全国の難聴児のための早期支援、聴覚障害教育の情報提供、教材などの紹介を発信します。

助詞はなぜ必要?~助詞の役割に気づく授業

○非可逆文と可逆文

 Jcoss(日本語理解テスト)という文法力を測定する検査があります。全検査20項目の最初から6項目に非可逆文というのがあります。非可逆文というのは、文法的には間違っていないけれど意味的にあり得ない(逆はあり得ない=非可逆文)という文です。

例えば、「ぼく ラーメン 食べる」。

非可逆文の場合.pptx.jpg

この文の助詞「が」「を」を逆にしてみます。

そうすると「ぼく ラーメン 食べる」という文になり、意味としてはあり得ないことになります。このようなタイプの文を非可逆文といいます。

 

【例文】①「ぼく ラーメン 食べる」(意味的に〇)

②「ぼく ラーメン 食べる」(意味的に×)

 

このようなタイプ(非可逆文)は助詞を抜いても単語だけで意味がわかるのが特徴です。(右図参照)

③「ぼく ラーメン 食べる」または「ラーメン ぼく 食べる」

 助詞がちんぷんかんぷんの子も単語の意味さえわかっていればこの文を読んですぐに頭の中に映像を浮かべることができます。ラーメン太郎食べている絵を浮かべる子はまずいません。通常はどの子も常識的に考えてあり得る絵を頭に浮かべます。つまり、助詞がわからなくても(助詞がなくても)このタイプの文は、単語さえわかっていれば意味がわかるのです

 

 これに対してJ.coss7項目には置換可能文というのがあります。これを別の言い方で可逆文と言っています。これは助詞が逆になっても文法的にも意味的にもこういう場面はあり得ますよ(意味的にあり得る=可逆文)という意味です。助詞がわからないと(助詞がないと)正しい意味を伝えられないし、助詞を逆にすると意味が逆になる文です。

 【例文】④「太郎が 花子を 叩く」

可逆文の場合.pptx.jpg

     ⑤「太郎を 花子が 叩く」

この場合、おいかけるという行為をする側と行為を受ける側(追いかけられる側)が逆になる文。これが可逆文です。これら二つのタイプの文を使って助詞「が・を」を教えます。




○非可逆文・可逆文を使って助詞を教える~助詞「が・を」の教え方

助詞「が」であそぼう.jpg

*この指導を行う前に、助詞「が」のカードを使って、「が」は主語とか動作主を意味するということをからだを動かして学習しておきます。そのうえで以下の順に学習を進めます。

 

1.まず最初に非可逆文を使って文の意味を考えさせます。

「太郎 ラーメン 食べる」という文ですね。

①この文を提示して絵を描かせると、どの子も男の子がラーメンを食べている絵を描きます。

②次に「太郎 ラーメン 食べる」という文を提示して「どんな絵になると思う?」と問います。意味が反対になることに気づく子もそうでない子もいますが、助詞が逆になると、絵の中の男の子とラーメンの立場が逆になって「ラーメンが 太郎を 食べてしまう」ということに気づかせます。

非可逆文の例文.jpg

 「が」と「を」の違いに気づかせたところで、いくつか非可逆文タイプの絵を出して、文の助詞を考えさせます。


2.次は可逆文を使って文の意味を考えさせます。

③「太郎 花子 たたく」 この絵はどういう絵になるか考えさせます。

また、以下の文も考えさせます。

④「太郎 花子 たたく」 

助詞があれば主語がわかる.jpg

こうした可逆文タイプの絵を提示して、文の助詞を考えさせます。

 以上、「非可逆文」と「可逆文」を使って、助詞「が」と「を」が逆になると、意味が反対になるのだということを教えることができます(右図参照)。

「が」と「を」の使い方が理解できるようになれば、教科書の文から「が」と「を」の文を取り出して問題文を作り、その文に助詞を入れる練習などもします。

 
大きなかぶ①.pptx.jpgのサムネール画像のサムネール画像
図は「おおきなかぶ」の単元です。これは教科書によって「が」と「を」が逆になっています。例えば右の教科書では、
「おばあさん おじいさん ひっぱって」と「~が~を+動詞」という語順(正語順)です。

 しかし下の教科書では「おじいさん おばあさん ひっぱって」と「~を~が+動詞」という語順(逆語順)になっています。
この違いを利用して、子どもが本当に助詞「が」「を」が理解できているかをみてみるとよいと思います。

おおきなかぶ②.jpgのサムネール画像


┃難聴児支援教材研究会
 代表 木島照夫

〒145‐0063
東京都大田区南千束2-10-14-505 木島方
TEL / FAX:03-6421-9735

mail:nanchosien@yahoo.co.jp