苦手な日記・作文がうまくなる秘訣(小学生)
前回は幼児期の絵日記の発達について書きました。今回は小学生になってからの日記の

とはいっても、そんなに大層なことではありません。昔から言われるように「起承転結」の4段落構成法を守って書くだけのことです。この方法は、日記だけでなく、入学試験や採用試験で課せられる小論文などを書く時にも基本になります。
実は、聾学校幼稚部保護者の方の絵日記を見せていただくと、3段落法(序論・本論・結論)や4段落法で書いている人は意外と多いです。自然に身についているのでしょう。ここでは4段落法の例をいくつか添付してみます。
〇4段落法の典型は「4コマ漫画」

「起」では、「いつ、どこ、だれ」などを必要に応じて入れます。そして、最後の「結」



また、幼児の絵日記には通常題名はつけませんが、題名をつける練習をしてもよいと思い
す。題名は絵日記を書いてから、その絵日記の中の言葉、例えば「結」ここに伝えたいことがまとめられている)の中のことばを使ってつけるとよいでしょう。添付した日記の例でいえば、「ぼく、薬飲めるよ!」とか「自分だけのポッキー」とか「穴、大きくしちゃった」「ぼくの失敗」など子どもと相談してつけ



小学生になると日記を一人で書かねばなりません。とはいってもちゃんと日記指導をやってくれる先生は少ないのが実情でしょう。だからといって日記や作文が聞こえない子にとって大切であることには変わりありません。きこえない子も、将来、きこえる人たちの社会の中で生きていかねばなりません。またIT化やAIの技術が進んでいくにつれ、高度な
「読み書き」の技術がますます必要とされるようになるでしょう。さらに、私たちの社会には障害者への差別が現実にまだまだあることを考える時、考える力をつけること、書くことで伝えていく力は絶対に必要な"武器"となるからです。では、最初にどうすればよいでしょう。
2~3語文で、自分の経験したことを書き表せ


そしてテーマをある程度絞って、4つの段落(起承転結)で、各段落1~2文で合計100字(12マスの日記用ノート1頁分)程度で書けるようにします。
〇指導のポイント

一つ目は、「会話」を入れることです。ここに引用した日記の中に会話を入れた例はありませんが(きこえない子の日記には少ないです)、これはぜひ指導したいことです。
二つ目は、いわゆる五感(視覚・聴覚・触覚・味覚、嗅覚)を使って観察したことを入れることです。

四つ目は、書き出しの文の工夫です。例えば、会話から書き始める、自分のつぶやきから書き始める、クライマックスの部分から書き始めるなどの工夫をすると、文が活き活きとします。添付した「ナノブロック」の例は、最初の文(左側)の起承転結の「起承」の部分を入れ替えたものです(右側が入れ替えたもの)。たったこれだけでも日記が活き活きとしてくることが実感できると思います。また、例の6年生の作文も書き出しに工夫が施されていることがわかります。
そして、五つ目に、語彙や文の誤りを直したり、別の表現を考えさせることです。これはただやみくもに一方的に教えるのではなく、子どもに考えさせることが大切です。

(本ホームページ>出版案内>⑥日本語のワーク参照)