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日本語の基本文型を教える大切さ~絵日記を通して

  きこえない子の日本語のつまずきの一つに、日本語の文が作れない(構文できない)、ということがあります。なぜ文が作れないのか? その原因の一つは単語を知らないということがあります。文を構成するパーツが不足していれば、文が作れないのは当然ですからこれは単語を覚えて増やすしか方法はありません。

次に、単語がわかっても助詞がわからないので文が作れない、ということもあります。確かにそれも言えそうです。しかし、文を作るために絶対に必要な助詞は、「が(は)、を、に、と」の4つだけです。しかも、あらゆる文は、この4つを使った基本の文の形でできていますから(これまでに何度も述べてきた5つの基本文型)、この基本文型のかたちと、そこに使われる動詞(形容詞)さえわかっていれば、文は作れることになります。

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聾学校では、幼稚部で子どもと一緒に絵日記を書くことが、保護者の大きな役割の一つになっていますが、実は、親御さんたちは、ごく自然に、ほとんど無意識のうちに、この基本文型にあてはめて日記の文を書いています。右の絵日記の写真はまさにその例です。

日記なので「だれが」は全て省略されていますが。

上の例は年少児の絵日記ですが、ここでは、「切手を買う」「手紙を書く」「切手を貼る」これらは基本文型2が使われています。「ポストに入れる」。これは基本文型3です。

下の年中児の例はどうでしょう? 28幼2りんたろう.JPG

ここで使われている基本文型は、修飾語句を除いた「耳が痛かった」(形容詞文)「病院はお休みだ」(名詞文)の基本文型1と、「耳鼻科に行った」(動詞文)の基本文型3だけです。

 このように、どんな文でも、使われている基本文型は決まっています。つまり、私たちは文を作るときに5つのフォーマットを使って、そしてたいていは基本文型1から3までのフォーマットを使って、そのフォーマットの上に言いたいことを載せているだけなのです。ということは、まず、子どもに教える必要があるのは、この基本のフォーマットなのです。それを、絵日記を通じて親御さんたちは教えているわけです。

 

  りゅうが2015.10.JPGこのように幼児を過ごし、小学部に入った子どもたちは、自分で日記を書くわけですが、ちゃんとそれらのフォーマットを使って日記が書けるようになります。

 右の例は小1児童の日記ですが、「そうじをしました」「ぼくはお手伝いをしました」「お父さんは掃除機をかけました」(以上基本文型2)、

「部屋がピカピカになった」(基本文型3)、「掃除機をかけたのが楽しかった」(基本文型1)。

基本の文型に当てはめて書いています。

 

このように、幼児期に基本の文型を使って構文できるようにしていくことで、子どもも基本的な文を自分で作ることができるようになります。あとは、使われる動詞と助詞の組み合わせのパターン。例えば私たちは「これか bunnkei.jpgら 山に」ときけば「行く、登る」などの動詞が次に来るのでは?と予想できますが、きこえない子は、私たちほどには聞きなれ、使い慣れているわけではないので、この助詞と動詞の組み合わせパターンを収集して整理するのも一つの方法です。「を」とセットで使う動詞、「に」とセットで使う動詞などです。「と」とセットで使う動詞などです。

右の図は「きこえない子のための日本語チャレンジ」の1ページです。