタルの問題だけではなく、学びの面でも。子どもが聞こえないことがわかったら、すぐに手話で語りかけること。赤ちゃんでも。いや、赤ちゃんからが大切。(森埜こみち・作家) 

 

┃難聴児支援教材研究会
 代表 木島照夫

〒145‐0063
東京都大田区南千束2-10-14-505 木島方
TEL / FAX:03-6421-9735

mail:nanchosien@yahoo.co.jp