視覚教材

「日本語、苦手」という幼児への助詞指導法

「音声言語が身についていない難聴幼児に助詞の習得は無理」と、医師やSTの方がおっしゃるのを耳にすることがあります。音声で会話ができるというhearingやspeech(いわゆる話しことば)のレベルとlanguage(言語とくに内言語・書きこ...
手話

「親子の手話じてん」割引実施中!!~耳の日記念セール

『親子の手話じてん』は、改訂を重ね、14年以上売れ続けている手話じてんのロングセラーです。この辞典を制作するにあたって考慮したのは、難聴児の苦手な動詞の習得に重点を置いたことです。就学前の難聴幼児が日常会話に必要な1,200語を厳選しました...
絵日記、日記・作文

絵日記を楽しくする10のアイディア~プラス5

絵日記を楽しくするアイディア~プラス5 『絵日記を楽しくするアイディア』を少し前に2回にわたって紹介しましたが、今回は、日本語の力とくに文法力の向上につながる工夫を紹介します。  文を品詞分類しよう! DSC_0237  日本語の文を作るう...
新生児聴覚スクリーニング・乳幼児教育相談

「障害」ってなに?〜二つの視点から考えよう

今回は「障害」をどのように考えたらよいか、二つの視点について紹介し、時々耳にする「セルフ・アドボカシー」ということについても考えてみたいと思います。 障害の個人モデル(医学モデル) 「障害者」とか「障害児」ときくと、私たちは、その人(子)は...
新生児聴覚スクリーニング・乳幼児教育相談

いよいよ始動!東京都難聴児相談支援センター

今、国(厚生労働省)では、難聴児の「切れ目ない支援」ということで、平成5年度までに各都道府県に聴覚障害児の相談支援ができる場所を開設するよう求めています。おそらく各自治体ではすでに開設されていると思いますが、ようやく東京都も開設が決まり、平...
新生児聴覚スクリーニング・乳幼児教育相談

復刻オンライン版「わが子と人工内耳~装用した子・してない子全国保護者アンケート270人の回答から」

なぜ、この書籍をHP上に復刻・再掲したか?  わが子に難聴が発見され、聴力も90dBを越えるであろうと言われた保護者は、病院の先生から人工内耳を早期に装用することを勧められます。「早くしたほうが効果も高いし、片耳より両耳の方がいいよ」と。し...
絵日記、日記・作文

絵日記を楽しくする10のアイディア~応用編5選

絵日記のアイディア~応用編5選 4コマ漫画で描いてみよう!  この方法は以前にも紹介しました(本HP>絵日記>幼児の絵日記を四段落で描く方法)。四コマ漫画で描くと、文を書く時の基本の構成法である「起承転結」「始め・なか1・なか2・終わり」と...
絵日記、日記・作文

絵日記を楽しくする10のアイデア~基礎編5選

「絵日記」の前に・・  絵日記の前に大切なこと。それはお子さんがどれだけ毎日の生活を楽しめているかということ。そしてもちろん親御さんも一緒に楽しんでおられるかということ。親子で日々、「今日は何してあそぶ?」という楽しい生活の中でこそ、子ども...
当事者・本人(メッセージ・体験談・作文)

「絶望から希望へ」 東京都立中央ろう学校中等部1年 新井翔子

はじめに  今回紹介する作文は、令和5年度全国聾学校作文コンクールの最高賞である金賞・文部科学大臣賞を受賞した中等部1年生新井翔子さんの作品です。翔子さんは、現在は中高一貫のろう学校である都立中央ろう学校に通っていますが、乳幼児相談から小学...
位置詞

位置詞の指導~小3社会単元「わたしたちのまちと市」を通して(教育実践)

ここで紹介する日本語文法指導の実践は、令和5年度文部科学大臣賞を受賞した沖縄ろう学校小学部教員伊波興穂先生の実践です。第1回目は国語での実践(「自動詞・他動詞の指導~小3国語単元『まいごのかぎ』を通して」)を紹介しましたが、今回は社会科での...
セルフアドボカシー・障害認識・難聴理解

