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格助詞「の」の指導~「名詞+『の』+名詞」

格助詞「の」は、頻繁に使われています。「この机かばんはだれの?」「ぼくかばんだよ」とか、「6年生○○です。よろしくね」とか、頻繁に使っているので、格助詞の中ではどちらかといえば間違うことの少ない助詞かもしれません。

 とはいっても、文の中に出てくる「の」をどの子も正しく読み取れているかというと、そうともかぎりません。そこで、名詞と名詞のあいだにある「の」について考えてみたいと思います。まず、小1の教科書に出てくる「の」をみてみます。

 

1.「はる花 さいた  あさひかり きらきら」(光村図書1頁)

2.「くまさんが、ともだちりすさんに、ききに いきました。」(同27頁,下左図)

3.「ながい ながい、花いっぽんみちが できました。」(同29頁,下右図) はなのみち2.jpg はなのみち1.jpg

 

 これらはいずれの「の」も名詞と名詞のあいだにある「の」です。このような「の」は、前の名詞がうしろの名詞を修飾しているのが特徴です。その意味では、名詞の前にくる形容詞のはたらきとよく似ています。例えば、上記1~3の「名詞+の+名詞」のところを、形容詞を入れた文にしてみると、よくわかります。

 

1.「はる花」→「赤い(形容詞)花」、

  「あさひかり」→「まぶしい(形容詞)ひかり」

2.「ともだちりすさん」→「かわいい(形容詞)りすさん」

3.「花いっぽんみち」→「ながい(形容詞)いっぽんみち」

 

「名詞++名詞」は、名詞を修飾する形容詞(「形容詞+名詞」)と同じような修飾用法になっています。意味としては「名詞+の」も名詞を修飾している「形容詞」も、「どんな~」という意味になっています。ですから、「名詞++名詞」も「形容詞+名詞」で大切なのはうしろの名詞で、前の名詞や形容詞はうしろの名詞をくわしく説明している名詞や形容詞ということになります。

そこで文に即して質問文をつくってみます。

 

1.「どんな花ですか?」→「はる花」(=はるに咲くところの花)

2.「どんなりすさん?」→「(くまさんの)ともだちりすさん」(=ともだちであるところのりすさん)

3.「どんないっぽんみち?」→「花いっぽんみち」(=花でできているところの道)

 

 このように、「名詞+の+名詞」が出てきたら、「どんな~」を使って質問することで、「の」の役割をはっきりとさせるとよいと思います。ただ、上の例文では「どんな~」でよいのですが、文によっては「だれの~」や「なんの?」「どこの~」「いつの~」などのほうが文に合っている場合があるので、文に合うかたちで質問するとよいと思います。例えば

上の「はるの花」の「はる」は季節・時間を表すことばなので「いつの花?」ときいたほうがよいでしょう。以下、例をいくつかあげてみます。

 

4.「これは、きつつきくちばしです。」(小1上・光村図書・44頁)

→「どんなくちばし?」よりも「なにくちばし?」

5.「はちどりは、ほそながい くちばしを、花中に いれます。」(同48頁)

  →「どんな中?」よりも「なに中?」

6、「そして、花みつを すいます。」(同48頁)

  →「どんなみつ?」よりも「なにみつ?」

 

では、次の文の違いを説明するとき、どう子どもに尋ねればよいでしょうか?

1.うしろ車に乗ってください。

2.車うしろに乗ってください。

 

1.「うしろ」は位置をあらわすことばなので、「どこにある車?」→「うしろにある車」

2.「車」はものの名前なので、「なにのうしろ?」→「車のうしろ」