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幼児期の動詞語彙の増やし方~その2

幼児期での動詞語彙の増やし方や活用の学び方について、前回は①会話の中で、②絵日記の中で、③ことば絵じてんの中で、という3つの方法について書きましたが、今回は、④ことばあそびと⑤ワークブックを通して動詞の語彙や活用を身につける方法について書きたいと思います。

〇動詞のゲームができるようになる時期は?

 聴児はだいたい3歳を過ぎると、「大きい・小さい、長い・短い、多い・少ない」といった形容詞や「あそぶ・作る・座る・歩く」といった動詞がわかるようになります。また、紅白のゲームでの勝ち負けや鬼ごっこのルールもわかるようになり、3歳代の半ばになるとじゃんけんのルールもわかるようになってきます。この頃になると、簡単なことばあそびのルールもわかるようになってくるので、絵カードなどを使った比較的単純なゲームが楽しめます 

〇動詞を使ったゲーム

①「動詞絵あわせ」(入門コース)

 

動詞ゲーム1(絵合わせ).pptx.jpgず、日本語の動詞語彙を増やしましょう。市販されている『動作のえあわせカード』(銀鳥産業,550円)44語を使って「ババ抜き」の要領で遊びます。1つの動作語(動詞)を左右2枚のカードで真ん中で合わせると、「かく」「かぞえる」などといった一つの動作語ができあがります。3歳から家族みんなで楽しめます。『反対ことばカード』(銀鳥産業)でも同様な遊び方ができます。

 

②「同じ動詞をさがそう」(入門コース)

動詞ゲーム2(同じ動詞をさがそう).pptx.jpg 手話と日本語のマッチングで動詞(日本語)を増やしましょう。「たのしい指文字」(動詞編大型ポスター,本会発行)を切って動詞のカードを作ります。また、写真にあるような文字・指文字のカードを作ります(本会ホームページからもダウンロードできます)。これを一緒にして山積み(裏側)にしておき、場には5枚表にして出しておきます。順番を決め、山から1枚ひいて、場に合う動詞のカードがあったらゲットできます。なければ場に表にして置きます。交替して繰り返します。

 

③「一日の生活すごろく」(入門コース) 

動詞ゲーム3生活すごろく.pptx.jpg朝「起きる」から夜「寝る」までの1日の生活の中での子どもや家族の生活動作を写真で撮ります(右のファイルは絵本の絵を使用)。それを順番にならべてすごろくを作ります。自分や家族が写っているのでとても楽しく遊べます。動作語も3040くらいはあるので、大きめのカレンダーの裏などを使います。

 


④「動詞王様ゲーム」(入門コース)

 

動詞ゲーム4王様ゲーム.pptx.jpg王様と家来を決め、王様と家来のやりとりを楽しみながら進めるゲーム。


⑤「動詞かるた」(入門コース)

 手話と日本語(文字)とのマッチングをねらいにしたかるた遊び。読み札の動詞を手話で提示し、その手話に合う動詞絵カードをさがします。

 

⑥「動詞ビンゴ」(初級コース)

動詞ゲーム5ビンゴ.pptx.jpg 運動会、遠足などの行事があったとき、その行事にちなんだ動詞をまず探します。その動詞が20くらい集まったらカードにします。そしてビンゴ盤(3×3、4×4など)にそれらの動詞から選んで書き、ビンゴをやります。

応用編として否定形の動詞だけ、自動詞だけなどでやることもできます。

 


⑦「食べますか?食べませんか?」(初級コース)

 

動詞ゲーム6食べますか?食べませんか?.pptx.jpg動詞習得の難しさの一つは動詞が活用することです。動詞の獲得語彙数が少し増えてきたら簡単な活用の学習に挑戦しましょう。楽しくやるにはこのゲームはもってこいのゲームです。「食べますか(食べる)?」と「食べませんか(食べない)?」という二つの文字カードといろいろなモノの絵カードを準備し、裏返して山積みにします。親役が1枚めくって相手に見せないように「食べますか?食べませんか?」と尋ねます。相手はどちらかを答えなければなりません。もし「食べます」と答えてそのカードが「食べもの」であったら当たりでそのカードはもらえます。そうでなかったらはずれで相手のカードになります(「食べません」と答えて食べ物でなかったら当たりです)。「食べます!」と答えて絵カードが「靴」であったりするととても面白いです。

 

⑧「反対語ゲーム」(初級コース)

 

動詞ゲーム7(反対語).pptx.jpgのサムネール画像互いに向かい合って座ります。じゃんけんをして勝った人が出題者になり、山積みした反対語カードから1枚とり、問題を手話(例「高い」)で言います。相手の人はその手話を見て反対語を言います(例「低い・安い」)。正解なら相手がそのカードをもらい、続けて挑戦できます。不正解なら役割を交代します。カードをたくさん集めたほうが勝ちです。

 

⑨「日本語を手話に換えよう」(初級コース)