主体的・対話的で深い学びの実現に向けて~障害認識を深め自己肯定感を高める指導の工夫を通して(教育実践)

今回紹介するのは、令和5年度文部科学大臣賞を受賞した那覇市立安謝小学校難聴学級担任高良千恵子先生の実践です。この学級の児童はS児1名のみ。現在5年生で左右とも聴力100dB補聴器装用です。小1入学時より高良先生が担任し今年で5年目になります...
日本語文法指導

自動詞・他動詞の指導~小3国語単元「まいごのかぎ」を通して(教育実践)

ここで紹介する日本語文法指導の実践は、令和5年度文部科学大臣賞を受賞した沖縄ろう学校小学部教員伊波興穂先生の実践です(今回は国語での実践、第2回目は社会科での実践を紹介します)。 きこえない子どもたちは、自動詞(例「あく・しまる」)と他動詞...
文字

幼児期に文字を導入する方法

難聴児の早期文字(含指文字)習得は、「英才教育」とは意味が違う   きこえない子には小さい頃からなぜ、文字(含む指文字)に関心を持たせる必要があるのでしょうか? きこえない子たちにとっての文字の大切さは、一般的に言われているような「英才教育...
日本語文法指導

幼児期からどうやって動詞をふやす?~その2

幼児期での動詞語彙の増やし方や動詞活用の学び方について、「幼児期の動詞語彙の増やし方(1)」で、①会話の中で、②絵日記の中で、③ことば絵じてんの中で、という3つの方法について紹介しましたが、今回は、④ことばあそびを通して動詞の語彙や活用を身...
日本語文法指導

文法指導の底力!~難聴学級&ろう学校教員3人が文部科学大臣賞同時受賞!

子どもたちの成長発達を支え、著しい成果をあげた教育実践に対して、それを担った優秀教職員ということで毎年、特別支援教育の分野からも表彰される先生方がいます。今年は沖縄県から二人、福岡県から一人の計三人の先生が文法指導を実践し、子どもたちの日本...
ことば絵じてん

幼児期からどうやって動詞をふやす?~その1

はじめに   前回、ある保護者の方から質問をいただきました。要約すれば、「①重度難聴のわが子は動詞の語彙数が少ないと思うがどうやって増やせばよいのか? また、②小学校入学頃までに動詞の語彙数はどのくらい必要なのか、さらに、③獲得語彙数はどう...
動詞

動詞語彙数、どうやって調べる?~「動詞語彙チェック30」の使い方

保護者からの質問  「わが子は聾学校幼稚部年長組に通っていますが、先日、獲得している言葉の数、とくに動詞が少ないこと、動詞が少ないと文が読めないと言われました。わが子は聴力100dB補聴器装用で手話で会話することが多く、中等度難聴や人工内耳...
比較3問題

『9歳の壁』越えていますか?~「比較3問題」でチェックしてみよう!

『9歳の壁』とは、言語や思考のレベルが、抽象的思考ができる小学校高学年の発達段階に到達できず、その前の低学年段階にとどまっている現象のことで、聴覚障害児の特徴といわれることがあります。言い方を変えると、客観的な思考や抽象的思考ができる「学習...
当事者・本人(メッセージ・体験談・作文)

軽中度難聴児に手話は不要?~『手話で育つ豊かな世界』から

30dB~70dB程度のいわゆる軽度・中等度(軽・中度)の難聴児・者に手話は必要なのでしょうか? 耳鼻科の医師やSTの人たちの多くはこうおっしゃいます。「軽・中度難聴なら補聴器で十分音声言語が身につきます。手話や指文字は必要ありません」と。...
絵日記、日記・作文

日本語の厳しい子どもの日記指導の方法

聾学校、難聴学級の別を問わず、十分に日本語の力がつかないままに小学生になる子どもは少なくありません。知的な面での遅れも特にないし、手話で日常的な会話は出来るのに、日本語がさっぱりという子たちです。 今回事例として取り上げる日記を書いた子ども...
あそび・教材

幼児に助詞を教える方法~「助詞カード」であそぼう!

