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難聴児支援教材研究会。難聴児の子育て・教育をサポートします。

ようこそ!難聴児支援教材研究会のホームページへ!

 難聴児支援教材研究会のホームページによくおいで下さいました。本会は、難聴児(きこえにくい子・きこえない子すべてを含む広い意味で使っています)たちが、手話や日本語の力を身につけ(人と関わる力、読み書きの力)、筋道立ててしっかりと考え(論理的思考力)、社会の中でたくましく生きていける人になるために、いくらかのお手伝いができればと、7年前に立ち上げました。

 そして、5年前に、このホームページをつくりました。このホームページでは、本研究会で作成した障害認識や日本語の学習等に関わる教材テキスト、幼児期に用いる豊かな語彙力を身につけるためのワーク等の作成、また、それらの教材の使い方などについて情報提供したり、皆様方からのさまざまな質問にお答えしたりしてきました。

 また、これからは、これまでに、ホームページに情報提供してきた内容を再度整理しなおし、きこえない子どもたちのさまざまな力を高めるための具体的な内容・方法をカテゴリーに残していきたいと思っています。これからも、皆様方のお役に立てるよう努力していきたいと思っていますので、今後ともよろしくお願いいたします。また、どうぞ、皆様方からもさまざまなご質問・感想・ご意見などもお寄せいただけるとありがたく思います。今後ともよろしくお願い致します! 

2018年11月 難聴児支援教材研究会代表 木島照夫

 

出版物案内

 『子どもとママと担当者と3年5か月の軌跡』(新刊)

南村洋子編著、ろう教育を考える全国協議会発行、2019年、1,000円

 この本は二人の重度聴覚障害児ゆう君ととも君のママの育児記録に、南村洋子氏のコメントが付け加えられたものである。聴覚障害児の育児記録はこれまでにも数多く出版されてきたが、そのほとんどは聴覚口話法で指導された子どもの育児記録であった。しかし、今回出された子育て記録は"発達早期(生後4、5か月)から手話を使ってなされた子育ての記録であり、その意味で貴重な手話による子育ての実践記録であるともいえる。つまり、手話を使えばこのように育つという点で、手話教育(といっても大人が使っているのは口話併用手話だが)の実践モデルともいえよう。 南村新刊.jpgのサムネール画像

 さて、ゆう君、とも君は二人とも新生児聴覚スクリーニングによって発見され、ゆう君は04か月、とも君も0歳5か月でOろう学校に来談し、学年進行とともにしばしば担当者が変わったが、手話を使い続けたことは変わらない。そして、その二人の2歳児クラス(=乳幼児相談)の修了までの子育て記録のうち、前半の生後4カ月から18カ月までの14カ月がゆう君ママの記録から引用され、後半19カ月から35か月までの17カ月がとも君ママの育児記録から引用されている。

 二人とも発見の経緯、来談時期、その後の発達の様相(両耳100dB以上の重度難聴であること、発達障害はないこと等)は似通っており、一人の子どもの連続した子育て記録として読んでもそう違和感は感じない。また、家庭環境等での共通点としては、母親が就労していないこと、父親が育児に協力的であること、両親が愛情をもって子どもに関わり、子ども中心に生活をしていることなどであろうか。とくに母親が子どもとのかかわり方に工夫を凝らし、育児記録を熱心に書き、それに対してその時々の担当者がコメントして返すといった点も共通している。では、これまでの育児記録と何が違うのだろうか? 最初にも書いたが、0歳より手話があったのかなかったのかということである。では、早期から手話があれば何が違うのか。手話があるということは、子どもが「見てわかる!」ということであり、「手話を使う人(=きこえない人)」としての自分が周りから「認められる」ということである。その意味は非常に大きい。認知発達や言語発達、情緒や意欲、対人関係、あらゆる発達を支える基盤をつくる。この記録のなかから見えてくるのは、これまでの聴覚口話を中心とした教育ではみることのできなかった豊かな発達である。一つだけ引用してみよう。ゆう君の12か月の時の記録である。

 帰宅後、オムツを変えようとしたらいつもオムツを入れてある棚の中にオムツが一枚も入っていなかった。ゆうに「オムツがないね~。困ったなあ。あっそうだ、玄関にオムツあるから取って来よう」と言って、ゆうと一緒にとりに行く。オムツをオムツ袋から取り出し、「棚に置こうね」と言ってゆうと一緒に置きに行く。棚に置いて「終わりね」というが、ゆうはまた玄関に行き、オムツを2枚取り出して棚に入れる。私が「もう、オムツ要らないよ」といってもかまわずせっせと玄関のオムツ袋から取り出し棚がいっぱいになるまでオムツを入れ続けた。棚にもうスペースがなくなると、ようやく満足したようで、私の顔を見て「終わり」と手話表現する。「ありがとう。オムツいっぱいになったね。もう終わりね」とゆうに話しかけると、ゆうは満足した様子で「終わり」と手話表現する。

 

言語は知的認識も育てる。オムツを所定の場所に詰め、いっぱいになって「終わり」と手話をしたということは、ゆう君は、オムツ等の衣類がそれぞれ種類別に「分類」され、種類に応じて所定の「位置」が決まっていることを理解し、そこに自分のオムツを運ぶために行ったり来たりして目的的・可逆的に移動し、作業を達成した時に「終わり」と「言語」で宣言していることになる。聴力の厳しいきこえない子が音声言語をいかに早くから使っても音声言語の意味のある初語が1歳前後から出ることはほとんどない(少なくとも100dB 以上の子ではきいたことがない。早くても2歳前後であろう)。1歳から言語をもち、言語で思考するからこそ、豊かな発達が期待できる。この子育ての記録はその証明であると言えるだろう。その意味で、この本に隠されたもう一つのタイトルは「こうすればことばが育つ」である。 

 

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