動詞ゲーム8(手話で言おう).pptx.jpg動詞絵カードを裏にして山積みし、出題者はその中から1枚とり、指文字で題を出します。(例「とる」。相手は、指文字で提示された「とる」を見て、手話に換えて応えます(盗る、取る、撮るなど)。正しく手話にできたらそのカードは相手のものになります。できなかったら床の上に置き、役割を交代して同様にやります。たくさんカードをとった方が勝ちです。

おまけのゲームとして、自分がとったカードでことば(単語)を作ります。いくつできるかやってみてください。

 

⑩「動詞を使って文をつくろう」(中級コース)

 

動詞ゲーム9(文をつくろう).pptx.jpg動詞絵カードを二種類に分類します。一つは「に」を使う動詞の箱、もう一つは「を」を使う動詞の箱。「に」を使う動詞とは例えば「行く、帰る、ある、ない、終わる」など、「を」を使う動詞とは「食べる、追いかける、壊す」など。両方どちらでも使える動詞(例えば「渡す」「運ぶ」など)はどちらかに入れます)。じゃんけんをして勝った人からどちらかのカードを1枚とります。「壊す」であれば絵にある積木以外のものを考えて「~を壊す」と言い、正しければそのカードはもらいます。これを互いに役をかえて交互に繰り返します。動詞を使った二語文づくりの練習です。ある程度、文が作れるようになったら箱をなくして全部のカードを裏返してそこから1枚とって自分で助詞を考えて文をつくれるようにします。

 

〇動詞のワークを使おう

 ある程度、動詞の語彙が身についてきたらワークブックを使って頭の中のことばを整理します。カテゴリーや文法ルールにそって整理することで、さらに新しいことがらを学んだり、抽象的なことがらの学習がしやすくなります。


①『ことばのネットワークづくり』(別冊解説付,年中~)

 

ことばのネットワークづくり①同音異義語.pptx.jpgことばをカテゴリーで整理することのメリットは二つあります。一つは、共通点を取り出して整理しカテゴリー化しておくことで、新しく出会ったものごと、ことばや概念に対してそれがどういうものかを、保存されている知識と瞬時に照合して予想することができることです。二つ目はカテゴリーで整理することで記憶したり保存したりしやすくでき、そのことによって新しい経験やことばもさらに効率よく記憶できることです(*本HPTOP>日記・絵本・手話>ことば絵じてん参照)。

ことばのネットワークづくり②擬音語・擬態語.jpg 『ことばのネットワークづくり』も多様な観点から動詞を整理できるワークです。例えば「あがる」という語には様々な意味があります。「舞台にあがる」「観客の前であがる」「体温があがる」...。様々な意味の「あがる」を「あがる」という概念でまとめることで「あがる」の多様な意味や使い方が整理できます。また、「オノマトペ」(擬音語・擬態語・擬声語)は動詞の前にくることで動詞の意味をさらにわかりやすく説明できます。例えば「ふるえる」に「ブルブル」をもことばのネットワークづくり(CD).pptx.jpgってきて「ブルブルふるえる」とすることで寒さでふるえている様子がより伝わりやすくなります。では「スタスタ」はどんな動詞の前にくるのでしょうか? このような副詞と動詞の関係でカテゴリーを整理することもできます。さらに、『ことばのネットワークづくり練習問題CD』には、ワークと同様の練習プリントがA460枚分や手話と日本語を結びつける練習プリントA4284枚分なども入っており、さまざまな観点からことばを整理することができます。

 

②『絵でわかる動詞の学習』(別冊解説付,年長~)

 

絵でわかる動詞の学習①語彙・肯定否定.jpgこのワークは語彙編と活用編からなり、動詞を様々な観点から学習できます。肯定・否定形、可能形、アスペクト、自動詞・他動詞、授受文、受動・能動文、使役文など聴こえない子が苦手といわれる活用を全て網羅しています。また、『はじめての動詞の活用CD』には活用練習プリントA4版92枚や指導用パワーポイント教材なども入っています。

 

絵でわかる動詞の学習②授受表現・受動文.pptx.jpg

〇動詞、どれだけ知っていますか?

 前回も書いたように、動詞は文のかなめです。動詞の語彙を手話でいくらたくさんもっていても日本語と結びついていなければ教科書は理解できません。小1の教科書が自分で読んでわかるためには、日本語で動詞の語彙(基本形)が最低200語程度は必要です。では、お子さんの動詞のかずは? もし、お子さんの動詞のおおよその習得語彙数をお知りになりたい方は、簡易版『動詞語彙チェック25A45頁,Word)をお送りしますので、本会事務局  nanchosien@yahoo.co.jp あてにメールをください。返信メールで上記チェックリストをお送りしますので、それをお子さんにやっていただき、答が記入された用紙を添付ファイルで送っていただければ採点してお返しします(無料)。 

┃難聴児支援教材研究会
 代表 木島照夫

〒145‐0063
東京都大田区南千束2-10-14-505 木島方
TEL / FAX:03-6421-9735

mail:nanchosien@yahoo.co.jp