はじめに~助詞はどのように指導すればよいか?  「が」「は」「を」「に」「で」「と」「の」といった助詞はそれだけ単独に取り出しても意味を持ちません。助詞は語と語の間にあって、それらの関係をあらわす「機能語」なので、文の中でしか使えませんし、...
発達の診断と評価

難聴学級児童に育てたい言語力・思考力~そのためのアセスメントの方法

難聴学級に入ってくる子どもたちの実態 聴覚障害のある子どもの就学先として、聾学校、普通小学校難聴学級・通常学級、聾学校以外の特別支援学校・学級があります。このうち、普通小学校の難聴学級・通常学級に通う場合(いわゆるインテグレーション)は、基...
当事者・本人(メッセージ・体験談・作文)

障害認識と書記日本語の大切さ~きこえない先生の体験から

この手記を書いた聾学校の先生(現在)は、中学生の頃より聴力低下が進行し、やがて高度難聴になりました。しかしその現実を受け入れることができず、聴者のふりをしながら苦しい青年期を過ごします。このような時に手話を使う聾者に出会います。その出会いを...
WISC

WISCⅣ検査の伸ばせる項目・伸ばしにくい項目~どのような対応が必要か?

WISC(ウェクスラー知能検査)は、就学時健診や難聴児の認知・言語の評価などに用いられる検査です。「言語理解」「知覚推理」「ワーキングメモリー」「処理速度」の4つの領域について、同年齢集団の中での相対的位置づけをIQ(合成得点)で算出したり...
名詞修飾

名詞修飾の教え方~低学年でクリアしておきたい文法事項

日本語の特徴の一つは、修飾語句が文の前に前に(横書きでは左へ)と展開していくことです。この点は、関係代名詞をつけて後ろへ(横書きなら右へ)展開する英語とは逆です。 例えば、以下のような文があるとします。 1.「私は 運動会に 行った。」  ...
人工内耳

手話で言語・概念・思考力を育て、4歳で人工内耳を装用した事例~これから人工内耳を考えておられる方へ

手話を用いると音声言語の習得が妨げられる、と時々耳にしますが、発達早期から手話を用いることで母子コミュニケーションが早期から成立し、情緒的に安定した親子関係の形成、親の障害認識、手話による子どもの言語発達・概念形成が促される利点があることは...
ことば絵じてん

幼児の日本語習得~視覚教材を使って伸びた家庭指導事例

これから紹介する実践は、年中・CI装用児Aちゃんの保護者が、①「ことば絵じてん」づくりによる語彙の拡充の取り組みと、②助詞、受動文・能動文、比較表現、自動詞・他動詞などの日本語文法に取り組んだ記録です。今回は年中の秋から数か月の間に取り組ま...
発達の診断と評価

難聴幼児の「ことばのチェックリスト(年少・年中版)」でことばの発達をチェック!

難聴児は語彙が少ない、と言われます。では、どうやって語彙を増やせばよいのでしょう? 日々の生活の中で、様々な体験や実物との出会いの中で、ただ用を足せば終わりというルーティーンな会話でなく、その都度、そのモノやコトの概念を深めひろげるていねい...
日本語文法指導

受動文の指導(2)~直接受動文から間接受動文へ

きこえない子にとって難しい文法項目の一つに「受動文(受身表現)」があります。実際、聾学校小学部低学年の段階では、半分以上の子どもが受動文がよくわかっていません。「受身」という「動作を受ける側に立った表現」が理解できないのです。その実態につい...
新生児聴覚スクリーニング・乳幼児教育相談

「みんなちがって、みんないい」~新スク・リファーから1年半。私と家族の心の変化

新生児聴覚スクリーニング(新スク)で「リファー(要再検査)」となり、その後、聴覚障害という診断が確定した後、どのように難聴の赤ちゃんと関わっていけばよいのでしょうか? 本当に大事なことは何なのでしょうか? 以下は、新スク・リファー以後どのよ...
かず・算数

