日記をとおして行う文法指導1~動詞・形容詞・なにで名詞
①自分の生活や内面を見つめ、思考や認識を深める、という目的と、②日本語の誤りを正して、より適切な文章表現力を身につけるという二つに役割があります。ただ、注意しなければならないのは、一方的に日本語の誤りを直すという指導だけをやらないことです。きこえない子たちの文章はまだまだ誤りが多いのも事実です。それを「こう直しなさい」というだけでは指導になりません。ただただわけもわからず直してもまた同じ間違いを繰り返すだけで、本人も自信を失い、やる気もなくなります。「だから、誤りを直さない」という先生もいらっしゃいますが、それは指導をしないということと同じです(いつどこで指導をするのでしょうか?)。どうやって子どものやる気を引き出しつつ、正しい文章表現を身につけさせるか、それがきこえない子の日記・作文指導です。
さて、私は、今でもときどき、小学生に日記をみせてもらうことがあります。FAXで送ってもらい、それに返事を書いて送るのです。その中で、よく書けているところの評価と同時に、日本語の文の誤りにも触れます。そして、訂正したものをまた送ってもらいます。ただ、この時に注意しなければならないことは、まず、子どもが自分なりに一生懸命書いてきた日記を褒めることです。どんな日記でも必ず良い点があります。その点をみつけて褒めることです。そして、最初は一つだけ、ちょっとがんばれば直せる誤りを直すように勧めます。「こうしたら、もうちょっとよくなると思うよ」と提案します。このような方法で回数を積み重ねながら、語彙や文法の指導、表現技術の指導へと高めていきます。対面で実際に指導できる学校にはおよびませんが、それでも保護者の方にお手伝いをしていただきながら指導が可能です。
以下、具体的な日記指導について紹介します。小1児童がFAXで送ってくれた日記への返信というかたちで、私がFAXで送ったものですが、図や表があるので、PDF添付ファイルにしてあります。参考になればさいわいです。なお、助詞の指導も大切ですが、助詞については、項を改めて書きたいと思います。(*下記PDFの漢字フリガナは全て解除しています)
一つ目のファイルは、する名詞(名詞+する)と自動詞・他動詞です。
二つ目のファイルは、動詞の可能形(可能文)と受動形(受動文)です。
三つめのファイルは、形容詞となにで名詞(形容動詞)ですが、これは「動詞・形容詞の指導」のカテゴリーにも掲載しています。