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手話の初語はグーとパー?

 

 早期から手話を使うろう学校2校の乳幼児相談保護者にききとり調査をしているなかで手話の喃語、初語、語彙爆発などについても調べていますが、いろいろなことが明らかになってきました。ききとりに協力してくださった20人近い子どものうちすでに手話が出ている21人の結果から、前言語期の子どもの様子と初語の表出についてまとめてみたいと思います。21人の内訳は聴力90dB未満の軽・中度難聴児が13名、90dB以上の高度・重度難聴児が8名です。

 

〇前言語期(0歳代後半)の様子

 まず、初語が獲得される前にみられる大切な指標として、三項関係や共同注意がみられるかということと象徴機能がみられるかということがあります。

 前者は、大人と子どもとモノを共有して指さしや身振り・動作でやりとりが成立しているかということです。言葉はまず人と人とがコミュニケーションするために行われるものですから、お母さんが「ほらほら見て見て、きれいな花だね」と言ったときに子どもはその指さした先にある花を一緒に見て体験を共有できるかどうかとか、子どもがお母さんに向かって「ほら、〇〇だよ」と自分から指さして教えるといった行動がみられるかどうかということです。 前言語期.jpg

 

 後者は、例えば家族で一緒に乗った新幹線の楽しい記憶がその時にとった写真を見て思い出せるとか、積木を新幹線に見立てて動かすとか、そういう新幹線とは直接関係のないモノを新幹線に見立てる行動がみられるといったことです。このような象徴的な行為の延長線上にことばが発生すると言われています。ことばとは、新幹線という実際のものとは関係のない「し・ん・か・ん・せ・ん」という音のならびで実物を表現している記号または手話であれば添付ファイルのような手指・腕の動きであらわしている記号です。

 18人の手話を表出している子どもにはいずれもこの2つの様子が見られたことから、この2つの指標は言語獲得の前段階にあることを示す指標としても使えると思われます。 手話初語.jpg

 

 さて、きこえない子が最初に獲得する手話はどのようなものでしょうか?21人の結果は、右表のようになりました。特徴的なのは、「おいしい」という初語が3分の1を占めていることでしょうか。赤ちゃんにとってやっぱり食事場面はいちばんうれしい場面なのでしょう。

そしてもう一つの大きな特徴は、これらの手話の手の形をみてみると、「グー」と「パー」の手の形が圧倒的に多いということでしょう。赤ちゃんにとってこのグーパーがいちばん身体発達的にも容易で、この形が使われる手話表現がことばにつながりやすいということなのでしょう。なかなか面白い結果が得られました。赤ちゃんにはグーとパーを使った手話表現を沢山使うとよいのかもしれません。