難聴児は、なぜ、算数文章題が苦手か?~幼児期からのかずの概念の育て方

算数で計算はできるけれど文章題が解けないという難聴の子どもはけっこういます(難聴児だけとも限りませんが、やっぱりきこえない・きこえにくい子には多い)。算数の文章題は、文を読んでその意味がイメージとして描けないと解けないので、文の理解が先とい...
難聴児の認知・言語の発達

難聴児の認知・言語の発達(7)~「学習言語」につながる幼児期の「考える力」5選

これまでの発達のプロセスと関わり方のポイント(まとめ) 子どもとの最初の関わり方のポイント~安定した親子関係を築く(0~1歳代) 難聴児の認知・言語の発達(1)から(6)までのシリーズで、生後半年頃から始まる象徴機能(Symbol)の発達と...
助詞

『白いぼうし』(国語4年上)を通して読みとる助詞の「に・で・を」

文章を正確に読み取るために文法知識は必須です。例えば「宙に舞う」「宙で舞う」「宙を舞う」。この3つの「場所」に関わる助詞「に・で・を」は、文にどのような意味の違いをもたらしているのでしょうか? ここでは、国語小4上(光村図書)の単元『白い帽...
軽・中等度難聴,一側性難聴

発達のゆっくりな中等度難聴児の手話の獲得~保護者の手記より

手話のよさの一つは、発達に多少の遅れがあっても身につけられることです(*1)。発達に遅れがあってそこに難聴が加わると音声言語を身につけることに困難さが増すのは確かです。近視は眼鏡で矯正ができますが、感音性難聴は補聴器や人工内耳で音のひずみの...
名詞修飾

教科書の文を「名詞修飾」にしよう!~聾学校小学部2年国語授業から

名詞を詳しく説明するときの日本語の特徴 修飾する語句が修飾される名詞の前にくる   日本語では、ある名詞について詳しく説明するとき、文をその名詞の前にもってきます。これを名詞修飾といいますが、その修飾語句は理論的にはいくらでも長くしていくこ...
当事者・本人(メッセージ・体験談・作文)

「障害の肯定」~聾学校高等部生徒の作文から

今回は第17回全国聾学校作文コンクールで銀賞を受賞した難聴高校生の作文を紹介したいと思います。この高校生・伊〇匠〇君は、都立ろう学校で乳幼児相談から小学部まで12年間通い、中学部からT大学附属聴覚特別支援学校に入学。現在高校2年生です。2年...
聴力測定・聴覚活用

苦手な感覚は上手に育てたい~「聴覚」へのアプローチの工夫と配慮

「聴覚」障害児にとっての「聴覚」という感覚は、いわゆる五感の中で最も苦手な感覚ですよね。その苦手な感覚を伸ばそうというのが聴覚学習であるわけですが、苦手さのある感覚を自分で自覚して「苦手さを克服してがんばろう!」などとは幼児はまだ考えること...
日本語文法指導

エッ?!日本語にも文型があるの?~知っておきたい日本語5つの基本文型

日本語の基本構造  私達が日々、話したり、読んだりしている文は、決まった文の形でできているのでしょうか? もしそうだとしたら、その文型はどのようなものでしょうか? 日本語の基本的な構造は、まず、述部(述語)と複数の成分があって、その述部と成...
手話

「ドアがあける?ドアがあく?」~手話を活用した自動詞・他動詞の学習

動詞には自動詞と他動詞という二つの種類があります。例えば「あく」と「あける」。よく似ているのでどっちがどっちか難聴児はしばしば混乱します。まず二つの動詞の性質の違いについて学ぶことから始めましょう。そのときに、手話の文法を使って体ごと覚える...
絵日記、日記・作文

幼児の絵日記を四段落で描く方法

文章構成の基本パターンは? 四段落構成法と三段落構成法  私たちが何かの文章を読んで内容がわかりやすく整理されていると感じるのは、四段落に分けて書いた文章で、いわゆる「起承転結」で書いたものです。この方法は、日記だけでなく、入学試験や採用試...
当事者・本人(メッセージ・体験談・作文)

「声でのおしゃべりは楽しいけれど、気が抜けない緊張の連続」~臨床心理士若狭妙子さんの講演より

今回は、子どもの頃は40dBの軽度難聴、少しずつ聴力が悪化し、現在は60dBの中等度難聴という若狭妙子さん(臨床心理士)の講演から、子どもの頃どんな様子だったのか、講演記録から主催者の許可を得て紹介します。 この講演は、コロナ前の2019年...
当事者・本人(メッセージ・体験談・作文)

心が育つ家庭での関わりとは?~早瀬憲太郎さんの場合

名称未設定のデザイン - 1 きこえない子どもたちは他者の心を想像することが苦手と言われます。「心の理論」をみる検査を使って調べると、確かにそのような傾向がみられます。他者の心を想像する力が弱いと人間関係においても「空気が読めない」とか「相...
当事者・本人(メッセージ・体験談・作文)

「普通とはなにか?」~小6難聴児の作文から・・

きこえるお母さんがきこえない子どもを産んだ時、多くのお母さん方は嘆き悲しまれたに違いありません。それは、そのお母さんがきこえることが「ふつう」のことであり、聴こえない子という「ふつうではない」子どもを産んだことへの悔い、落胆、悲しみの気持ち...
新生児聴覚スクリーニング・乳幼児教育相談

新スク・リファーから1年半を振り返って~パパの子育て奮戦記

わが子は20××年×月×日の深夜1時過ぎに生まれました。予定日よりも1か月半ほども早く、前日の夜から、ただおろおろと付き添うだけの父でしたが、出産にも立ち会い、子どもが無事に生まれ、徹夜明けの朝、一人でにやにやしながら家に帰ったことをよく覚...
難聴児の認知・言語の発達

難聴児の認知・言語の発達(1)0歳~1歳頃・初語表出まで

生後半年くらいまで・・生理的基盤の発達 難聴児の0歳代の認知や言語の発達については、研究とか文献とかあまりありません。数少ない研究論文の中に野中(2006)のものがあり、野中は難聴乳児が音声がききとれないために大人との関係が作りづらいことを...
日記・作文

高学年児童の日記指導~日記をどう長く書けるように指導したか?(難聴学級での実践から)

高学年になっても「昨日、~をしました。~をしました。・・楽しかったです。」といったワンパターンで日記を書いてくる難聴児は決して少なくありません。もちろん、それは子ども自身の問題と言うより、指導する側の問題が大きいわけですが、では、日記指導の...
難聴児の心の発達

難聴児の心の発達~イヤイヤ期・行きつ戻りつ成長する子どもたち

難聴児の認知・言語の発達(1)~(5)で、難聴児は、0歳後半頃より親子の愛着関係と認知機能としての象徴機能(symbol)が発達し、①手話では1歳前後に初語が獲得されること。しかし、1歳代の言語はまだモノとの1対1の「ラベリング」的要素が強...
軽・中等度難聴,一側性難聴

軽・中度難聴の難しさ~きこえにくい子を育てた親として

この手記は、片方が65dB、もう片方が110dBといういわゆる中等度難聴のお子さんを育てた保護者によって書かれたものです(個人情報につきここでは匿名と致します)。この手記が書かれた当時は高校生の時でしたが、その後、お子さんは大学に進学し、学...
新生児聴覚スクリーニング・乳幼児教育相談

難聴児の認知・言語の発達(2)0~1歳代の関わり方のポイント5選

ことばが獲得されるために大切なこととして、親子の愛着関係の成立(社会的相互作用)と象徴機能の発達という二つのことがありますが、難聴児においては、前者の愛着関係を築くことの難しさがしばしば指摘されてきました(野中2006など)。それはきこえな...
難聴児の心の発達

なぜ、難聴児は「心の理論」(「認知的共感」)の獲得が遅れるか?

人とコミュニケーションする時、「Aさんは、私がこう言えばどう思うだろうか? それならどういう言い方をすればいいのだろう?」といった、他者の気持を想像し、自分の言動を調整することはとても大切なことです。こうした他者の気持ち・感情を知的に理解す...
実践の記録

聾学校での日本語文法指導の実践~「一人一事例の取り組み」

今回は、ある聾学校の小学部と中学部で学部として取り組んだ日本語文法指導の実践を紹介します。自分の担当する教科や学級で全員が取り組んだ実践で、「一人一事例の取り組み」としてまとめた貴重な実践です。 小学部の実践  ひとことで文法指導といっても...
発達障害・その他の障害

ダウン症を併せもつ子どもの成長~2歳前の2事例から

障害をあわせもつ子どもたちも、聾学校の乳幼児相談に通う過程でそれぞれに成長していく様子がみられます。今回はダウン症を併せもつ二つの事例を紹介します。最初の事例は1歳2か月でまだ手話が獲得できていないダウン症の幼児、2例目は手話獲得が始まって...
絵画・語彙発達検査

絵画語彙発達検査の効果的な使い方

この検査は、聾学校幼稚部や小学部、難聴学級児童の語彙力を測定するときに比較的よく用いられる検査です。問題に絵が用いられており、それらの絵が日本語でなんというのか、子どもに絵を指差しさせるだけの検査なので、難聴児であっても着席して検査に乗れる...
セルフアドボカシー・障害認識・難聴理解

難聴理解授業の実際~「難聴理解かるた」を使って

今回紹介するパワーポイント資料は、2014年夏に高松市で行われた聴覚障害児支援夏季研修会での福島朗博先生(当時島根県立浜田ろう学校教員・難聴当事者)の講演資料です。このパワーポイント資料の前半は、保護者や高学年児童対象に実施する「難聴疑似体...
難聴児の認知・言語の発達

難聴児の認知・言語の発達(3)~初語表出から「ものには名前がある」ことがわかるまで

このHPで以前、「難聴児の認知と言語の発達(1)0~1歳頃・初語表出まで」について書きました。初語の表出は親御さんにとって大きな喜びであることは言うまでもありません。しかし、初語の表出がイコール言語獲得かというと、実はそう簡単ではなく、もう...
絵本

きこえない子が1歳頃より楽しめる絵本

きこえる赤ちゃんもきこえない赤ちゃんも1歳近くなると、写真や絵を見て自分の経験を思い出すことができるようになってきます(象徴機能の発達)。また、この頃、ママ(大人)が指さしたものを見たり、自分が見つけたもの・関心のあるものをママに知らせたり...
子どもとの関わり方

ことばのないわが子に代わって~”代理日記”に取り組んでいるママ

ある聾学校の乳幼児相談0歳グループに通うママさんが、育児記録にお子さん(1歳1か月・重複障害)の気持ちを表した”代理日記”を書いておられます。そのママは、書くことで「Aにとって今日が良い一日だったかどうか」ということを考えながら過ごしていき...
日本語文法指導

受動文の指導(1)~順序を踏まえて指導しよう

受動文には二種類ある~直接受動文と間接受動文  受動文は、日本語ではごく自然に用いられ、私たちにとってはなじみ深い表現の方法です。幼児でも兄弟げんかで弟が「兄ちゃんにぶたれた~」などと泣いていたりしますし、私たちも「雨に降られてびしょびしょ...
聴力測定・聴覚活用

補聴器したのにきこえてるの?~幼児の聴性反応の見方

赤ちゃんが補聴器をつけて間もない頃のお母さんたち方からこんな質問を受けます。「補聴器をつけているのに、呼んでも反応しません。大丈夫でしょうか?」「大きな音を出しても振り向かないのですが・・」「きこえているのか、きこえていないのか、反応があっ...
子どもとの関わり方

「図鑑型」か「物語型」か?~その子の個性を伸ばしたい! 

聾学校の乳幼児相談に来る子どもたち。興味関心は様々です。生き物が大好きな子はザリガニやカブトムシの幼虫や成虫を見たくて、飼育ケースに飛んでいきます。一方で全く関心がない、嫌い、怖い!と近寄らない子もいます。教室では決まって、ボール転がしのお...
絵本

手話やきこえない子が登場する絵本

毎年、わが国で新しく出版される絵本の数は千点を超えると言われますが、その中にときどき、きこえない子や手話が登場する絵本があります。すでに入手困難な絵本を除いていくつか紹介したいと思います。 『手話ではなそう』シリーズ(全4冊・偕成社)  こ...
発達障害・その他の障害

きこえているのに、ききとれない!~聴覚情報処理障害(APD)って?

この障害をお持ちのお子さんの保護者から私のところにも相談メールが来ることがあります。この障害の特徴は、聴力検査では、音が鼓膜に届いているのに、日常会話や授業などの場面で、音声言語が言葉として脳にうまく伝わらないということです。ですから、音が...
国語教科書

「じどう車くらべ」小1国語~なぜ、「~ています」が多用されるか?

小1国語教科書の説明文での動詞の使い方をみると、最初に使われる動詞のかたちとして、基本形の「~ます」も使われますが、「~ています」という、表現が多いことに気づかされます。 例えば、小1国語下「じどう車くらべ」(光村図書)をみると、最初の2頁...
当事者・本人(メッセージ・体験談・作文)

難聴者への理解を深める~『難聴理解かるた』を使ってみた(動画)

本会から出版している『難聴理解かるた』(以下『かるた』と略)は、通常学級に通っている難聴児の支援などのために、通常学級担任の先生、難聴学級や聾学校通級担当の先生、難聴児をお持ちの保護者の方、医療機関や発達支援機関のSTの先生方によく使ってい...
実践の記録

外国人子弟の日本語教育に文法指導を導入してみた(実践報告)

助詞や動詞の活用に弱いのは、きこえない子だけでなく、外国から来て日本に住んでいる子どもたちもそうです。こうした現状を踏まえ、私たちは日本語文法指導を提唱・実践してきました。そして、日本語がわかることが、その子の日本語力の向上はもちろんですが...
手話

聾学校乳相調査(重複障害幼児9名)からわかった手話の獲得について

関東地方の二つの聾学校乳幼児相談に通う1歳以上3歳までの乳幼児の保護者にアンケート調査を行い、33名の回答を得た。そのうち、重複障害のある9名(1歳5か月~3歳6カ月、平均2歳4か月、全回収数の27%)について調査結果をまとめた。  9名の...
日本語文法指導

動詞の指導(1)~動詞、どれくらい身についてる? 

きこえない子が身につける語彙数は、きこえる子と較べると圧倒的に少なく、とりわけ動詞の獲得数が少ないということが知られています。JCOSS(ジェイコス)(「日本語理解テスト」)という幼児期から使える検査でも、確かに名詞(事物名詞)、形容詞、動...
日本語文法指導

動詞の指導(2)~動詞活用の指導方法

動詞の活用は国文法では、5つに分けています。しかし、子どもに教える時にはこんなに細かくする必要はありません。日本語指導では下のように3つに分けます。   1グループ・・・国文法五段活用   2グループ・・・国文法上一段活用、下一段活用   ...
手話

難聴児の認知・言語の発達(4)手話には言語獲得装置がある!?~「語彙爆発」のしくみ

前回、「ものに名前があることがわかる」ことが本来の言語獲得だと書きました。そしてそれは、「同じ」という観点で世界を切り分け(分類・カテゴリー化)、そのくくられたまとまり(=カテゴリー)に対して名前をつけるということを意味していました(例:「...
手話

難聴児の認知と言語の発達(5)1語文から2語文へ~複数のことを関係づける力の発達

1歳代のことばは、まず単語でいいたいことを表現する一語文に始まり、1歳後半になってくると、獲得する単語(手話)が急激に増えてきて(「語彙爆発」)、単語だけであらわしていた一語文から、徐々に二語文に移行していきます。今回はその発達の過程につい...
当事者・本人(メッセージ・体験談・作文)

一側性難聴は、どんなときに困るのか?

一側性難聴は、500人~1000人に一人という比較的高い頻度で起こると言われており、確かに新スクが普及するにつれて聾学校等に相談に来られる方も増えてきました。また、おたふくかぜの後遺症として起こる場合もあり、これを「ムンプス難聴」と呼んでい...
絵日記、日記・作文

日記の書き方~低学年の日記指導

きこえない子は、将来、きこえる人が多数を占める社会の中で生きていかなければなりません。その時に、自分のこと(障害を含め)を適切に周りに伝え、とくに障害への理解を得ていくことが大切です。そのために必要な力は、ものごとを深く見つめ、論理的に思考...
絵本

きこえない子への絵本の読み聞かせ方

きこえない赤ちゃんも1歳近くなると、上左図のように写真や絵を見て自分の経験を思い出すことができるようになります(象徴機能の発達)。また、この頃には、ママ(大人)が指さしたものを見たり、自分が見つけたもの・関心のあるものをママに知らせたりなど...
日本語文法指導

助詞の指導(1)~助詞理解度の評価・助詞テストを使ってみよう!

実態の把握  子どもが助詞をどの程度理解しているか、その把握はとても重要です。子どもの今持っている力がつかめないと、どこからどのように指導を進めるか指導の計画が作れません。また、指導したのちどれだけ伸びたかも測ることができません。そこで、実...
日本語文法指導

助詞の指導(2)~助詞「が」の指導方法

日本語の文には、基本的な文の型が5つあると言われています(上図)。これらの文型に使われている要素を「必須成分」と言います。使われている助詞は「が、を、に、で、と」の5つ。これらの助詞は、私たちが何かを言いたい・伝えたいと文を作るとき、必ず使...
日本語文法指導

助詞の指導(3)~助詞「が・を」の指導方法

先に述べた基本文型のうち「が」と「を」を使うかたち(第2文型)の指導になりますが、この文型は、助詞「が」のみを使う第1文型とならんで使用頻度の高い文型で、幼児の絵日記とくに年少の頃、この文型は「動作動詞」と共に多用されています(絵日記では主...
日本語文法指導

助詞の指導(4)~助詞「に・で・を」の指導方法

前回までに助詞「が」、「が」と「を」の指導法について説明しました。ここからは「手話」と関連付けた指導法になります。ということは、手話を使わない聴覚口話法の立場からは想像できない指導法ということになります。聴覚口話法は自然法なアプローチを基礎...
日本語文法指導

助詞の指導(5)~助詞「と」の指導方法

助詞「と」の指導   助詞「と」には、いわゆる格助詞と接続助詞の二つの種類があります。接続助詞というのは、「春が来ると、花が咲く」などのように、単文と単文をつなぐときに使われ、「~が来ると」のように動詞基本形+「と」のかたちで使われます。こ...
視覚教材

体験したこと、「ことば絵じてん」にしてみませんか?~きこえない子のための″語彙辞書″の作り方

子どものことばの概念を拡げるために「ことば絵じてん」が有効だということが、最近だんだんと理解されるようになってきました。そうすると保護者の方からもいろいろな質問が出てきます。「ことば絵じてんって市販されていますが、それではだめなんでしょうか...
国語教科書

「おとなになれなかった弟たちに・・」中1年国語~過去形と現在形の巧みな使い方

8月といえば、昭和の頃に子ども時代を過ごした私にとっては「広島・長崎に原爆が投下された夏」であり「終戦の夏」です。 太平洋戦争が終わってすでに80年近い歳月が流れていますが、それでも戦争中の出来事を扱った文学作品が読み継がれ、国語教科書にも...